不動産番号とは?土地・建物を識別する13桁の番号の役割
「不動産番号って何だろう?」と不動産取引や登記手続きで初めて聞いた方は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産番号の定義、地番・家屋番号との違い、調べ方、どんな場面で必要か、不動産IDとの違いについて、法務局や専門家の情報を元に解説します。
不動産取引・相続・登記手続きを検討している方が、不動産番号を正しく理解して手続きをスムーズに進められるようになります。
この記事のポイント
- 不動産番号は土地一筆・建物一戸ごとに付与される13桁の識別番号で、2004年の不動産登記法改正により導入
- 地番は土地のみ、家屋番号は建物のみを識別するのに対し、不動産番号は土地・建物を統一的に識別
- 登記事項証明書、オンライン登記情報提供サービス(有料)、登記識別情報通知等で確認可能
- 登記申請書に記載すれば所在・地番等の記載を省略できるが、誤記リスクがあるため両方記載が推奨される
- 2022年導入の不動産ID(17桁)は不動産番号13桁+特定コード4桁の構成で、幅広い分野での活用が期待される
(1) 不動産番号の定義(土地一筆・建物一戸ごとに付与)
登記情報提供サービスによると、不動産番号とは、土地一筆・建物一戸ごとに付与される13桁の識別番号です。
「一筆」とは土地の単位、「一戸」とは建物の単位を指します。
(2) 2004年不動産登記法改正により導入
不動産番号は、2004年(平成16年)の不動産登記法改正により導入されました。
従来は「所在・地番・地目・地積」等を詳細に記載する必要がありましたが、不動産番号を記載すればこれらの記載を省略できるようになり、手続きが簡便化されました。
(3) 13桁のランダムな数字で構成
不動産番号は13桁のランダムな数字で構成されています。
規則性はなく、土地・建物それぞれに固有の番号が付与されます。
(4) 不動産を一意に識別する役割
不動産番号は、全国の不動産を一意に識別する役割を持ちます。
同じ番号が複数の不動産に付与されることはありません。
不動産番号と地番・家屋番号の違いを理解する
不動産番号と地番・家屋番号の違いについて解説します。
(1) 地番:土地のみを識別する番号
大阪司法書士会によると、地番とは、土地を特定するための番号で、一筆ごとに付されています。
例えば「〇〇市〇〇町1丁目2番3」のように表記されます。
(2) 家屋番号:建物のみを識別する番号
SUUMOジャーナルによると、家屋番号とは、建物を特定するための番号で、一戸ごとに付されています。
原則として、建物が建っている土地の地番と同じ番号が家屋番号として付与されます。
(3) 不動産番号:土地・建物を統一的に識別
不動産番号は、土地・建物を統一的に識別する13桁のランダムな数字です。
地番や家屋番号よりも簡便に不動産を特定できる点が特徴です。
(4) 住所との違い(住所は郵便物の配達先、地番・不動産番号は登記上の識別番号)
大阪司法書士会によると、住所(住居表示)は郵便物の配達先を示すもので、地番や不動産番号は登記上で不動産を識別するための番号です。
多くの場合、住所と地番は一致しませんので注意が必要です。
不動産番号の調べ方:登記事項証明書・オンラインサービスでの確認方法
不動産番号の調べ方について、具体的な方法を解説します。
(1) 登記事項証明書で確認(法務局で取得)
親族間売買相談&支援の窓口によると、法務局で登記事項証明書を請求すれば、不動産番号を確認できます。
登記事項証明書には、不動産番号が記載されています。
取得方法:
- 管轄の法務局に行く(全国どこの法務局でも請求可能)
- 登記事項証明書交付申請書を記入(土地または建物の所在・地番等を記載)
- 手数料を支払う(1通600円程度)
- 登記事項証明書を受け取る
(2) 登記情報提供サービス(オンライン、有料)
登記情報提供サービスを利用すれば、法務局に行かずにオンラインで不動産番号を確認できます。
利用方法:
- 登記情報提供サービスのサイトにアクセス
- 利用者登録(初回のみ)
- 不動産所在地・地番等で検索
- 手数料を支払う(1物件334円程度)
- 登記情報をPDFでダウンロード
(3) 登記識別情報通知・登記完了証から確認
親族間売買相談&支援の窓口によると、不動産を購入・新築した際に法務局から発行される「登記識別情報通知」や「登記完了証」にも不動産番号が記載されています。
これらの書類を保管していれば、すぐに不動産番号を確認できます。
(4) 固定資産税納税通知書からも確認可能
毎年送付される固定資産税納税通知書にも、不動産番号が記載されている場合があります。
自治体により記載の有無が異なるため、確認してみましょう。
不動産番号が必要な場面:登記申請・税務手続き・物件調査
不動産番号がどんな場面で必要になるのかを解説します。
(1) 登記申請書での利用(所在・地番等の記載を省略可能)
横浜リーガルハート司法書士事務所によると、登記申請書に不動産番号を記載すれば、所在・地番・地目・地積等の記載を省略できます。
記載例:
不動産の表示
不動産番号 1234567890123
このように、13桁の不動産番号だけで不動産を特定できます。
(2) 確定申告での利用(税務手続き)
国税庁によると、確定申告書等作成コーナーで不動産所得や譲渡所得を申告する際、不動産番号を入力することができます。
不動産番号を入力すれば、所在・地番等の入力を省略できます。
(3) 物件調査・登記情報取得時の検索
法務局のオンライン登記情報検索では、不動産番号で直接検索できます。
所在・地番を正確に把握していない場合でも、不動産番号があれば迅速に登記情報を取得できます。
(4) 注意点:13桁を誤記すると関係ない不動産に登記するリスク
横浜リーガルハート司法書士事務所によると、13桁の数字を1桁でも誤記すると、関係のない不動産に登記してしまうリスクがあります。
特に、相続登記や売買登記など重要な手続きでは、慎重な確認が必要です。
(5) 実務上は不動産番号と所在・地番の併記が推奨される
横浜リーガルハート司法書士事務所によると、安全性を考慮して、多くの司法書士は不動産番号と所在・地番の両方を記載しています。
不動産番号の記載は任意のため、確実性を重視する場合は両方記載することをおすすめします。
不動産IDとは?2022年導入の17桁番号との違い
2022年に導入された「不動産ID」と不動産番号の違いを解説します。
(1) 不動産ID:不動産番号13桁+特定コード4桁の17桁構成
加地都市鑑定所によると、不動産IDとは、不動産番号13桁に特定コード4桁を追加した17桁の識別番号です。
構成例:
不動産番号: 1234567890123(13桁)
不動産ID: 12345678901234567(17桁) = 不動産番号13桁 + 特定コード4桁
(2) 2022年に国土交通省が策定
不動産IDは、2022年に国土交通省が「不動産IDルール」を策定し、導入されました。
不動産番号を基盤として、さらに幅広い用途に対応できるよう拡張されたものです。
(3) 幅広い分野(電気・都市計画・物流等)での活用が期待
不動産IDは、不動産登記だけでなく、電気・都市計画・物流・防災等の幅広い分野での活用が期待されています。
不動産情報の一元管理・共有化により、行政手続きの効率化や民間サービスの向上が見込まれます。
(4) 不動産番号との違い(不動産番号は13桁、不動産IDは17桁)
| 項目 | 不動産番号 | 不動産ID |
|---|---|---|
| 桁数 | 13桁 | 17桁 |
| 導入年 | 2004年 | 2022年 |
| 用途 | 不動産登記 | 幅広い分野(電気・都市計画・物流等) |
| 構成 | ランダムな13桁の数字 | 不動産番号13桁 + 特定コード4桁 |
不動産番号は不動産IDの基盤となっており、今後も重要な役割を果たします。
まとめ:不動産番号を正しく理解して手続きをスムーズに
不動産番号は、土地一筆・建物一戸ごとに付与される13桁の識別番号で、2004年の不動産登記法改正により導入されました。地番は土地のみ、家屋番号は建物のみを識別するのに対し、不動産番号は土地・建物を統一的に識別します。
登記事項証明書、オンライン登記情報提供サービス(有料)、登記識別情報通知、固定資産税納税通知書などで確認可能です。登記申請書に記載すれば所在・地番等の記載を省略できますが、13桁を誤記すると関係ない不動産に登記してしまうリスクがあるため、実務上は不動産番号と所在・地番の両方を記載することが推奨されています。
2022年に国土交通省が策定した不動産ID(17桁)は、不動産番号13桁+特定コード4桁の構成で、幅広い分野での活用が期待されています。
不動産取引や登記手続きを行う際は、信頼できる不動産会社や司法書士に相談し、正確な情報を確認しながら進めましょう。
