不動産鑑定士試験の日程と対策を知りたい方へ
不動産鑑定士資格の取得を目指す際、「試験日はいつなのか」「どのような試験科目があるのか」「合格するためにどのくらいの勉強時間が必要なのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産鑑定士試験の概要、2025年の試験日程、試験内容と科目、難易度と合格率、合格に必要な勉強時間と勉強法について、国土交通省等の公式情報を元に解説します。
初めて不動産鑑定士試験に挑戦する方でも、試験の全体像と合格への道のりを理解できるようになります。
この記事のポイント
- 不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階で、受験資格は不要(年齢・学歴・実務経験不問)
- 2025年の短答式試験は5月18日、論文式試験は8月2-4日、願書受付は2月6日~3月7日
- 短答式試験は全国10都道府県で実施、論文式試験は東京・大阪・福岡のみで実施
- 最終合格率は約3.6~6.4%と非常に低く、文系3大国家資格の一つとして高難易度
- 合格に必要な勉強時間は2,000~3,700時間(短答式800時間、論文式2,000時間が目安)
不動産鑑定士試験とは:資格の概要と試験制度
不動産鑑定士の役割と業務内容
不動産鑑定士とは、土地や建物などの不動産の経済価値を鑑定・評価する国家資格者です。国土交通省によると、不動産鑑定士の主な業務は以下の通りです。
- 不動産の鑑定評価: 土地・建物の適正な価格を算定
- 公的評価: 公示地価、相続税路線価、固定資産税評価額の算定
- 不動産コンサルティング: 不動産投資、資産活用、再開発等の助言
- 訴訟関連業務: 不動産関連の訴訟における鑑定書作成
不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士と並ぶ文系3大国家資格の一つとして、社会的地位が高く、専門性の高い職業です。
試験制度:短答式・論文式の2段階試験
国土交通省によると、不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階で実施されます。
| 試験形式 | 内容 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 短答式試験 | マークシート方式、全国10都道府県で実施 | 5月中旬 |
| 論文式試験 | 記述式、東京・大阪・福岡のみで実施 | 8月上旬 |
(出典: 国土交通省)
短答式試験に合格した者のみが論文式試験を受験できます。
受験資格:年齢・学歴・実務経験不問
国土交通省によると、不動産鑑定士試験の受験資格は不要で、年齢や実務経験にかかわらず誰でも受験可能です。学歴・国籍・性別も問わず、幅広い層が挑戦できる試験です。
2025年試験日程:願書受付から合格発表まで
願書受付期間:2025年2月6日~3月7日
国土交通省によると、令和7年(2025年)不動産鑑定士試験の願書受付期間は以下の通りです。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 願書受付期間 | 2025年2月6日(木)~3月7日(金) |
| 受付方法 | 郵送または電子申請 |
(出典: 国土交通省)
願書は余裕を持って早めに提出することを推奨します。
短答式試験:5月18日(日)実施
国土交通省によると、2025年の短答式試験は5月18日(日)に実施されます。
- 試験会場: 全国10都道府県(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、高松、沖縄等)
- 試験時間: 午前・午後の2部構成
- 試験方式: マークシート方式
短答式試験は全国10都道府県で実施されるため、多くの受験者が地元で受験できます。
論文式試験:8月2日(土)~4日(月)実施
国土交通省によると、2025年の論文式試験は8月2日(土)~4日(月)の3日間にわたり実施されます。
- 試験会場: 東京・大阪・福岡の3都市のみ
- 試験時間: 各日2科目程度、3日間で合計6科目
- 試験方式: 記述式
論文式試験は東京・大阪・福岡の3都市に限定されているため、遠方の受験者は宿泊等の準備が必要です。
受験料:書面申請1万3,000円、電子申請1万2,800円
国土交通省によると、2025年の受験料は以下の通りです。
| 申請方法 | 受験料 |
|---|---|
| 書面申請 | 1万3,000円 |
| 電子申請 | 1万2,800円 |
(出典: 国土交通省)
電子申請の方が200円安いため、電子申請を推奨します。
試験内容と科目:短答式・論文式の詳細
短答式試験:全国10都道府県で実施、マークシート方式
アガルートによると、短答式試験の科目は以下の通りです。
| 科目 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 不動産に関する行政法規 | 不動産登記法、都市計画法、建築基準法等 | 100点 |
| 不動産の鑑定評価に関する理論 | 鑑定評価基準、不動産市場の理論 | 100点 |
(出典: アガルート)
短答式試験は200点満点で、合格ラインは140点前後です。
論文式試験:東京・大阪・福岡のみ実施、記述式
アガルートによると、論文式試験の科目は以下の通りです。
| 科目 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 民法 | 民法総則、物権、債権 | 100点 |
| 経済学 | ミクロ経済学、マクロ経済学 | 100点 |
| 会計学 | 財務会計、簿記 | 100点 |
| 不動産の鑑定評価に関する理論 | 鑑定評価基準の実務応用 | 300点 |
(出典: アガルート)
論文式試験は600点満点で、合格ラインは360点前後です。
試験科目:鑑定理論・民法・経済学・会計学
不動産鑑定士試験の主要科目は以下の通りです。
- 鑑定理論: 不動産鑑定評価基準の理解と実務への応用(最も配点が高い)
- 民法: 不動産取引に関連する民法の理解
- 経済学: 不動産市場の経済理論
- 会計学: 不動産の財務分析、簿記
鑑定理論は短答式・論文式の両方で出題され、最も重要な科目です。
合格ライン:短答式140点前後/200点、論文式360点前後/600点
TACによると、合格ラインは以下の通りです。
| 試験形式 | 満点 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 短答式試験 | 200点 | 140点前後(70%) |
| 論文式試験 | 600点 | 360点前後(60%) |
(出典: TAC)
合格ラインは年度により若干変動しますが、概ね上記の水準です。
難易度と合格率:過去実績から見る合格の難しさ
短答式試験の合格率:約32~36%
TACによると、短答式試験の合格率は約32~36%です。令和7年(2025年)の短答式試験の合格率は36.3%でした。
短答式試験は相対的に合格率が高いですが、マークシート方式のため、幅広い知識が求められます。
論文式試験の合格率:約14~17%
TACによると、論文式試験の合格率は約14~17%です。令和7年(2025年)の論文式試験の合格率は17.6%でした。
論文式試験は短答式試験合格者のみが受験できるため、受験者のレベルが高い中での合格率14~17%は非常に低いです。
最終合格率:約3.6~6.4%(令和7年は6.4%)
TACによると、不動産鑑定士試験の最終合格率は約3.6~6.4%です。令和7年(2025年)の最終合格率は6.4%でした。
最終合格率の計算式は以下の通りです。
最終合格率 = 短答式合格率 × 論文式合格率
例:36.3% × 17.6% = 6.4%
この最終合格率は、司法試験(約25-40%)や公認会計士試験(約10-12%)と比較しても非常に低く、文系国家資格の中で最高難易度の部類に入ります。
文系3大国家資格の一つとしての難易度
不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士と並ぶ文系3大国家資格の一つです。アガルートによると、不動産鑑定士試験の難易度は以下の理由で非常に高いとされています。
- 最終合格率の低さ: 約3.6~6.4%と極めて低い
- 試験範囲の広さ: 鑑定理論、民法、経済学、会計学の4科目
- 論文式試験の難易度: 記述式で深い理解と応用力が求められる
- 市販教材の不足: 独学での学習が困難
合格に必要な勉強時間と勉強法:独学 vs 予備校
必要な勉強時間の目安:2,000~3,700時間
noteによると、不動産鑑定士試験に合格するために必要な勉強時間は2,000~3,700時間です。
| 試験段階 | 勉強時間の目安 |
|---|---|
| 短答式試験 | 800時間 |
| 論文式試験 | 2,000時間 |
| 合計 | 2,800時間 |
(出典: note)
1日3時間の勉強で約2.5年、1日5時間の勉強で約1.5年の学習期間が必要です。
独学のメリット・デメリット:市販教材の不足
noteによると、不動産鑑定士試験の独学には以下のメリット・デメリットがあります。
メリット:
- 費用を抑えられる(予備校の約50万円を節約)
- 自分のペースで学習できる
デメリット:
- 市販の教材がほとんど存在しない
- 学習スケジュールの管理が困難
- 論文式試験の添削が受けられない
- 合格まで長期間を要する場合が多い
独学での合格は可能ですが、通信講座や予備校を利用する場合に比べると合格の可能性が低く、合格まで長期間を要する場合が多いです。
予備校・通信講座の活用:費用相場50万円前後
noteによると、不動産鑑定士試験の予備校・通信講座の費用相場は約50万円前後です。
主な予備校・通信講座は以下の通りです。
- TAC(資格の学校): 大手予備校、教材・模試が充実
- LEC東京リーガルマインド: 通信講座も充実
- アガルートアカデミー: オンライン特化、費用が比較的安い
予備校を利用するメリットは、体系的な教材、論文式試験の添削、模擬試験、学習スケジュールの管理支援などが受けられることです。
効率的な学習スケジュールの立て方
キャリアアドバンスによると、効率的な学習スケジュールは以下の通りです。
| 時期 | 学習内容 |
|---|---|
| 1年目(4月~翌年3月) | 短答式試験の基礎学習(民法・経済学・会計学・鑑定理論) |
| 2年目(4月~5月) | 短答式試験の直前対策・模試 |
| 2年目(5月) | 短答式試験受験 |
| 2年目(6月~8月) | 論文式試験の対策・論文演習・模試 |
| 2年目(8月) | 論文式試験受験 |
(出典: キャリアアドバンス)
短答式試験と論文式試験の両方を同年度に合格するためには、計画的な学習スケジュールが重要です。
まとめ:不動産鑑定士試験合格への道のり
不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で実施され、受験資格は不要(年齢・学歴・実務経験不問)です。2025年の短答式試験は5月18日、論文式試験は8月2-4日に実施され、願書受付は2月6日~3月7日です。
短答式試験は全国10都道府県で実施されますが、論文式試験は東京・大阪・福岡のみで実施されるため、遠方の受験者は宿泊等の準備が必要です。最終合格率は約3.6~6.4%と非常に低く、文系3大国家資格の一つとして高難易度です。
合格に必要な勉強時間は2,000~3,700時間(短答式800時間、論文式2,000時間が目安)で、市販教材がほとんど存在しないため、通常は予備校を利用するのが一般的です。最新の試験情報は国土交通省公式サイトで確認し、計画的な学習スケジュールで合格を目指すことを推奨します。
