不動産テックとは?市場動向・主要サービス・活用方法を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/24

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不動産テックとは|不動産業界のデジタル変革

不動産の売却・購入・投資を検討する際、「AI査定」「オンライン内見」「電子契約」といった言葉を目にする機会が増えています。これらは「不動産テック」と呼ばれる、不動産×テクノロジーの取り組みの一部です。

この記事では、不動産テックの定義、主要サービスの分類、市場動向、活用メリット・注意点を、不動産テック協会の公式データを元に解説します。

不動産テックを理解することで、従来型との違いを把握し、自分に合ったサービスを選べるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産テックとは、AI・IoT・VR等のテクノロジーを活用して不動産業界の課題を解決する仕組み
  • 2025年度の市場規模は約1兆2,461億円に拡大すると予測(2020年度比203.9%)
  • マッチング、AI査定、VR内覧、電子契約など12のカテゴリーに分類され、528サービスが存在(2025年版カオスマップ)
  • 業務効率化(残業2時間以上短縮)、コスト削減(郵送費・印紙代・交通費)、売上向上(成約数4割増)の効果が報告されている
  • 初期投資の検討、ITリテラシーの課題、システム連携など、導入時の注意点もある

不動産テックの基礎知識|定義と市場動向

(1) 不動産テック(PropTech/ReTech)の定義

不動産テック(PropTech/ReTech)とは、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みを指します。

PropTechは「Property Technology」、ReTechは「Real Estate Technology」の略称です。

具体的には、以下のような技術が活用されます。

  • AI(人工知能): 物件価格の自動査定、需要予測
  • IoT(モノのインターネット): スマートロック、センサーによる設備管理
  • VR/AR(仮想現実・拡張現実): オンライン内見、物件の3D表示
  • ビッグデータ: 不動産価格の可視化、市場分析
  • 電子契約: 紙の契約書を電子データに置き換え

(2) 市場規模と成長予測|2025年度には約1兆2,461億円に拡大

不動産テック市場は急速に成長しています。

年度 市場規模 前年度比
2017年 約3,818億円 +24.3%
2025年度(予測) 約1兆2,461億円 +203.9%(2020年度比)

2017年時点で約3,818億円だった市場が、2025年度には約1兆2,461億円に拡大すると予測されています。

(出典: SB Creative「不動産テックをわかりやすく解説 今なぜ重要?主要12分野の実態は?」

(3) 不動産テック協会のカオスマップ|528サービスを掲載(2025年版第11版)

不動産テック協会は、毎年「不動産テックカオスマップ」を発表しています。

カオスマップとは、特定の業界やサービス領域における企業やサービスを分類・整理した図のことです。

  • 2017年時点: 80件のサービス
  • 2025年版第11版: 528サービス
  • 分類: 12のカテゴリー

2017年から2025年の8年間で、サービス数は約6.6倍に増加しており、不動産テックが急速に普及していることがわかります。

(出典: 不動産テック協会「不動産テック カオスマップ」

(4) 不動産業界のDX推進状況|98.6%がDXを推進すべきと回答

2025年の調査では、不動産業界のDX推進状況について以下のデータが報告されています。

  • 98.6%: DXを推進すべきと回答
  • 75%以上: DXによる効果を実感している企業の割合

(出典: イタンジ「不動産業界のDX推進状況調査 2025」

不動産業界全体で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が認識されていることがわかります。

不動産テックの主要サービス分類|12のカテゴリー

不動産テックは、以下の12のカテゴリーに分類されます。

カテゴリー 主な内容 代表的なサービス例
マッチング系 売主・買主、貸主・借主のマッチング 物件検索プラットフォーム
価格可視化・査定系 AI等を活用した価格査定 AI査定ツール
VR/AR内覧 仮想現実・拡張現実技術を活用した物件案内 VR内覧アプリ
IoT・スマートロック デバイスを活用した不動産管理 スマートロック、センサー
電子契約・IT重説 オンライン契約と重要事項説明 電子契約システム
業務支援系 仲介業務・管理業務の効率化ツール 業務管理システム
クラウドファンディング 不特定多数から資金調達 不動産投資型クラウドファンディング

以下、主要カテゴリーを詳しく解説します。

(1) マッチング系|売主・買主、貸主・借主のマッチングプラットフォーム

マッチング系は、売主・買主、貸主・借主をインターネット上でつなぐプラットフォームです。

従来型との違い:

  • 従来型: 不動産会社に来店し、紙の資料で物件を探す
  • 不動産テック: オンライン上で希望条件を入力し、AIが最適な物件を提案

メリット: 24時間いつでも物件検索可能、不動産会社を介さずに賃料や間取りなどの情報が簡単に取得可能

(2) 価格可視化・査定系|AI等を活用した価格査定

価格可視化・査定系は、AIやビッグデータを活用して不動産の価格を自動で査定するサービスです。

従来型との違い:

  • 従来型: 不動産会社に査定を依頼し、数日〜数週間待つ
  • 不動産テック: オンライン上で物件情報を入力し、数分で査定額が表示される

メリット: 複数社の査定額を比較しやすい、査定依頼のハードルが低い

(3) VR/AR内覧|仮想現実・拡張現実技術を活用した物件案内

VR/AR内覧は、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)技術を活用して、自宅にいながら物件を内覧できるサービスです。

従来型との違い:

  • 従来型: 現地に行って物件を見学
  • 不動産テック: VRゴーグルやスマートフォンで、自宅から物件の内部を360度見学

メリット: 移動時間・交通費の削減、遠方の物件も気軽に内覧可能、複数物件を短時間で比較

(4) IoT・スマートロック|デバイスを活用した不動産管理

IoT・スマートロックは、インターネットに接続されたデバイス(スマートロック、センサー等)を活用した不動産管理サービスです。

スマートロックとは、物理的な鍵を使わず、スマートフォン等で施錠・解錠できる鍵のことです。

メリット: 鍵の受け渡し不要、内覧時の立ち会い不要、入退室履歴の管理が容易

(5) 電子契約・IT重説|オンライン契約と重要事項説明

電子契約は、紙で行っていた不動産関係の契約手続きを、電子データを用いて行う手法です。

IT重説は、インターネット等を活用した重要事項説明のことで、ビデオ通話で重要事項説明を行います。

メリット: 郵送費・印紙代の削減、契約締結までの時間短縮、遠方の物件でも契約しやすい

(6) 業務支援系|仲介業務・管理業務の効率化ツール

業務支援系は、不動産会社の仲介業務や管理業務を効率化するためのシステム・ツールです。

具体例: 顧客管理システム、物件管理システム、営業支援ツール

メリット: 業務の属人化を防ぐ、情報共有がスムーズに、データ分析が容易

(7) クラウドファンディング|不特定多数から資金調達

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する仕組みです。

不動産投資型クラウドファンディングでは、少額から不動産投資が可能になります。

メリット: 数万円から投資可能、プロが選定した物件に投資できる、運用の手間がかからない

注意点: 元本保証はない、途中解約が難しい場合がある

不動産テック活用のメリット|業務効率化とコスト削減

(1) 業務効率化|1日の平均残業時間が2時間以上短縮

不動産テックを導入することで、以下のような業務効率化の効果が報告されています。

  • 残業時間: 1日の平均残業時間が2時間以上短縮
  • 連絡ミス・入力ミス: システム化により大幅に減少
  • 場所・時間の制約: オンライン接客・内覧・契約により解消

(出典: ieloveCLOUD「不動産テックとは?12の領域と活用のメリットをわかりやすく解説」

(2) コスト削減|郵送費・印紙代・交通費・人件費の削減

電子契約やIT重説の導入により、以下のコスト削減が可能です。

  • 郵送費: 契約書の郵送が不要
  • 印紙代: 電子契約では印紙税が不要(紙の契約書には印紙税が必要)
  • 交通費: オンライン対応により移動が減少
  • 人件費: 業務効率化により従業員の稼働が減少

(出典: リリースエステート「今話題の不動産テックの活用事例|注目のサービスはどれ?」

(3) 売上向上|反響数が月50件に達し、成約数も4割増

不動産テックを活用した事例では、以下のような成果が報告されています。

  • 反響数: 自社ホームページやポータルサイトからの反響数が月に50件に達した
  • 成約数: 成約数も4割増になった

(出典: リリースエステート「今話題の不動産テックの活用事例|注目のサービスはどれ?」

(4) 情報の透明化|不動産情報が簡単に取得可能に

従来型では、不動産会社を介さないと詳細な物件情報(賃料、間取り、築年数等)を知ることができませんでした。

不動産テックにより、これらの情報がオンライン上で公開され、誰でも簡単に取得できるようになりました。

メリット: 情報格差の解消、物件比較がしやすい、意思決定のスピードアップ

不動産テック導入の注意点|初期投資と定着の課題

(1) 初期投資の検討|費用対効果の慎重な評価

不動産テックの導入には、システムの導入費用、運用費用、従業員のトレーニング費用などの初期投資が必要です。

導入前に、以下の点を検討することが重要です。

  • 費用対効果: 導入コストに見合う効果が得られるか
  • 自社の課題: 自社の業務課題を解決できるサービスか
  • 競合他社の動向: 業界全体の動向を把握する

費用対効果を慎重に評価し、自社の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。

(2) ITリテラシーの課題|従業員の定着に時間がかかる可能性

従業員のITリテラシー(ITを使いこなす能力)が低い場合、導入後の定着に時間がかかる可能性があります。

対策:

  • 従業員向けのトレーニングを実施
  • 操作が簡単なサービスを選ぶ
  • 段階的に導入し、徐々に機能を拡張する

不動産テックの導入は手段であり、目的ではありません。業務改善の目的を明確にし、従業員の理解を得ることが重要です。

(3) システム連携|複数サービス導入時の統合課題

複数の不動産テックサービスを導入する際は、システム間の連携や統合が課題となる場合があります。

具体例:

  • 顧客管理システムと物件管理システムのデータ連携
  • 電子契約システムと会計システムの統合

対策:

  • API連携に対応したサービスを選ぶ
  • 統合プラットフォームを活用する
  • 必要最小限のサービスに絞る

システム連携の難易度や費用を事前に確認し、導入計画を立てることが大切です。

まとめ|不動産テックを導入する際のポイント

不動産テックは、AI・IoT・VR等のテクノロジーを活用して不動産業界の課題を解決する仕組みです。2025年度には市場規模が約1兆2,461億円に拡大すると予測され、528のサービスが存在します。

業務効率化、コスト削減、売上向上といったメリットがある一方、初期投資の検討、ITリテラシーの課題、システム連携など、導入時の注意点もあります。

不動産テックを導入する際は、不動産テック協会のカオスマップを活用して自社に適したサービスを見つけ、費用対効果を慎重に評価しましょう。

従来型と不動産テックのそれぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況や目的に合わせて選択することが重要です。

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よくある質問

Q1不動産テックと従来型の不動産サービスの違いは何ですか?

A1不動産テックはAI・IoT・VR等のテクノロジーを活用し、業務効率化・コスト削減・情報の透明化を実現します。オンライン内見や電子契約など、場所・時間の制約を解消できる点が従来型との大きな違いです。従来型は対面でのサービス提供が中心ですが、不動産テックはオンライン上で完結できるサービスが多いのが特徴です。両方にメリット・デメリットがあるため、目的に応じて使い分けることが重要です。

Q2代表的な不動産テックサービスにはどのようなものがありますか?

A2マッチングプラットフォーム(物件探し)、AI査定(価格可視化)、VR内覧、IT重説(オンライン重説)、電子契約、スマートロック(IoT)、業務支援ツールなどがあります。不動産テック協会のカオスマップでは、2025年版第11版で528サービスが12のカテゴリーに分類されています。自社の課題や目的に合わせて、適したサービスを選ぶことが大切です。詳細は不動産テック協会の公式サイトで確認できます。

Q3不動産テックのセキュリティは大丈夫ですか?

A3電子契約やオンライン取引では、暗号化通信や電子署名などのセキュリティ技術が採用されています。ただし、各サービスのセキュリティポリシーや運営会社の信頼性を確認することが重要です。個人情報の取り扱いについても、プライバシーポリシーを確認しましょう。不安な場合は、運営会社に直接問い合わせることをおすすめします。公的機関や業界団体が推奨するサービスを選ぶことも、リスク軽減につながります。

Q4不動産テック市場は今後どのように成長しますか?

A42025年度には約1兆2,461億円(2020年度比203.9%)に拡大すると予測されています。不動産業界の98.6%がDXを推進すべきと回答しており、75%以上の企業がDXによる効果を実感しているため、今後も成長が見込まれます。ただし、経済状況や法規制の変化により市場規模は変動する可能性があります。最新の動向は不動産テック協会や業界団体の公式情報で確認することをおすすめします。

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Room Match編集部

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