1. 土地ありで新築一戸建てを建てる費用:全体像と内訳の理解
土地を既に所有している方が新築一戸建てを建てる場合、建築費用の内訳と相場を正しく理解することが、予算オーバーを防ぎ理想の住まいを実現する鍵となります。
この記事では、土地ありで新築一戸建てを建てる費用の内訳、全国平均と地域別の相場、2024年度の建築費上昇の背景、予算管理のポイントを、公式統計データと専門家の解説を元に紹介します。
この記事のポイント
- 土地ありの注文住宅の全国平均費用は3,863万円(2023年度フラット35調査)
- 費用内訳は本体工事費70〜80%、別途工事費15〜20%、諸費用3〜6%が目安
- 2024年度は前年度比+73万円上昇、ウッドショック・人件費上昇・省エネ基準義務化が影響
- 頭金(自己資金)は建築費の20%程度、諸費用は5〜10%程度の準備が一般的
- 複数のハウスメーカーから見積もりを取り、費用を比較することが重要
(1) 土地ありで家を建てる総額の目安:全国平均3,863万円
土地を既に所有している場合、新築一戸建ての建築費用の全国平均は3,863万円です(2023年度住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」)。
この金額には、建物本体の工事費(本体工事費)、外構や設備の工事費(別途工事費)、登記費用や税金等の諸費用が含まれます。
全国平均費用の内訳:
- 建物本体工事費: 約2,700万円〜3,100万円(70〜80%)
- 別途工事費: 約580万円〜770万円(15〜20%)
- 諸費用: 約120万円〜230万円(3〜6%)
地域により費用相場は大きく異なり、東京・首都圏では4,015.9万円、関西・近畿圏では3,990.5万円が平均です(2024年常陽銀行調査)。
(2) 費用構成の3要素:本体工事費・別途工事費・諸費用
土地ありで新築一戸建てを建てる場合、費用は以下の3要素で構成されます。
費用構成の3要素:
- 本体工事費: 住宅そのものを建てるための基本工事費用(70〜80%)
- 別途工事費: 住宅本体以外にかかる工事費用(15〜20%)
- 諸費用: 建築費用以外の税金や手数料等(3〜6%)
これら3つを合計した総額が、実際に必要な建築費用となります。見積もり段階で各要素の内訳を確認し、予算配分を適切に行うことが重要です。
2. 費用の内訳:本体工事費・別途工事費・諸費用の詳細
(1) 本体工事費70〜80%:住宅そのものを建てるための基本工事
本体工事費は、住宅そのものを建てるための工事費用で、建設工事費全体の70〜80%を占めます。
本体工事費に含まれる項目:
- 基礎工事(土木工事、基礎コンクリート打設等)
- 木工事(柱、梁、床、壁等の構造部分)
- 屋根工事(屋根材の施工、防水処理等)
- 外装工事(外壁材、サッシ、玄関ドア等)
- 内装工事(床材、壁紙、天井、建具等)
- 設備工事(キッチン、浴室、トイレ、洗面所等の住宅設備)
伊予銀行の解説によれば、本体工事費は全国平均3,863万円の場合、約2,700万円〜3,100万円が目安です。
(2) 別途工事費15〜20%:外構・ガス・水道・電気・地盤改良等
別途工事費(付帯工事費)は、住宅本体以外にかかる工事費で、建設工事費全体の15〜20%を占めます。
別途工事費に含まれる項目:
- 外構工事(駐車場、門扉、塀、庭等)
- ガス・水道・電気の引き込み工事
- 地盤改良工事(軟弱地盤の場合、数十万円〜数百万円)
- 解体・整地工事(既存建物がある場合)
- 照明器具・カーテン・エアコン等の設備
見積もり段階で含まれない費用が後から発生する可能性があるため、別途工事費として建築費の15〜20%(約580万円〜770万円)を見込む必要があります。
(3) 諸費用3〜6%:登記費用・印紙代・ローン手数料・火災保険料等
諸費用は、建築費用以外の税金や手数料等で、物件価格の3〜6%が目安です。
諸費用に含まれる項目:
- 登記費用(表示登記、所有権保存登記、抵当権設定登記等)
- 印紙代(工事請負契約書、住宅ローン契約書等)
- 住宅ローン関連手数料(融資手数料、保証料等)
- 火災保険料・地震保険料
- 各種手続き費用(建築確認申請、上下水道加入金等)
全国平均3,863万円の場合、諸費用は約120万円〜230万円が目安です。
(4) 頭金(自己資金)20%と諸費用5〜10%の準備
土地ありで家を建てる場合、頭金(自己資金)と諸費用を現金で準備するのが一般的です。
自己資金の準備の目安:
- 頭金(自己資金): 建築費の20%程度(約770万円)
- 諸費用: 建築費の5〜10%程度(約190万円〜390万円)
- 合計: 約960万円〜1,160万円の現金を準備
頭金が多いほど住宅ローンの借入額が減り、総返済額も抑えられます。
3. 相場と坪単価:2024年度の全国平均と地域別データ
(1) 全国平均坪単価約134.5万円(2024年度フラット35調査)
2024年度の新築一戸建ての全国平均坪単価は約134.5万円です(イシンホーム調査)。坪単価は、1坪(約3.3㎡)あたりの建築費用を示す指標です。
坪単価の計算例:
- 建築費3,863万円 ÷ 延床面積28.7坪 ≈ 坪単価134.5万円
坪単価はハウスメーカーや地域により大きく異なるため、複数社の見積もりを比較することが重要です。
(2) 地域別相場:東京・首都圏4,015.9万円、関西・近畿圏3,990.5万円
地域により建築費用の相場は大きく異なります。
地域別の建築費用相場(2024年常陽銀行調査):
- 東京・首都圏: 4,015.9万円
- 関西・近畿圏: 3,990.5万円
- 名古屋・東海圏: 3,700万円〜3,800万円程度(推定)
- 全国平均: 3,863万円
都心部ほど人件費・材料費が高く、建築費用が高額になる傾向があります。
(3) 2024年度の建築費平均3,512万円、前年度比+73万円上昇
2024年度の建設費(建物本体工事費)の全国平均は3,512万円で、前年度比+73万円上昇しました(住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」)。
建築費上昇の主な理由:
- ウッドショック(木材高騰)
- 人件費上昇(大工・職人の人手不足)
- 省エネ基準義務化(断熱性能強化による建材費増)
- 建設業の2024年問題(残業規制による生産性低下)
住宅情報館の解説によれば、2024年4月から実施された建設業の残業規制により、大工・職人の人手不足が深刻化し、建築費が上昇傾向にあります。
(4) ハウスメーカーによる坪単価の違い
ハウスメーカーにより坪単価は大きく異なります。
坪単価の目安(2024年時点):
- ローコスト系: 坪単価50万円〜70万円
- 中堅ハウスメーカー: 坪単価70万円〜100万円
- 大手ハウスメーカー: 坪単価80万円〜150万円
- 高級ハウスメーカー: 坪単価100万円〜200万円以上
坪単価の違いは、標準仕様の設備グレード、構造(木造・鉄骨造等)、保証内容等により生じます。複数社の見積もりを比較し、コストパフォーマンスを検討することが重要です。
4. 予算管理のポイント:見積もり比較とコスト削減の方法
(1) 複数のハウスメーカーから見積もりを取る重要性
土地ありで新築一戸建てを建てる場合、複数のハウスメーカーから見積もりを取り、費用を比較することが最も重要です。
見積もり比較のポイント:
- 同じ条件(延床面積、設備グレード等)で3〜5社から見積もりを取る
- 坪単価だけでなく、総額で比較する
- 本体工事費・別途工事費・諸費用の内訳を確認
- 標準仕様とオプション仕様の境界を確認
見積もり比較により、相場感を把握し、予算オーバーを防ぐことができます。
(2) 見積もりに含まれない費用(地盤改良、外構等)の確認
見積もり段階で含まれない費用が後から発生する可能性があるため、事前に確認が必要です。
見積もりに含まれない主な費用:
- 地盤改良工事(軟弱地盤の場合、数十万円〜数百万円)
- 外構工事(駐車場、門扉、塀、庭等)
- 照明器具・カーテン・エアコン等の設備
- 引っ越し費用・仮住まい費用
これらの費用を含めて総額を試算し、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。
(3) 予算オーバーを防ぐ優先順位の明確化と割り切り
予算オーバーを防ぐためには、優先順位を明確にし、割り切りが必要です。
優先順位の考え方:
- 譲れない条件(間取り、設備等)を明確にする
- 標準仕様で満足できる部分はオプションを選ばない
- DIYで対応可能な部分(壁紙、照明器具等)は後回しにする
- 将来のリフォームで対応可能な部分は初期投資を抑える
住宅は一生に一度の買い物ですが、完璧を求めると予算オーバーになりがちです。優先順位を明確にして割り切ることで、予算内で満足度の高い住まいを実現できます。
(4) 余裕を持った予算計画の立て方
土地ありで家を建てる場合、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。
予算計画の立て方:
- 建築費の10〜15%程度の予備費を確保
- 見積もり段階で含まれない費用を事前に試算
- 住宅ローンの借入可能額ではなく、返済可能額で計画
- ファイナンシャルプランナー(FP)への相談を検討
予備費を確保することで、予期しない追加費用が発生しても対応できます。
5. 2024年度の建築費上昇と注意点:ウッドショック・人件費・省エネ基準
(1) 建設業の2024年問題:残業規制による人手不足
2024年4月から実施された建設業の残業規制(働き方改革関連法)により、大工・職人の人手不足が深刻化しています。
建設業の2024年問題の影響:
- 残業時間の上限規制(年間360時間)により、工期が延びる
- 人手不足により人件費が上昇
- 建築費が前年度比+73万円上昇(2024年度フラット35調査)
住宅情報館によれば、建設業の2024年問題により、今後も建築費は上昇傾向が続く可能性があります。
(2) ウッドショック・人件費上昇・省エネ基準義務化の影響
2024年度の建築費上昇には、以下の3つの要因が影響しています。
建築費上昇の3要因:
- ウッドショック: 輸入木材の高騰(2021年〜継続)
- 人件費上昇: 大工・職人の人手不足により賃金が上昇
- 省エネ基準義務化: 2025年4月から断熱性能義務化、建材費が増加
これらの要因により、2024年度は前年度比+73万円上昇しました。
(3) 2024年度建築費用平均4,588万円、前年比+550万円上昇
イシンホームの調査によれば、2024年度の建築費用平均は4,588万円で、前年比+550万円上昇しました。
建築費上昇の内訳:
- 本体工事費: 前年比+350万円程度
- 別途工事費: 前年比+150万円程度
- 諸費用: 前年比+50万円程度
この上昇傾向は2025年以降も継続する可能性があります。
(4) 建築費上昇傾向を踏まえた購入タイミングの考え方
建築費上昇傾向を踏まえて、購入タイミングをどう考えるべきでしょうか。
購入タイミングの考え方:
- 早く建てれば建築費上昇の影響を受けにくい
- ただし、資金計画が不十分なまま急ぐのは危険
- 住宅ローン金利の動向も考慮(2025年以降は上昇傾向の可能性)
- 複数のハウスメーカーで見積もりを取り、相場感を把握してから判断
住宅情報館によれば、「急ぐべきか、待つべきか」は個別の状況により異なるため、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士への相談を推奨します。
6. まとめ:土地ありで理想の新築一戸建てを予算内で実現する
土地ありで新築一戸建てを建てる費用は、全国平均3,863万円(2023年度フラット35調査)で、費用内訳は本体工事費70〜80%、別途工事費15〜20%、諸費用3〜6%が目安です。
2024年度は前年度比+73万円上昇し、ウッドショック・人件費上昇・省エネ基準義務化、建設業の2024年問題が影響しています。頭金(自己資金)は建築費の20%程度、諸費用は5〜10%程度を現金で準備するのが一般的です。
予算オーバーを防ぐためには、複数のハウスメーカーから見積もりを取り、費用を比較し、優先順位を明確にして割り切ることが重要です。余裕を持った予算計画を立て、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士への相談を推奨します。


