月の土地が買える?「月土地値段」の実態と2024年の最新状況
「月の土地が買える」という話を耳にして、本当なのか気になっている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、月の土地の価格、購入方法、法的な位置づけ、注意点について、国際法や宇宙開発の専門家の見解を元に解説します。
月の土地購入を検討している方が、正しい知識を持って判断できるようになります。
この記事のポイント
- 月の土地は1エーカー(約4,047㎡)が約2,700円で購入可能、日本では約15万人のオーナーがいる
- 購入は米国ルナエンバシー社の日本代理店から可能、権利書・月の地図・月の憲法が付属
- 宇宙条約は国家の所有を禁止するが個人所有に言及していない「盲点」を突いた販売
- 月の土地の権利書には実質的な法的効力がなく、専門家は「ジョーク商品」と位置づけている
- あくまでロマンを買う記念品として楽しむもので、投資目的での購入は推奨されない
(1) 月の土地販売の仕組み(ルナエンバシー社)
月の土地を販売しているのは、アメリカのルナエンバシー社です。1980年に創業者のデニス・ホープ氏が「宇宙条約は国家の所有を禁止しているが、個人所有には言及していない」という点に着目し、月の土地の販売を開始しました。
日本ではルナエンバシージャパンが正規代理店として販売しており、オンラインで購入可能です。
(2) 日本では約15万人のオーナーがいる
日本国内では約15万人が月の土地を購入しており、プレゼントや自分へのロマンを買う選択として人気があります。
誕生日プレゼント、結婚記念品、自分へのご褒美として購入されるケースが多く、「月のオーナー」という証明書が記念品として喜ばれています。
(3) 2024年1月のJAXA「SLIM」月面着陸で関心が高まる
2024年1月、JAXAの無人探査機「SLIM」が月面着陸に成功したことで、月への関心が高まっています。
賃貸のマサキによると、この成功により月の土地への問い合わせも増加傾向にあります。
月の土地の価格と購入方法:1エーカー約2,700円の内訳
月の土地の価格と購入方法について、詳しく解説します。
(1) 価格:1エーカー(約4,047㎡)が2,700円
ルナエンバシージャパンによると、月の土地は1エーカー(約4,047㎡、約1,200坪)が2,700円で販売されています。
これはサッカーグラウンド約1面分に相当する広さで、地球上の土地と比較すると非常に低価格です。
(2) 付属品:権利書・月の地図・月の憲法
購入時には以下の付属品が提供されます。
- 権利書(土地の権利証明書): 購入した土地の座標が記載された証明書
- 月の地図: 購入した土地の位置を確認できる地図
- 月の憲法: ルナエンバシー社が定めた月での行動規範
これらの付属品により、「月のオーナー」であることを視覚的に楽しむことができます。
(3) 購入方法:ルナエンバシージャパンの公式サイトから購入可能
購入手順は以下の通りです。
- ルナエンバシージャパンの公式サイトにアクセス
- 購入したい土地の区画を選択
- 氏名・住所等の情報を入力
- 決済(クレジットカード、銀行振込等)
- 権利書・月の地図・月の憲法が郵送される
(4) プレゼント用としても人気
SpaceMateによると、誕生日・結婚記念日・記念品として贈る方が多く、「世界で一つだけのプレゼント」としてサプライズ演出にも活用されています。
月の土地の法的背景:宇宙条約と月協定の違いを理解する
月の土地販売は、国際法の「盲点」を突いた仕組みです。ここでは、その法的背景を解説します。
(1) 宇宙条約(1967年発効):国家の所有を禁止、個人所有に言及なし
外務省によると、宇宙条約(正式名称:月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約)は、1967年に発効した国際条約です。
この条約では、以下のように規定されています。
第2条
月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。
重要なのは、この条文が「国家による所有」を禁止しているものの、個人による所有には言及していない点です。
ルナエンバシー社はこの「盲点」を根拠として、月の土地販売を行っています。
(2) 月協定(1984年発効):個人所有も禁止だが主要国が批准していない
JAXAによると、月協定(正式名称:月その他の天体における国家活動を律する協定)は、1984年に発効しました。
この協定では、個人による月の所有も禁止されています。しかし、主要な宇宙開発国(アメリカ・ロシア・中国・日本等)が批准していないため、実効性が低いとされています。
(3) ルナエンバシー社の主張:「宇宙条約の盲点を突いた」
ルナエンバシー社の主張は以下の通りです。
- 宇宙条約は個人所有を禁止していない
- 月協定は批准国が少なく実効性がない
- したがって個人が月の土地を所有できる
ただし、ZUU onlineによると、宇宙法の専門家(宇宙弁護士)は「あくまで主張であり、法的保証は伴わない」と指摘しています。
(4) 国際法の実効性:月協定の批准国は約17カ国のみ
国連広報センターによると、月協定の批准国は約17カ国にとどまり、主要な宇宙開発国は批准していません。
そのため、月の土地の所有に関する国際的なルールは、実質的に「グレーゾーン」の状態です。
月の土地の権利書に法的効力はあるのか?専門家の見解
月の土地の権利書には、実際に法的な効力があるのでしょうか。専門家の見解を紹介します。
(1) 実質的な法的効力はない(宇宙弁護士の見解)
ZUU onlineの「宇宙弁護士」による解説では、以下のように述べられています。
「月の土地の権利書には、実質的な法的効力はありません。あくまでジョーク商品、記念品として位置づけられます。」
仮に月面での土地紛争が発生した場合、現行の国際法では裁定する仕組みが存在しないため、「権利書を持っているから所有権がある」とは認められない可能性が高いとされています。
(2) ルナエンバシー社の立場:「主張はするが保証はしない」
ルナエンバシー社自身も、「主張はするが法的保証はしない」というスタンスを取っています。
ダイヤモンドオンラインによると、同社は「将来的に月の土地の所有権が認められる可能性はあるが、保証はできない」と説明しています。
(3) 将来の宇宙開発により権利が認められない可能性が高い
今後、月面基地の建設や資源開発が進めば、国際法の整備が進む可能性があります。
その際、個人の所有権が否定され、権利放棄を求められる可能性も否定できません。
(4) あくまでジョーク商品・記念品としての位置づけ
SpaceMateによると、月の土地はあくまで「ロマンを買う」記念品として楽しむものであり、投資や資産形成の手段としては推奨されていません。
月の土地購入時の注意点:ジョーク商品・記念品としての位置づけ
月の土地を購入する際には、以下の点に注意してください。
(1) 法的保証はない(資産価値はない)
月の土地の権利書には法的効力がなく、資産価値もありません。
「将来的に価値が上がる」「投資になる」といった期待は、現実的ではないことを理解しておく必要があります。
(2) 将来の権利放棄の可能性
今後、国際法の整備により、個人所有が禁止される可能性もあります。
その場合、購入した「権利」が無効化されるリスクがあることを認識しておきましょう。
(3) 月の表側(地球から見える範囲)のみが販売対象
賃貸のマサキによると、現在販売されているのは月の表側(地球から見える範囲)のみです。
月の裏側の土地は、まだ販売対象になっていません。
(4) ロマンを買う記念品として楽しむ
月の土地購入は、あくまで「ロマンを買う」行為です。
誕生日プレゼント、記念品、自分へのご褒美として、楽しみながら購入することが推奨されます。
まとめ:月の土地はロマンを買う選択、法的保証はない
月の土地は1エーカー約2,700円で購入でき、権利書・月の地図・月の憲法が付属します。宇宙条約の「盲点」を突いた販売ですが、実質的な法的効力はなく、専門家は「ジョーク商品」と位置づけています。
将来の宇宙開発により権利が認められない可能性が高く、投資目的での購入は推奨されません。
あくまでロマンを買う記念品として、楽しみながら購入することが大切です。詳細はルナエンバシージャパンの公式サイトでご確認ください。
