マンション間取り図とは?見方の基本
マンションの購入や賃貸を検討する際、間取り図を見ても「S」「PS」「MB」などの記号の意味が分からず、図面から実際の住み心地をイメージできないと感じる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、間取り図の基本的な見方、記号・用語の意味、物件選びで確認すべきポイントを解説します。間取り図を正確に読み解くことで、生活動線や採光・収納など、実際の住み心地を事前に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 間取り図の方位記号「N」で北の方角を確認し、バルコニーの向きから日当たりを判断できる
- 壁芯計算により壁の厚みも含めて面積が表記されるため、実際の使用可能面積より広く見える
- S(サービスルーム)は採光・換気基準を満たさない部屋で、居室として表記できない
- 水回り(トイレ、風呂、洗面所、キッチン)がまとまっていると家事動線がスムーズになる
- 間取り図だけでは採光・通風・眺望は判断できないため、必ず現地見学で確認が必要
間取り図の役割と表記ルール
間取り図とは、マンションの部屋の配置、広さ、設備の位置などを平面的に示した図面です。不動産広告の表示ルール(不動産公正取引協議会の規約)に基づいて作成されており、記号や用語には一定の基準があります。
方位記号「N」の確認(北の方角)
間取り図には必ず方位記号「N」が記載されており、これが北の方角を示します。図面の上側が必ず北とは限らないため、方位記号を確認しましょう。一般的に、バルコニーがある方角が部屋の向きとされ、南向きは日当たりが良好、北向きは日当たりが少ない傾向にあります。
壁・窓・扉の表記の読み方
間取り図では以下のように表記されます。
- 壁: 太い線で表記
- 窓: 二重線で表記(開閉方向が矢印で示される)
- 扉: 扉の開き方を示す弧線で表記
窓の位置を確認することで、採光・通風の良し悪しを判断できます。
壁芯計算の注意点(実際の広さとの違い)
間取り図の面積は「壁芯計算」で表記されることが多く、壁の中心から測定するため、壁の厚みも含まれます。実際の使用可能面積(内法面積)より広く表記されるため、図面上の広さと実際の広さが異なることに注意が必要です。
間取り図の記号と用語(S・PS・MB等)
間取り図には、さまざまな記号や略語が使われています。これらの意味を理解することで、図面を正確に読み解けます。
S(サービスルーム):採光・換気基準を満たさない部屋
「S」はサービスルームの略で、建築基準法上の採光・換気基準を満たさない部屋を指します。窓がない、または窓が小さいため、居室として表記できません。納戸、書斎、収納スペースとして使用されることが多いです。
PS(パイプスペース):給排水管のスペース
「PS」はパイプスペースの略で、給排水管が通っているスペースです。メンテナンス用のスペースであり、使用できる空間ではありません。
MB(メーターボックス):メーター設置場所
「MB」はメーターボックスの略で、電気・ガス・水道のメーターが設置されている場所です。玄関脇に配置されることが多いです。
LDK表記の意味(1LDK/2LDK/3LDK)
LDKは、Living(リビング)、Dining(ダイニング)、Kitchen(キッチン)の略です。数字は居室の数を示します。
| 間取り | 構成 | 適した家族構成 |
|---|---|---|
| 1LDK | 1つの居室+LDK | 1人暮らし、2人暮らし |
| 2LDK | 2つの居室+LDK | 2人暮らし、3人家族 |
| 3LDK | 3つの居室+LDK | 3-4人家族 |
電気コンセント・スイッチの記号
間取り図には、電気コンセントやスイッチの位置も記載されています。
- コンセント: 「○」や「⊕」で表記
- スイッチ: 「S」や「SW」で表記
- ダウンライト: 「◎」で表記
コンセントの位置を確認することで、家具の配置や家電の設置場所を事前に計画できます。
間取り図で確認すべき5つのポイント
間取り図を見る際、以下の5つのポイントを確認することで、実際の住み心地をイメージできます。
方位と日当たり(バルコニーの向き)
方位記号で北の方角を確認し、バルコニーの向きから日当たりを判断しましょう。
| バルコニーの向き | 日当たり | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 南向き | 良好 | 冬暖かい、洗濯物が乾きやすい | 夏は暑い |
| 東向き | 午前中◎ | 朝日が入る | 午後は暗い |
| 西向き | 午後◎ | 午後の日差しが入る | 夏の西日が暑い |
| 北向き | 少ない | 安定した光、夏涼しい | 冬寒い、洗濯物が乾きにくい |
ただし、都市部では建物が密集しているため、間取り図だけでは実際の日当たりは判断できません。必ず現地見学で確認しましょう。
家事動線(水回りの配置)
水回り(トイレ、風呂、洗面所、キッチン)がまとまっていると、家事動線がスムーズになります。キッチンから洗濯機、バルコニーへの動線が短いと、料理しながら洗濯を干すなど、効率的な家事が可能です。
収納スペースの位置と広さ
収納スペースの位置と広さを確認しましょう。
- ウォークインクローゼット(WIC): 中に人が入れる広さの収納
- クローゼット(CL): 奥行きのある収納
- 押入れ: 布団などを収納できる和室の収納
収納が少ない場合、家具で補う必要があり、居住スペースが狭くなります。
採光・通風(各部屋の窓の配置)
各部屋に窓があるか、窓の配置が適切かを確認しましょう。窓が一方向のみの場合、通風が悪くなります。対角線上に窓がある間取りは、風通しが良好です。
プライバシー(玄関と居室の位置関係)
玄関から居室が直接見えない配置か確認しましょう。玄関を開けたときにリビングや寝室が見えると、プライバシーが保ちにくくなります。
家族構成別の間取り選びのポイント
家族構成やライフスタイルに応じた間取り選びが重要です。
1人暮らし:1LDK/1DKが主流
1人暮らしは1LDKまたは1DKが主流です。在宅勤務スペースが必要な場合は、1LDKで居室を仕事部屋にする、またはサービスルーム(S)付きの物件を選ぶとよいでしょう。
2人暮らし:1LDK/2LDKが人気
2人暮らしは1LDKまたは2LDKが人気です。寝室を分けたい場合は2LDK、リビングを広く使いたい場合は1LDKが適しています。
4人家族:3LDKが90%以上(2LDKもトレンド)
4人家族の90%以上が3LDKを選択しています。子ども部屋を2つ確保でき、親の寝室も独立させられます。近年は、広めのLDKとサービスルーム付きの2LDKもトレンドとなっています。
将来の家族構成の変化を考慮(子どもの成長、在宅勤務等)
現在の家族構成だけでなく、将来の変化も考慮しましょう。
- 子どもの成長(個室が必要になる)
- 在宅勤務スペースの確保
- 親の同居(バリアフリー化)
田の字型の間取りの特徴(無駄なスペースが少ない)
「田の字型」は、居室が「田」の字のように配置された間取りです。無駄なスペースが少なく、各部屋に窓があり採光・通風が良好です。資産価値が落ちにくい間取りとされています。
高級マンションの間取りの特徴
高級マンションは、一般的なマンションとは異なる特徴があります。
広さの違い(一般3LDK80㎡ vs 高級200㎡超)
一般的な3LDKマンションの面積は80㎡程度ですが、高級マンションでは200㎡を超える物件も存在します。
リビング20畳以上・主寝室10畳以上
高級マンションの特徴として、リビングが20畳以上、主寝室が10畳以上と、各部屋が広く設計されています。
アイランドキッチン等の設備
アイランドキッチン、床暖房、浴室テレビなど、高級設備が標準装備されています。
2024年東京23区の価格帯(新築2LDK: 5,000万円〜2億9,000万円)
2024年8月時点で、東京23区の新築2LDKの価格帯は5,000万円〜2億9,000万円です。新築マンション供給戸数は前年比59.8%減の345戸と、市場が縮小傾向にあります。
まとめ:間取り図から住み心地をイメージする
間取り図を正確に読み解くためには、方位記号、記号・用語(S、PS、MB等)、壁芯計算の仕組みを理解することが重要です。
物件選びでは、方位と日当たり、家事動線、収納スペース、採光・通風、プライバシーの5つのポイントを確認しましょう。家族構成やライフスタイルに応じた間取りを選び、将来の家族の変化も考慮することで、長く快適に住める物件を見つけることができます。
間取り図だけでは実際の採光・通風・眺望は判断できません。必ず現地見学で実際の住環境を確認し、不動産業者や建築士に相談しながら、納得のいく物件選びを進めましょう。
