マンション購入時の火災保険の選び方と相場

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

マンション購入時に火災保険が必要な理由

マンション購入を検討する際、物件価格や住宅ローンの金利に注目しがちですが、火災保険も重要な検討事項です。特に住宅ローンを利用する場合、火災保険加入が融資条件になることがほとんどです。

この記事では、マンション購入時の火災保険の選び方、保険料の相場、必要な補償内容、加入のタイミングについて解説します。初めて火災保険に加入する方でも、必要な補償を適切に選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン利用時は火災保険加入が融資条件になることがほとんど
  • マンション火災保険の相場は年間1.5万円〜4万円程度(地震保険を含む)
  • 水濡れ補償と個人賠償責任保険(1億円以上)は必須級の補償
  • 物件引き渡し日の2週間前には申し込みを完了させ、複数社見積もりを比較することが重要

(1) 住宅ローン利用時は火災保険加入が融資条件

住まいサーフィンによると、住宅ローン利用時は金融機関から火災保険加入が融資条件になることがほとんどです。これは、火災や自然災害で物件が損害を受けた場合、ローン返済が滞るリスクを金融機関が回避するためです。

ローンを使わない場合でも、マンション特有のリスク(水濡れ、賠償責任等)に備えて加入することが推奨されます。

(2) マンション特有のリスク(水濡れ、賠償責任等)

マンションでは、上階からの水漏れや給排水設備の事故による水濡れ被害、自分が下階に水漏れさせてしまう賠償責任リスクなど、戸建てとは異なるリスクがあります。これらのリスクに対応する補償を選ぶことが重要です。

マンション火災保険の基礎知識(専有部分・共有部分)

マンション火災保険を選ぶ前に、専有部分と共有部分の違いを理解しておく必要があります。

(1) 専有部分と共有部分の違い

価格.comによると、マンションの火災保険は専有部分と共有部分で補償範囲が異なります。

区分 定義 補償主体
専有部分 購入者が所有する部分(居室内部、床・壁・天井の内側等) 個人で加入する火災保険
共有部分 全区分所有者が共同で所有する部分(エントランス、廊下、階段、外壁等) 管理組合で加入する火災保険

個人で加入する火災保険は専有部分のみを補償します。共有部分の補償は管理組合が加入する火災保険でカバーされるため、個人で重複加入する必要はありません。

(2) マンション構造(M構造)と火災保険料

マンション等の共同住宅でコンクリート造・鉄骨造などの耐火構造建物は「M構造」に分類され、火災保険料が最も安い構造区分です。戸建て(木造)と比べて火災リスクが低いため、保険料が抑えられます。

(3) 地震保険のセット加入義務

地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、単独加入できません。地震・噴火・津波による損害を補償するため、日本では加入が推奨されます。

マンション火災保険の相場と保険料を決める要因

マンション火災保険の保険料は、築年数、所在地、補償内容によって大きく変動します。

(1) 保険料の相場(年間1.5万円〜4万円程度)

みんかぶ保険によると、マンション火災保険の相場は地震保険を含めて年間1.5万円〜4万円程度です。保険会社によって計算方法が異なるため、複数社で見積もりを取ることが重要です。

(2) 保険料を決定する要因(築年数、所在地、補償内容)

保険料を決定する主な要因は以下の通りです。

要因 内容
築年数 築年数が古いほど保険料が高くなる傾向
所在地 水災リスクが高い地域は保険料が高くなる(2024年10月から地域差別化導入)
補償内容 補償範囲を広げるほど保険料が高くなる
契約期間 5年契約にすると1年あたりの保険料を抑えられる

(3) 2024年10月の保険料改定と地域差別化

マンション保険バスターズによると、2024年10月に大手保険会社が保険料改定を実施し、水災補償に地域差別化を導入しました。また、最長契約期間が5年に短縮されました。

補償内容の選び方とおすすめの特約

マンション火災保険で重要な補償と特約について解説します。

(1) 必須級の補償:水濡れ補償

水濡れ補償は、上階からの水漏れや給排水設備の事故による損害を補償します。マンションでは上下階の水漏れトラブルが発生しやすいため、水濡れ補償は必須級の補償です。

(2) 必須級の特約:個人賠償責任保険(1億円以上)

マイベストによると、個人賠償責任保険は自分が他人に損害を与えた場合の賠償責任を補償します。下階への水漏れ等で高額な賠償責任が発生する可能性があるため、1億円以上の補償額が推奨されます。

(3) 高層階の場合:水災補償の取り扱い

高層階に住む場合は、浸水リスクが低いため水災補償を外すことで保険料を抑えられる可能性があります。ただし、台風や豪雨による損害も水災補償に含まれる場合があるため、詳細は保険会社に確認してください。

(4) 示談交渉サービス付きを選ぶ

個人賠償責任保険には、示談交渉サービス付きを選ぶことが推奨されます。賠償トラブルが発生した際、保険会社が代わりに示談交渉を行ってくれます。

火災保険加入のタイミングと手続きの流れ

火災保険加入のタイミングと手続きについて解説します。

(1) 物件引き渡し日の2週間前には申し込み完了

住まいサーフィンによると、物件引き渡し日の最低2週間前には火災保険の申し込みを完了させることが推奨されます。審査や手続きに時間がかかる場合があるため、余裕を持って手続きを進めてください。

(2) 補償開始日を引き渡し日に設定

補償開始日は物件引き渡し日に設定します。引き渡し日から補償が開始されるようにすることで、引き渡し後すぐに発生した損害もカバーされます。

(3) 複数社の見積もりを比較する(不動産会社や銀行の推奨プランをそのまま受け入れない)

不動産会社や銀行が推奨する火災保険プランをそのまま受け入れるのではなく、複数社の見積もりを比較してください。保険会社によって保険料や補償内容が異なるため、比較することで最適なプランを選べます。

(4) 5年契約で保険料を抑える

2024年10月以降、火災保険の最長契約期間は5年です。5年契約にすると1年あたりの保険料を抑えられる場合があります。

まとめ:マンション購入時の火災保険選びのポイント

マンション購入時の火災保険は、住宅ローン利用時は融資条件になることがほとんどです。保険料の相場は年間1.5万円〜4万円程度(地震保険を含む)で、築年数、所在地、補償内容によって変動します。

水濡れ補償と個人賠償責任保険(1億円以上)は必須級の補償です。物件引き渡し日の2週間前には申し込みを完了させ、複数社の見積もりを比較することが重要です。

信頼できる保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない補償内容を選びましょう。

よくある質問

Q1マンション購入時に火災保険は必須なのか?

A1住宅ローン利用時は金融機関から火災保険加入が融資条件になることがほとんどです。ローンを使わない場合でも、マンション特有のリスク(水濡れ、賠償責任等)に備えて加入することが推奨されます。火災保険に加入していないと、火災や自然災害で物件が損害を受けた場合、全額自己負担になります。

Q2火災保険の相場はいくらか?

A2マンション火災保険の相場は地震保険を含めて年間1.5万円〜4万円程度です。築年数、所在地、補償内容によって保険料が変動します。保険会社によって計算方法が異なるため、複数社の見積もりを取って比較することが重要です。5年契約にすると1年あたりの保険料を抑えられる場合があります。

Q3どの補償を選べばよいのか?

A3水濡れ補償と個人賠償責任保険(1億円以上)は必須級の補償です。水濡れ補償は上階からの水漏れや給排水設備の事故による損害を補償し、個人賠償責任保険は自分が下階に水漏れさせてしまった場合の賠償責任を補償します。高層階に住む場合は水災補償を外すことで保険料を抑えられる可能性があります。

Q4地震保険は必要か?

A4地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、単独加入できません。地震・噴火・津波による損害を補償するため、日本では加入が推奨されます。火災保険だけでは地震による火災や建物の損壊は補償されないため、地震リスクに備える場合は地震保険への加入を検討してください。

Q5いつまでに加入すればよいのか?

A5物件引き渡し日の最低2週間前には火災保険の申し込みを完了させてください。補償開始日は物件引き渡し日に設定します。審査や手続きに時間がかかる場合があるため、余裕を持って手続きを進めることが重要です。引き渡し日から補償が開始されるようにすることで、引き渡し後すぐに発生した損害もカバーされます。

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Room Match編集部

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