土地の価格相場を知りたいと思ったことはありますか?
土地の購入や売却を検討する際、「この土地は適正価格なのか」「相場はどれくらいなのか」と疑問に思うことは少なくありません。土地価格には公示地価・路線価・実勢価格など複数の指標があり、それぞれの意味と調べ方を理解していないと、適正価格を見極めることは困難です。
この記事では、土地価格の5つの指標(一物五価)を明確に解説し、国土交通省「不動産情報ライブラリ」等の無料ツール活用法を具体的に提示します。エリア別の相場動向、適正価格の判断基準、売買時の注意点を網羅しています。
この記事のポイント
- 土地価格には「一物五価」といわれる5つの指標があり、公示地価・基準地価・実勢価格・相続税路線価・固定資産税評価額をそれぞれ理解する必要がある
- 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で実際の取引価格データを無料で確認できる
- 全国地価マップでは固定資産税路線価・相続税路線価・公示地価・基準地価の4種類の公的評価情報を同時に閲覧可能
- 2025年公示地価は全国平均+2.7%上昇、住宅地+2.1%、商業地+3.9%で4年連続上昇を記録
- 公示地価や路線価は指標に過ぎず、実際の取引価格とは乖離があることが多い(特に都市部や人気住宅地では公示地価より高く取引される)
土地価格の5つの指標(一物五価)
日本の土地には「一物五価」と呼ばれる5つの異なる価格指標が存在します。それぞれの意味と用途を理解することが、土地価格相場を把握する第一歩です。
公示地価(公示価格)
**公示地価(公示価格)**は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格を3月下旬に公表する指標です。2名以上の不動産鑑定士が評価し、全国約26,000地点の標準地の価格を示します。
公示地価は、一般の土地取引の指標や公共事業用地の取得価格算定の基準として使用されます。
基準地価(都道府県地価調査)
**基準地価(都道府県地価調査)**は、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を9月下旬に公表する指標です。1名以上の不動産鑑定士が評価します。
公示地価と基準地価は、1月1日と7月1日という異なる時点で評価されるため、半年ごとの地価動向を補完し合う関係にあります。
実勢価格
実勢価格は、実際に土地が売買される市場価格です。公示地価や路線価とは異なり、個別の取引により決まります。
実勢価格は、立地・形状・接道状況・周辺環境などの個別要因により、公示地価より高くなったり低くなったりします。
相続税路線価
相続税路線価は、国税庁が相続税・贈与税の算定基準として公表する路線価です。公示地価の約80%に設定されています。
毎年7月1日に公表され、前年1月1日時点の評価額を基準としています。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、市区町村が固定資産税・不動産取得税・登録免許税の算定基準として評価する価格です。公示地価の約70%に設定されています。
3年に1度評価替えが行われ、その間は原則として据え置かれます。
土地価格の調べ方
土地価格を調べる方法は複数あります。目的に応じて適切な方法を選択しましょう。
不動産情報ライブラリ(国土交通省)
国土交通省 不動産情報ライブラリ(2024年4月に土地総合情報システムから改称)では、公示地価・基準地価・実際の取引価格を無料で確認できます。
使い方:
- 「不動産取引価格情報検索」で都道府県・市区町村を選択
- 地図または住所で絞り込み
- 実際の取引価格データ(面積・単価・取引時期)を確認
このサイトは、国土交通省が不動産購入者へのアンケート調査を基に作成した公式データであり、最も信頼性の高い情報源の一つです。
全国地価マップ
全国地価マップでは、固定資産税路線価・相続税路線価・公示地価・基準地価の4種類の公的評価情報を地図上で一括閲覧できます。
使い方:
- 都道府県・市区町村を選択
- 調べたい土地の場所を地図上でクリック
- 4種類の評価額を同時に確認
不動産ポータルサイト
SUUMO、HOME'S、at home等の不動産ポータルサイトでは、現在売り出されている土地の価格を確認できます。これらは実勢価格の目安となります。
注意点:
- 売り出し価格であり、実際の成約価格とは異なる場合がある
- 人気エリアでは値引きがほとんどないため、売り出し価格≒成約価格の傾向
不動産一括査定サイト
HOME'S、SUUMO、イエウール等の不動産一括査定サイトでは、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できます。
メリット:
- 複数社の査定額を比較できる
- 無料で利用可能
- 実勢価格に近い査定額が得られる
デメリット:
- 営業電話がかかってくる可能性がある
- 査定額は売却保証額ではない
エリア別の土地価格相場
2025年最新の土地価格動向
2025年公示地価(2025年1月1日時点、3月公表)は、以下の通りです。
| 項目 | 上昇率 |
|---|---|
| 全国平均 | +2.7% |
| 住宅地 | +2.1% |
| 商業地 | +3.9% |
4年連続の上昇を記録しており、インバウンド需要の拡大や円安、低金利継続が要因とされています。
(出典: 日本経済新聞 地価マップ2025)
三大都市圏と地方の価格差
三大都市圏(東京・大阪・名古屋)と地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)は上昇傾向が続いていますが、その他地方は下落傾向が続いています。
| エリア | 傾向 |
|---|---|
| 東京都心部 | 大幅上昇(+5%以上) |
| 三大都市圏郊外 | 緩やかな上昇(+1-3%) |
| 地方四市 | 上昇(+2-4%) |
| その他地方 | 下落(-1%以下) |
都道府県別の相場傾向
都道府県別の公示地価は、土地代データで詳細に確認できます。都道府県・市区町村別の公示地価・基準地価データと推移グラフが掲載されています。
適正価格の見極め方と注意点
公示地価と実勢価格の乖離
公示地価や路線価は指標に過ぎず、実際の取引価格とは乖離があることが多いです。
実勢価格の推定方法:
- 相続税路線価から推定: 相続税路線価 ÷ 0.8
- 固定資産税評価額から推定: 固定資産税評価額 ÷ 0.7
ただし、都市部や人気住宅地では公示地価より高く取引されることが多く、推定値はあくまで目安として使用してください。
土地価格を決める要因
土地価格は、以下の要因により変動します。
- 立地: 駅からの距離、周辺環境、利便性
- 都市計画: 用途地域(住居地域、商業地域等)、建ぺい率・容積率
- 交通アクセス: 最寄り駅までの時間、幹線道路へのアクセス
- 周辺環境: 商業施設、学校、病院、公園の有無
- 経済情勢: 景気、金利、インフレ率
- 土地の形状: 整形地か不整形地か、接道状況
これらの要因を総合的に評価することで、適正価格を見極めることができます。
複数社査定の重要性
土地の売却を検討する場合、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
理由:
- 特定業者の偏った評価で損をしないため
- 相場感を正確に把握できるため
- 高く売却できる可能性が高まるため
最低でも3社以上に査定を依頼し、査定額の根拠を確認しましょう。
まとめ:土地価格調査のステップ
土地の価格相場を調べるには、公示地価・基準地価・実勢価格・相続税路線価・固定資産税評価額の5つの指標(一物五価)を理解することが重要です。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「全国地価マップ」を活用することで、無料で公的データを確認できます。2025年は全国平均で+2.7%上昇しており、三大都市圏と地方四市は上昇傾向ですが、その他地方は下落傾向が続いています。
公示地価は指標に過ぎず、実勢価格とは乖離があることを認識し、複数の不動産会社に査定を依頼して総合的に判断しましょう。詳細は宅地建物取引士や不動産鑑定士などの専門家にご相談ください。
