なぜ不況下でも土地価格が上昇し続けるのか
土地購入を検討する際、「なぜ土地がこんなに高いのか」「地価は今後も上がり続けるのか」「少しでも安く買う方法はないのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、国土交通省の令和6年地価公示や大和ハウス工業の地価分析レポート(2024年)を元に、土地価格が高い理由、地価上昇の要因、エリア別相場、土地を安く買う方法を詳しく解説します。
土地購入を検討している方が、価格の決まり方を理解し、購入タイミングを見極め、予算内で最適な土地を見つけられるようになります。
この記事のポイント
- 2024年公示地価は全国平均+2.3%(33年ぶりの上昇率)で、住宅地+2.0%、商業地+3.1%と上昇継続
- 土地価格は駅近・間口広・南向き・角地・整形地で高額、不整形地・旗竿地・変形地・北向き・郊外で割安
- 地価上昇の要因は、低金利政策(2013年以降)、インフラ整備(新駅開業・再開発)、半導体産業・インバウンド需要、人口集中
- 都道府県別では沖縄+5.5%、福岡+5.2%、宮城+4.7%、北海道+4.4%がトップ(2024年)
- 土地を安く買う方法は、不整形地、南向き以外、古家付き土地、分譲地の売れ残り、空き家バンク活用、価格交渉(定価の10~20%を目安)
(1) 2024年公示地価は33年ぶりの上昇率+2.3%を記録
国土交通省の令和6年地価公示によると、2024年の公示地価は全国平均+2.3%と33年ぶりの上昇率を記録しました。
公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表する、1月1日時点の標準地の価格で、土地取引の指標として利用されます。
住まいの情報館(2024年4月)によると、住宅地は+2.0%、商業地は+3.1%と、用途別でも上昇が継続しています。
(2) 都市部から郊外・地方圏への波及が拡大中
地価上昇は、都市部から郊外・地方圏へ波及しており、これまで価格が横ばいだった地域でも上昇が始まっています。
大和ハウス工業(2025年レポート)によると、全国の地価は4年連続で全用途平均上昇し、上昇率が拡大しています。全国平均+2.7%は過去最大の上昇幅(バブル期以来)です。
(3) 本記事で解説する内容(価格決定要因・安く買う方法・購入タイミング)
本記事では、以下の内容を詳しく解説します。
- 土地価格の決定要因(立地・形状・方角)
- 地価上昇の要因(低金利政策・インフラ整備・産業振興・インバウンド需要)
- 2024-2025年のエリア別地価動向
- 土地を安く買う7つの方法
- 購入タイミングの判断材料
土地価格の決まり方|立地・形状・方角が価格に与える影響
(1) 高い土地の特徴|駅近・間口広・南向き・角地・整形地
不動産高く売れるドットコムによると、以下の特徴を持つ土地は高額になります。
| 項目 | 特徴 | 理由 |
|---|---|---|
| 駅近 | 駅から徒歩10分以内 | 利便性が高い |
| 間口広 | 道路に接する幅が広い | 視認性・設計自由度が高い |
| 南向き | 南側が道路に接する | 日当たりが良い |
| 角地 | 2方向が道路に接する | 日当たり・通風が良い |
| 整形地 | 長方形で整っている | 設計の自由度が高い |
(出典: 不動産高く売れるドットコム)
間口とは、土地が道路に接する幅で、間口が広いと視認性・設計自由度が高く、価格が高くなります。
(2) 安い土地の特徴|不整形地・旗竿地・変形地・北向き・郊外
一方、以下の特徴を持つ土地は割安になります。
| 項目 | 特徴 | 理由 |
|---|---|---|
| 不整形地 | 旗竿地(敷地延長)、変形地等 | 設計の自由度が低い |
| 北向き | 北側が道路に接する | 日当たりが悪い |
| 郊外 | 駅から遠い | 利便性が低い |
不整形地とは、旗竿地(敷地延長)、変形地等の非長方形の土地で、設計の自由度が低く、価格は割安です。
(3) 4つの地価指標|公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額
土地価格を判断する際には、以下の4つの地価指標を参考にします。
| 指標 | 公表時期 | 基準日 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 公示地価 | 3月(国土交通省) | 1月1日 | 土地取引の指標 |
| 基準地価 | 9月(都道府県) | 7月1日 | 土地取引の指標 |
| 路線価 | 7月(国税庁) | 1月1日 | 相続税・贈与税の算定 |
| 固定資産税評価額 | 3年ごと(市町村) | 1月1日 | 固定資産税の算定 |
基準地価とは、都道府県が毎年9月に公表する、7月1日時点の基準地の価格で、公示地価と合わせて土地取引の指標となります。
地価上昇の要因|低金利政策・インフラ整備・産業振興・インバウンド需要
(1) 日銀の低金利政策(2013年以降)が不動産価格を押し上げ
スターツCAM株式会社(2024年レポート)によると、日銀の低金利政策(2013年頃から)が不動産価格上昇に大きく影響しています。
低金利により住宅ローンの借入コストが下がり、購入需要が増加しました。
(2) 新駅開業・再開発による周辺地域の資産価値急上昇
新駅開業や再開発により、周辺地域の資産価値が急上昇する場合があります。
スターツCAM株式会社(2024年レポート)によると、インフラ整備(新駅開業、再開発)は地価上昇の主要因の一つです。
(3) 半導体産業の発展とインバウンド需要が地方圏を牽引
大和ハウス工業(2024年レポート)によると、半導体産業の発展とインバウンド需要が地方圏の地価上昇を牽引しています。
インバウンド需要とは、訪日外国人観光客による需要で、ホテル用地や観光地の地価上昇要因となります。
(4) 人口集中エリアへの需要増加
都市部への人口集中が続いており、東京23区や政令指定都市では住宅需要が高まっています。
2024-2025年のエリア別地価動向|都道府県別・東京23区・人気観光地
(1) 都道府県別ランキング|沖縄+5.5%、福岡+5.2%、宮城+4.7%、北海道+4.4%
大和ハウス工業(2024年レポート)によると、都道府県別の地価上昇率トップは以下の通りです。
| 順位 | 都道府県 | 上昇率 |
|---|---|---|
| 1位 | 沖縄 | +5.5% |
| 2位 | 福岡 | +5.2% |
| 3位 | 宮城 | +4.7% |
| 4位 | 北海道 | +4.4% |
(出典: 大和ハウス工業(2024年レポート))
半導体産業の発展(宮城・福岡)、インバウンド需要(沖縄・北海道)が主な要因です。
(2) 東京23区の住宅地は平均5.4%上昇|豊島区・中央区・文京区がトップ3
住まいの情報館(2024年10月)によると、東京23区の住宅地は平均5.4%上昇しました。
| 順位 | 区 | 上昇率 |
|---|---|---|
| 1位 | 豊島区 | 7.8% |
| 2位 | 中央区 | 7.5% |
| 3位 | 文京区 | 7.4% |
(出典: 住まいの情報館(2024年10月))
駅別では、飯田橋、東新宿、つくばエクスプレス沿線が上昇しています。
(3) 人気観光地の急上昇|白馬村29.6%、富良野・宮古島も高水準
住まいサーフィン(2025年レポート)によると、2025年の地価上昇率トップは北海道、長野県、沖縄県です。
特に白馬村は19.5%→29.6%に上昇し、富裕層の別荘・マンション需要が高まっています。
富良野、宮古島も高水準の上昇を記録しています。
(4) 2025年の見通し|地方圏・観光地への波及継続
大和ハウス工業(2025年レポート)によると、2025年も地価上昇が継続する見通しです(全国平均+2.7%予測)。
地方圏や人気観光地への波及が拡大中で、今後も上昇が続く可能性があります。
土地を安く買う7つの方法|不整形地・古家付き・価格交渉のコツ
(1) 不整形地(旗竿地・変形地)を選ぶ
株式会社住宅市場によると、不整形地(旗竿地、変形地等の非長方形)は人気が低く、価格が安い傾向があります。
ただし、設計の自由度が低く、資産価値も低くなる可能性があるため、デメリットを十分理解してから購入してください。
(2) 南向き以外(東・西・北向き)を検討する
株式会社住宅市場によると、南向き土地は最も高額で価格交渉が困難なため、南向き以外を検討すると安く買えます。
東向き・西向き・北向きは、日当たりが南向きより劣りますが、価格は割安です。
(3) 分譲地の売れ残り物件を狙う
分譲地の売れ残り物件は、早期完売を目指す開発業者から値引きしてもらえる可能性があります。
(4) 古家付き土地を購入して解体する
あきの家づくりによると、古家付き土地は解体が必要ですが、更地より割安で、10~20%の価格交渉を目指せます。
解体費用を考慮しても、トータルでは安く買える場合があります。
(5) 売り急ぎ物件(相続案件・企業所有)を探す
相続案件や企業所有の土地は、売り急ぎで相場以下の価格で売り出されることがあります。
(6) 空き家バンク・買取専門業者を活用する
不動産査定【マイナビニュース】によると、空き家バンク活用で割安物件を探せます。
買取専門業者から買うと、質の良い割安な土地情報が得られることがあります。
(7) 価格交渉のコツ|定価の10~20%を目安に
あきの家づくりによると、価格交渉は定価の10~20%を目安にします。
根拠を明示し(周辺相場、物件の条件不利等)、丁寧に交渉することが重要です。
まとめ|購入タイミングの判断材料と専門家への相談
(1) 地価上昇は今後も継続する可能性|最新データの確認が重要
2024年の公示地価は全国平均+2.3%(33年ぶりの上昇率)で、2025年も+2.7%予測と上昇が継続する見通しです。都道府県別では沖縄+5.5%、福岡+5.2%、宮城+4.7%、北海道+4.4%がトップで、地方圏や人気観光地への波及が拡大中です。
地価は地域・時期により大きく異なるため、国土交通省の地価公示や基準地価で最新データを確認することが重要です。
(2) 安い土地には必ず理由がある|デメリットを十分理解してから購入
土地を安く買う方法は、不整形地(旗竿地・変形地)、南向き以外、古家付き土地、分譲地の売れ残り、空き家バンク活用、価格交渉(定価の10~20%を目安)等があります。
ただし、安い土地には必ず理由があり(不整形、条件不利等)、デメリット(日当たり・利便性・再建築制限・資産価値等)を十分理解してから購入してください。
(3) 専門家(宅建士・不動産鑑定士)への相談を推奨
土地価格の決定要因は、駅近・間口広・南向き・角地・整形地で高額、不整形地・旗竿地・変形地・北向き・郊外で割安です。地価上昇の要因は、低金利政策(2013年以降)、インフラ整備(新駅開業・再開発)、半導体産業・インバウンド需要、人口集中です。
購入タイミングの判断は難しく、専門家(宅建士、不動産鑑定士等)への相談を推奨します。信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら、最適な土地を見つけましょう。
