土地マッチングサービスとは何か?従来の仲介との違い
土地の購入や売却、活用を検討する際、「希望条件に合う土地が見つからない」「遊休地を有効活用したい」と悩む方は少なくありません。土地マッチングサービスは、こうした課題を解決する新しい仕組みとして注目されています。
この記事では、土地マッチングサービスの仕組み、種類、利用の流れ、メリット・デメリット、目的別の選び方まで、実際のサービス情報を元に解説します。従来の不動産仲介との違いを理解し、自分に合ったサービスを選べるようになります。
土地マッチングサービスには大きく2種類あります。①土地売買マッチング(売りたい人と買いたい人をつなぐ)、②土地活用マッチング(土地オーナーと事業者をつなぐ)です。それぞれの特徴と選び方を理解することが重要です。
この記事のポイント
- 土地マッチングサービスは土地売買マッチングと土地活用マッチングの2種類がある
- 従来の不動産仲介と比べ、仲介手数料削減や売れにくい物件も掲載可能なメリットがある
- 土地活用マッチングは基本無料で利用可能。複数企業から一括でプラン取得できる
- 0円物件マッチング「みんなの0円物件」はマッチング成功率70%超の実績あり
- マッチングサービスは仲介業ではなく、契約条件は当事者間で決定。専門家への相談を推奨
(1) 土地マッチングの定義と基本的な仕組み
土地マッチングサービスとは、土地の売買または活用を希望する人同士をつなぐプラットフォームです。インターネット上で土地情報を登録・検索し、条件が合う相手を見つけることができます。
土地マッチングの基本的な仕組み:
- 売買マッチング: 土地を売りたい人と買いたい人を直接つなぐ
- 活用マッチング: 土地オーナーと土地を活用したい事業者(建築会社、不動産会社等)をつなぐ
フィールドマッチング(2023年リニューアル版)は、遊休地・空き地の売買マッチング機能を提供する代表的サービスです。従来の不動産仲介では売れにくい物件(田舎、駅遠、不整形地等)も掲載可能で、仲介手数料を削減できるメリットがあります。
(2) 従来の不動産仲介との違い(仲介手数料削減等)
従来の不動産仲介と土地マッチングサービスの主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 従来の不動産仲介 | 土地マッチングサービス |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税(上限) | 不要または削減可能 |
| 取扱物件 | 市場性のある物件が中心 | 売れにくい物件も掲載可能 |
| 契約サポート | 宅建士が仲介 | 基本的に当事者間で決定 |
| 利用料 | 成約時に仲介手数料 | 土地活用は基本無料、売買は個別 |
仲介手数料削減のメリット: 仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。例えば3,000万円の土地を売却する場合、仲介手数料は約105万円(3,000万×3%+6万円+消費税)になります。マッチングサービスではこの費用を削減または不要にできる可能性があります。
ただしマッチングサービスは仲介業ではなく、最終的な契約条件や手続きは当事者間で決定する必要です。専門家(宅建士、弁護士等)への相談を推奨します。
2. 土地マッチングの主要な種類と特徴
土地マッチングサービスには主に4つの種類があります。それぞれの特徴と適した利用場面を理解することが重要です。
(1) 土地売買マッチング(売りたい人と買いたい人をつなぐ)
土地を売りたい人と買いたい人を直接つなぐサービスです。仲介業者を介さずに取引できるため仲介手数料を削減できます。
代表的サービス:
- フィールドマッチング: 遊休地・空き地の売買マッチング。2023年8月に大幅リニューアルし、使いやすさが向上
適した利用場面: 仲介手数料を削減したい、田舎、駅遠、不整形地等、従来の仲介で売れにくい土地を売却したい、希望条件に合う土地を直接探したい
(2) 土地活用マッチング(土地オーナーと事業者をつなぐ)
土地オーナーと土地を活用したい事業者(建築会社、不動産会社等)をつなぐサービスです。複数企業から一括でプラン取得できるため比較検討しやすいメリットがあります。
代表的サービス: HOME4U土地活用: NTTデータグループ運営。年間10万人以上が利用(2017年開始の老舗サービス)、三井不動産リアルティ ALZO: 大手不動産会社の土地活用マッチングサービス、ノムコム土地活用: 野村不動産の土地活用サイト。相続対策も対応
適した利用場面: 遊休地を有効活用したい(アパート経営、駐車場、太陽光発電等)、複数企業から一括でプラン・見積もりを取得したい、相続対策として土地活用を検討したい
マイナビニュースの2025年版レポートでは、土地活用比較サイトは無料で利用可能で、提携企業が集客費用を負担しており、契約時にのみユーザーに費用が発生すると説明されています。
(3) 0円物件マッチング(無償譲渡)
相続等で不要になった土地・建物を無償で譲渡したい人と、無償で取得したい人をマッチングするサービスです。「負動産」問題の解決策として注目されています。
代表的サービス:
- みんなの0円物件: マッチング成功率70%超の実績。文春オンライン等で特集される
適した利用場面: 相続した土地が不要で、固定資産税を払い続けたくない、売却したいが買い手がつかない土地を処分したい、無償でも良いから土地を取得したい(DIY、移住等)
注意点: 0円物件の無償譲渡でも登記費用・税金(不動産取得税等)は受取側が負担します。完全無料ではない点に注意が必要です。
(4) 農地マッチング(農地専門、農地法制約あり)
農地を貸したい(または売りたい)オーナーと、農地を借りたい(または買いたい)農家・新規就農者をつなぐサービスです。
代表的サービス:
- ニナタバ: サグリ株式会社が2024年4月に開始した農地専門マッチングサービス
適した利用場面:
- 農地を貸したい・売りたい
- 農業を始めたい・規模拡大したい
注意点: 農地マッチングでは農地法の制限があり、誰でも農地を取得できるわけではありません。農業委員会の許可が必要です。
3. 土地マッチングサービスの利用の流れ
土地マッチングサービスの利用の流れは、サービスの種類により異なります。ここでは主要な2つの流れを解説します。
(1) 土地売買マッチングの利用手順
売りたい場合:
- サービスに会員登録(無料)
- 土地情報を登録(所在地、面積、価格等)
- 買い手候補からの問い合わせを待つ
- 条件が合えば直接交渉・契約
買いたい場合:
- サービスに会員登録(無料)
- 希望条件で土地を検索
- 気になる土地があれば売主に問い合わせ
- 条件が合えば直接交渉・契約
(2) 土地活用マッチングの利用手順(一括プラン請求)
- サービスに土地情報を登録(所在地、面積、現状等)
- 希望する活用方法を選択(アパート経営、駐車場、太陽光発電等)
- 複数企業から一括でプラン・見積もりを取得(無料)
- プランを比較検討
- 気に入った企業と契約交渉
HOME4U土地活用等の老舗サービスでは、この一括プラン請求の流れが整備されており、年間10万人以上が利用しています。
(3) 登録から契約までの期間と費用
期間:
- 土地売買マッチング: 数週間〜数ヶ月(相手が見つかるまでの期間により変動)
- 土地活用マッチング: プラン取得まで数日〜1週間、契約まで1〜3ヶ月程度
費用:
- 土地活用マッチング: 基本無料(契約時に事業者に支払う費用のみ)
- 土地売買マッチング: サービスにより異なる(一部有料、仲介手数料削減が可能)
4. メリット・デメリットと注意点
土地マッチングサービスには明確なメリットがある一方、デメリットや注意点もあります。利用前に理解しておくことが重要です。
(1) メリット(仲介手数料削減、売れにくい土地も掲載可能、複数プラン比較等)
主なメリット:
仲介手数料の削減: 従来の不動産仲介では物件価格の3%+6万円+消費税がかかるが、マッチングサービスでは不要または削減可能
売れにくい土地も掲載可能: 田舎、駅遠、不整形地等、従来の仲介で売れにくい物件も掲載できる
複数プラン比較: 土地活用マッチングでは複数企業から一括でプラン取得でき、比較検討しやすい
無料で利用可能: 土地活用マッチングは基本無料。提携企業が集客費用を負担
効率的な探索: インターネット上で希望条件に合う土地を効率的に検索できる
(2) デメリット(専門家仲介なし、トラブル時は当事者間で解決)
主なデメリット:
専門家の仲介なし: 宅建士等の専門家が仲介しないため契約条件や手続きを自分で理解・決定する必要がある
トラブル時は当事者間で解決: 契約不履行、土地の瑕疵等のトラブルは基本的に当事者間で解決する必要がある
過度に楽観的なプランに注意: 土地活用プランは複数企業から提案を受けるが、実現可能性や収益性は慎重に検討すべき
マッチング成功の保証なし: 必ずしも希望条件に合う相手が見つかるとは限らない
(3) 注意点(0円物件でも登記費用・税金は発生、農地は農地法の制約あり)
重要な注意点:
0円物件でも費用は発生: 無償譲渡でも登記費用・税金(不動産取得税等)は受取側が負担する。完全無料ではない
農地は農地法の制約: 農地マッチングでは農業委員会の許可が必要。誰でも農地を取得できるわけではない
専門家への相談推奨: 契約条件や法的リスクを理解するため宅建士や弁護士等の専門家への相談を推奨
マッチング後の責任: マッチング後の契約内容や手続きは当事者間の責任で行う必要がある
5. 目的別のサービス選びと主要サービス紹介
土地マッチングサービスは目的により選ぶべきサービスが異なります。ここでは目的別の選び方と主要サービスを紹介します。
(1) 土地を売りたい・買いたい場合(フィールドマッチング等)
おすすめサービス:
- フィールドマッチング: 遊休地・空き地の売買マッチング。2023年8月リニューアル版
選び方のポイント: 掲載物件数が多いサービスを選ぶ、仲介手数料削減のメリットを理解する、契約サポートの有無を確認
(2) 土地を活用したい場合(HOME4U土地活用、ALZO等)
おすすめサービス: HOME4U土地活用: NTTデータグループ運営。年間10万人以上が利用、三井不動産リアルティ ALZO: 大手不動産会社の信頼性、ノムコム土地活用: 野村不動産。相続対策も対応
選び方のポイント: 提携企業数が多いサービスを選ぶ(比較検討しやすい)、希望する活用方法に対応しているか確認、利用者数や運営実績を確認
(3) 不要な土地を無償譲渡したい場合(みんなの0円物件等)
おすすめサービス:
- みんなの0円物件: マッチング成功率70%超の実績
選び方のポイント: マッチング成功率を確認、登記費用・税金は受取側負担であることを理解、無償でも譲渡できない土地もあることを認識
(4) 農地を貸したい・借りたい場合(ニナタバ等)
おすすめサービス:
- ニナタバ: サグリ株式会社が2024年4月に開始した農地専門マッチングサービス
選び方のポイント: 農地法の制約を理解する、農業委員会の許可が必要なことを認識、地域特化型のサービスを探す
まとめ:自分に合ったサービスの選び方と次のアクション
土地マッチングサービスは、土地売買マッチングと土地活用マッチングの2種類に大別され、それぞれ異なる目的に適しています。従来の不動産仲介と比べ、仲介手数料削減や売れにくい物件も掲載可能なメリットがある一方、専門家の仲介がないため契約条件は当事者間で決定する必要です。
土地活用マッチングは基本無料で利用可能で、複数企業から一括でプラン取得できるため比較検討しやすいのが特徴です。0円物件マッチングは無償譲渡でも登記費用・税金は発生する点に注意が必要です。
目的に応じたサービスを選び、専門家(宅建士、弁護士、ファイナンシャルプランナー等)に相談しながら、最適な土地売買・活用方法を見つけてください。マッチング後のトラブル防止のため契約内容を十分に理解してから進めることが重要です。
