土地総合情報システムの使い方と不動産価格調査

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)が重要な理由

不動産の売買や投資を検討する際、「適正な価格相場はいくらか」「この物件は妥当な価格か」と悩む方は少なくありません。

この記事では、国土交通省が運営する公的データベース「土地総合情報システム(現・不動産情報ライブラリ)」の使い方、検索手順、データの見方、注意点まで、国土交通省公式サイトの最新情報を元に解説します。

初めて不動産価格を調べる方でも、実際の取引価格を活用できるようになります。

この記事のポイント

  • 土地総合情報システムは2024年3月末で廃止され、2024年4月から「不動産情報ライブラリ」に統合・機能強化
  • 国の公式データベースとして約547万件の取引記録を蓄積し、会員登録不要・無料で利用可能
  • 検索は4ステップ(地域選択→取引時期→種類→検索)で、パソコン・スマートフォン両対応
  • アンケート回収率3割程度で全取引を網羅していないため、エリア相場把握の参考として活用
  • レインズ(不動産業者専用)や不動産鑑定士の査定と併用することで、より正確な価格把握が可能

(1) 国の公式データベースという信頼性

不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)は、国土交通省が運営する公的な不動産取引価格情報システムです。

実際の不動産取引後に国土交通省が送付するアンケート調査の回答を匿名化して提供しており、全日本不動産協会によると、2025年3月31日時点で約547万件の取引記録を蓄積しています。

国の公式データベースという点で、民間サイトや推定値とは異なる高い信頼性を持ちます。

(2) 実際の取引価格を無料で調査できるメリット

不動産情報ライブラリの最大のメリットは、実際の取引価格を会員登録不要・完全無料で調査できる点です。

  • 完全無料: 会員登録不要で利用可能
  • パソコン・スマートフォン両対応: 同じ画面構成で利用可能
  • CSV形式でダウンロード可能: データ分析に活用できる
  • API経由でのアクセス可能: システム連携も可能

これにより、不動産業者に依頼する前に、自分でエリアの相場を把握できるようになります。

土地総合情報システムの基礎知識とシステム移行

土地総合情報システムは2024年3月末で廃止され、2024年4月から「不動産情報ライブラリ」として生まれ変わりました。

(1) 土地総合情報システムとは(2024年3月末まで)

土地総合情報システムは、国土交通省が運営していた不動産取引価格情報の無料検索サイトです。

主な機能:

  • 不動産取引価格情報の検索(土地・建物・マンション等)
  • 地価公示・都道府県地価調査の検索
  • 取引時期・地域・種類で絞り込み可能

不動産売買・投資の際のエリア相場把握に広く利用されていました。

(2) 不動産情報ライブラリへの移行(2024年4月~)

HOME4Uによると、2024年3月末で土地総合情報システムは廃止され、2024年4月から不動産情報ライブラリに統合されました。

システム移行の理由は、GIS(地理情報システム)データを活用した機能強化と、不動産関連情報の一元的な提供のためです。

(3) 新システムの機能強化ポイント

立和コーポレーションによると、不動産情報ライブラリでは以下の機能が追加されました。

新機能:

  • ハザードマップの統合: 洪水・土砂災害・津波等のリスク情報
  • 公共施設情報の統合: 学校・病院・公園等の位置情報
  • 学区情報の統合: 小学校・中学校の学区境界
  • 統一地図上での閲覧: 従来の取引価格情報に加え、総合的な不動産情報を一元的に閲覧可能

これにより、取引価格だけでなく、周辺環境も含めた総合的な不動産情報を把握できるようになりました。

不動産情報ライブラリの使い方(検索手順)

不動産情報ライブラリでは、4ステップで土地価格を検索できます。

(1) 検索の4ステップ(地域選択→取引時期→種類→検索)

イエポタによると、検索手順は以下の通りです。

ステップ1: 地域選択(住所入力または地図選択)

  • 住所を直接入力するか、地図上でエリアを選択

ステップ2: 取引時期選択(四半期単位)

  • 2024年10-12月期、2024年7-9月期など、四半期単位で選択

ステップ3: 種類選択(土地・建物・マンション等)

  • 土地、中古マンション等、戸建、宅地(土地)、中古マンション等(土地付き建物)から選択

ステップ4: 「この条件で検索」をクリック

  • 検索結果が地図上に青い丸で表示される
  • 青い丸をクリックすると詳細な取引価格が表示される

(2) 地図表示での検索方法

不動産情報ライブラリでは、地図表示で直感的に検索できます。

手順:

  1. 不動産情報ライブラリにアクセス
  2. トップページで「価格情報」→「不動産取引価格情報」を選択
  3. 地図上で調べたいエリアをクリック
  4. 取引時期・種類を選択して検索
  5. 青い丸をクリックして詳細表示

地図上に取引件数が可視化されるため、エリアごとの取引活況度も把握できます。

(3) CSV形式でのダウンロードとAPI利用

不動産情報ライブラリでは、検索結果をCSV形式でダウンロードできます。

CSV形式でのダウンロード:

  • 検索結果画面で「CSVダウンロード」ボタンをクリック
  • Excel等で分析可能

API経由でのアクセス:

  • 開発者向けにAPI経由でのアクセスも提供
  • システム連携・自動データ取得が可能

これにより、大量のデータを分析したい場合にも対応できます。

(4) スマートフォンでの利用方法

スマートフォンでも、パソコンと同じ画面構成で利用できます。

  • 画面サイズに応じてレイアウトが自動調整
  • 地図操作(ピンチイン・ピンチアウト)に対応
  • 検索結果の詳細表示も同様に可能

外出先でも、その場でエリア相場を調べられるため便利です。

取引価格データの見方と注意点

不動産情報ライブラリで表示されるデータには、いくつかの注意点があります。

(1) 表示されるデータの内容(取引総額・地区名・取引時期等)

検索結果には以下の情報が表示されます。

項目 内容
取引総額 土地価格+建物価格の合計額
地区名 市区町村名+町名(地番は非表示)
取引時期 四半期単位(例:2024年10-12月期)
面積 土地面積(㎡)
坪単価 取引総額÷面積(参考値)
用途地域 第一種住居地域、商業地域など

これらの情報を元に、エリアの相場を把握します。

(2) アンケート回収率と信頼性の限界

HOME'Sによると、不動産情報ライブラリのデータはアンケート調査に基づくため、以下の限界があります。

  • 回収率3割程度: 全取引の約3割のみが反映
  • 取引件数が少ないエリアでは参考程度: 表示価格は市場の一部を反映
  • 最新データは反映に時間がかかる: アンケート回収・集計に数ヶ月かかる

このため、表示価格はあくまで参考値として活用し、正確な物件評価には不動産鑑定士の査定を併用すべきです。

(3) 地区名までしか表示されない理由

個人情報保護の観点から、地番やマンション名は表示されません。

  • 表示される情報: 市区町村名+町名(例:東京都千代田区丸の内)
  • 表示されない情報: 地番、マンション名、所在地の詳細

このため、特定の物件の取引価格を調べることはできず、あくまでエリア全体の相場把握に利用します。

(4) 取引総額と個別価格の違い

不動産情報ライブラリで表示される「取引総額」は、土地価格と建物価格の合計額です。

  • 土地のみの価格を知りたい場合: 種類選択で「宅地(土地)」を選択
  • 建物込みの価格が表示される場合: 土地価格と建物価格を分離できない

このため、土地のみの相場を調べたい場合は、種類選択を「宅地(土地)」に限定することが重要です。

レインズとの違いと使い分けのポイント

不動産情報ライブラリとレインズ(REINS)は、それぞれ異なる目的・利用者を想定したシステムです。

(1) レインズ(REINS)とは

レインズ(Real Estate Information Network System)は、不動産流通標準情報システムで、不動産業者のみが利用可能な取引情報システムです。

レインズの特徴:

  • 不動産業者のみ利用可能(一般公開されていない)
  • 現在売り出し中の物件情報を掲載
  • 物件の詳細情報(所在地・間取り・築年数等)を提供
  • 成約価格・売出価格の両方を確認可能

(2) 土地総合情報システムとレインズの違い

空家ベースによると、両者の違いは以下の通りです。

項目 不動産情報ライブラリ レインズ
利用者 一般公開(誰でも利用可能) 不動産業者のみ
料金 完全無料 会員制(業者向け)
情報の詳細度 地区名までしか表示されない 所在地・間取り等の詳細情報あり
データの種類 成約済み取引価格のみ 売出価格+成約価格
情報量 アンケート回収率3割程度 業者間の取引情報を網羅

不動産情報ライブラリは一般公開で無料、レインズは業者専用でより詳細な情報を提供しています。

(3) 状況別の使い分け方法

以下の状況に応じて使い分けることが推奨されます。

不動産情報ライブラリを使うべき場合:

  • 不動産業者に依頼する前に、自分でエリア相場を把握したい
  • 特定の地区の大まかな取引価格を知りたい
  • 無料で手軽に調査したい

レインズを活用すべき場合(不動産業者に依頼):

  • 特定の物件の詳細情報を知りたい
  • 現在売り出し中の物件を探したい
  • より正確な成約価格を確認したい

不動産業者に査定を依頼すると、レインズの情報を元にした詳細な査定書を受け取れます。

まとめ:適正価格調査への活用方法

不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)は、国の公式データベースとして、約547万件の取引記録を無料で検索できる便利なツールです。2024年4月の機能強化により、ハザードマップ・公共施設・学区情報も統合され、より包括的な不動産情報を把握できるようになりました。

ただし、アンケート回収率3割程度で全取引を網羅していないため、エリア相場把握の参考として活用し、正確な物件評価にはレインズや不動産鑑定士の査定を併用することが重要です。

(1) エリア相場把握の実践手順

エリア相場を把握するための実践手順は以下の通りです。

ステップ1: 不動産情報ライブラリにアクセス

ステップ2: 地域選択(住所入力または地図選択)

ステップ3: 取引時期選択(直近1年分を複数選択して比較)

ステップ4: 種類選択(土地のみの相場なら「宅地(土地)」を選択)

ステップ5: 検索結果を確認し、青い丸をクリックして詳細表示

ステップ6: 複数の取引事例を比較して、エリアの相場を把握

(2) 不動産鑑定士やレインズとの併用方法

より正確な価格把握のためには、以下の併用が推奨されます。

不動産情報ライブラリ:

  • エリアの大まかな相場を把握(無料・自分で調査)

レインズ(不動産業者経由):

  • 現在売り出し中の物件を確認
  • より詳細な成約価格を確認

不動産鑑定士の査定:

  • 正確な物件評価を取得
  • 売却・購入の判断材料にする

これらを組み合わせることで、適正価格を多角的に把握できます。

(3) 次のアクション(査定・相談のタイミング)

以下のタイミングで専門家(宅建士、不動産鑑定士等)への相談を推奨します。

  • エリア相場を把握した後、売却・購入を具体的に検討する段階
  • 不動産情報ライブラリのデータと実感が大きく乖離している場合
  • 取引件数が少ないエリアで、データの信頼性が不十分な場合

信頼できる不動産業者や鑑定士に相談しながら、適正価格を見極めましょう。

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よくある質問

Q1土地総合情報システムは今も使える?

A1土地総合情報システムは2024年3月末で廃止され、2024年4月から「不動産情報ライブラリ」に統合されました。同じURL(reinfolib.mlit.go.jp)でアクセスでき、従来の取引価格情報に加えて、ハザードマップ・公共施設・学区情報も閲覧可能になりました。会員登録不要・完全無料で利用できます。

Q2不動産情報ライブラリは無料で使える?

A2はい、完全無料で利用できます。会員登録不要で、パソコン・スマートフォンどちらでも利用可能です。検索結果をCSV形式でダウンロードしたり、API経由でアクセスしたりすることもでき、すべて無料で提供されています。国土交通省が運営する公的サービスのため、安心して利用できます。

Q3表示される取引価格はどの程度信頼できる?

A3不動産情報ライブラリのデータはアンケート調査に基づくため、回収率は3割程度です。全取引を網羅しているわけではなく、市場の一部を反映しています。エリアの大まかな相場把握には適していますが、正確な物件評価にはレインズ(不動産業者経由)や不動産鑑定士の査定を併用することを推奨します。取引件数が少ないエリアでは、表示価格はあくまで参考値として活用すべきです。

Q4レインズと土地総合情報システムの違いは?

A4土地総合情報システム(現・不動産情報ライブラリ)は一般公開で完全無料、レインズ(REINS)は不動産業者のみが利用可能な会員制システムです。不動産情報ライブラリは地区名までしか表示されず、成約済み取引価格のみを提供しますが、レインズは所在地・間取り等の詳細情報があり、売出価格と成約価格の両方を確認できます。一般の方は不動産情報ライブラリで相場を把握し、より詳細な情報が必要な場合は不動産業者にレインズの情報を依頼するという使い分けが推奨されます。

Q5どのように検索すれば土地価格が分かる?

A5検索は4ステップです。①不動産情報ライブラリにアクセス、②地図表示または地域選択で調べたいエリアを選択、③取引時期を選択(四半期単位)、④種類選択で「宅地(土地)」を選択して「この条件で検索」をクリック。検索結果が地図上に青い丸で表示されるので、クリックすると詳細な取引価格(取引総額・面積・坪単価等)を確認できます。複数の取引事例を比較することで、エリアの相場を把握できます。

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Room Match編集部

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