なぜ金沢の不動産市場が注目されているのか
金沢への移住、転勤、Uターン、または不動産投資を検討する際、「金沢の不動産価格はどれくらいか」「どのエリアが住みやすいのか」「今後の価格動向はどうなるのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、金沢の不動産市場の特徴、エリア別の価格相場、物件選びのポイントを、国土交通省の取引価格データや石川県の統計情報を元に解説します。
初めて金沢で不動産を検討する方でも、市場の全体像と物件選びの判断材料を得られるようになります。
この記事のポイント
- 金沢市は7年連続で石川県内「住みたい街ランキング」1位、北陸新幹線で東京まで約2時間半
- 2024年第1四半期の土地価格は坪単価約36.2万円、前年比+37.74%と大幅上昇
- マンション価格は9年で43.5%上昇、2024年単年では9.68%上昇と上昇傾向
- 人気エリアは金沢駅周辺、松村、八日市、小坂町で物件数が多い
- 雨が多い気候のため湿気対策が必要、価格急上昇による高値掴みリスクに注意
(1) 北陸新幹線開業による利便性向上
金沢の不動産市場が注目される最大の理由は、北陸新幹線開業による利便性向上です。
2015年3月に北陸新幹線が金沢まで延伸開業し、東京から金沢まで約2時間半でアクセス可能になりました。これにより、首都圏からの移住者や観光客が増加し、不動産需要が高まっています。
北陸新幹線の影響
- 東京~金沢: 約2時間半(在来線では約7時間)
- 首都圏からの移住者増加: リモートワークの普及により、東京勤務でも金沢在住が可能に
- 観光客の増加: 年間観光客数が大幅に増加、宿泊施設や商業施設の需要も拡大
この利便性向上が、金沢の不動産市場を活性化させています。
(2) 7年連続「住みたい街ランキング」1位の理由
金沢市は7年連続で石川県内「住みたい街ランキング」1位を獲得しています。その理由は、コンパクトシティとしての魅力です。
金沢市の魅力
- コンパクトシティ: 居住・ビジネス・商業エリアが隣接し、生活圏がコンパクトにまとまっている
- 治安の良さ: 2022年の刑法犯発生件数は1,772件、人口千人当たり約3.8件(全国平均4.8件より低い)
- 文化・観光: 兼六園、金沢城、ひがし茶屋街等、歴史的な観光地が多い
- 食文化: 新鮮な海の幸、加賀野菜等、豊かな食文化
これらの魅力が、移住先・転勤先としての人気を高めています。
(3) 不動産価格の上昇傾向
金沢の不動産価格は、2024年~2025年にかけて上昇傾向にあります。
価格上昇のデータ
- 土地価格: 2024年第1四半期で前年比+37.74%(坪単価約36.2万円)
- マンション価格: 9年で43.5%上昇、2024年単年では9.68%上昇
- 基準地価: 2024年の住宅地は8万7574円/m2、前年比+2.96%
この上昇傾向が、投資家や購入検討者の関心を集めています。
金沢の不動産市場の基礎知識
金沢の不動産市場の全体像を確認しましょう。
(1) 金沢市の不動産価格相場(土地・マンション・戸建て)
金沢市の不動産価格相場は、土地・マンション・戸建てで異なります。
価格相場の目安(2025年時点)
| 項目 | 価格相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地 | 坪単価約28.9~36.2万円 | エリアにより幅がある |
| マンション | 2LDK家賃8.27万円、3LDK家賃10.71万円 | 賃貸相場、購入価格は上昇傾向 |
| 新築戸建て | 259件掲載(SUUMO) | 価格帯は物件により異なる |
国土交通省の不動産取引価格情報で、金沢市の実際の取引価格を確認できます。
(2) 公示地価と基準地価の推移
公示地価と基準地価は、土地価格の客観的な指標です。
金沢市の地価推移(2024年)
| 指標 | 住宅地 | 商業地 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 基準地価(2024年) | 8万7574円/m2 | 25万2351円/m2 | +2.96% |
| 坪単価換算 | 約28.9万円/坪 | 約83.4万円/坪 | - |
商業地は住宅地の約3倍の価格で、金沢駅周辺等の商業エリアは特に高い傾向があります。
(3) コンパクトシティとしての特徴
金沢市は「コンパクトシティ」として知られ、居住・ビジネス・商業エリアが近接しています。
コンパクトシティのメリット
- 移動時間の短縮: 居住エリアから駅・商業施設・職場まで短時間でアクセス可能
- 公共交通の利便性: バス路線が充実、車がなくても生活しやすい
- 生活コストの削減: 移動距離が短いため、交通費・ガソリン代を抑えられる
この構造が、金沢の住みやすさを支えています。
エリア別の価格相場と特徴
金沢市内の主要エリアの特徴と価格相場を確認しましょう。
(1) 金沢駅周辺エリアの特徴と物件数
金沢駅周辺は、金沢市で最も利便性が高いエリアです。
金沢駅周辺の特徴
- 物件数: 金沢駅周辺には7,047件の物件があり、選択肢が豊富
- 交通: 北陸新幹線、JR在来線、バス路線の起点
- 商業施設: 駅直結の商業施設「金沢百番街」、周辺にホテル・飲食店が多数
- 観光地へのアクセス: 兼六園・金沢城まで車で約10分
駅近の利便性を重視する方に向いています。
(2) 人気エリア(松村・八日市・小坂町)の特性
金沢市内で人気の高いエリアを紹介します。
人気エリアの比較
| エリア | 物件数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 松村 | 366件 | 金沢駅から近く、住宅地として人気 |
| 八日市 | 323件 | ファミリー層に人気、学校・商業施設が充実 |
| 小坂町 | 273件 | 閑静な住宅地、治安が良い |
これらのエリアは物件数が多く、選択肢が豊富です。
(3) 住宅地と商業地の価格差
金沢市では、住宅地と商業地で価格が大きく異なります。
価格差の比較
- 住宅地: 8万7574円/m2(坪単価約28.9万円)
- 商業地: 25万2351円/m2(坪単価約83.4万円)
- 価格差: 商業地は住宅地の約3倍
商業地は金沢駅周辺や片町等の繁華街が中心で、住宅購入なら住宅地エリアの方が価格を抑えられます。
物件タイプ別の選び方(マンション・戸建て・投資)
マンション、戸建て、投資物件それぞれの選び方を解説します。
(1) マンション購入のメリット・デメリット
マンション購入のメリット・デメリットを確認しましょう。
マンションのメリット
- 駅近の利便性: 金沢駅周辺等、利便性の高いエリアに物件が多い
- セキュリティ: オートロック、防犯カメラ等の設備が充実
- 管理の手間が少ない: 共用部分の管理は管理組合が担当
- 価格上昇: 9年で43.5%上昇と資産価値が上がっている
マンションのデメリット
- 管理費・修繕積立金: 月2~3万円程度の固定費がかかる
- 駐車場代: 別途月1~2万円かかる場合が多い
- 自由度の低さ: リフォーム・ペット飼育等に制限がある
駅近で利便性を重視する方、管理の手間を省きたい方に向いています。
(2) 戸建て購入のメリット・デメリット
戸建て購入のメリット・デメリットを確認しましょう。
戸建てのメリット
- 広さと自由度: 庭付き、駐車場付き、間取りの自由度が高い
- 騒音トラブルが少ない: 上下階・左右に住人がいないため、騒音を気にせず暮らせる
- 管理費がかからない: マンションのような管理費・修繕積立金がない
- ペット飼育: 大型犬等も飼いやすい
戸建てのデメリット
- 修繕費用: 外壁・屋根等の修繕費用を自己負担
- セキュリティ: 防犯カメラ・ホームセキュリティを自分で設置
- 管理の手間: 庭の手入れ、雪かき等が必要
ファミリー層、ペットを飼いたい方、広い家を希望する方に向いています。
(3) 不動産投資物件としての金沢市場
金沢市は、不動産投資先としても注目されています。
金沢市場の投資メリット
- 価格上昇: 土地価格+37.74%、マンション価格+43.5%(9年)と上昇傾向
- 需要の増加: 北陸新幹線開業により、移住者・観光客が増加
- 賃貸需要: 大学(金沢大学等)や企業の転勤者向けの賃貸需要が安定
投資リスク
- 価格高騰: 前年比+37.74%は一時的な可能性があり、高値掴みリスク
- 空室リスク: エリアや物件タイプにより空室率が異なる
- 自然災害リスク: 2025年8月の豪雨災害等、自然災害のリスクも考慮が必要
投資目的の場合は、国土交通省の不動産情報ライブラリで最新の取引価格を確認し、専門家に相談することをおすすめします。
金沢で不動産を購入する際の注意点
金沢で不動産を購入する際の注意点を確認しましょう。
(1) 気候特性(雨が多い)と湿気対策
金沢は「弁当を忘れても傘忘れるな」と言われるほど雨が多い地域です。
気候特性と対策
- 年間降水量: 全国平均より多く、特に冬季は雪も降る
- 湿気対策: 換気設備の充実、除湿機の設置、カビ対策が重要
- 建物の劣化: 湿気により木造住宅の劣化が進みやすい
物件選びの際は、換気設備や日当たりの良さを必ず確認しましょう。
(2) 価格急上昇による高値掴みリスク
金沢の不動産価格は急上昇しており、高値掴みのリスクがあります。
高値掴みリスクの回避策
- 適正価格の確認: 国土交通省の不動産取引価格情報で過去の取引価格を確認
- 複数の物件を比較: 1つの物件だけでなく、複数を比較して相場感を掴む
- 専門家に相談: 不動産鑑定士や税理士に適正価格を評価してもらう
前年比+37.74%の上昇は一時的な現象の可能性もあり、慎重な判断が必要です。
(3) 自然災害リスクとハザードマップの確認
金沢市では、2025年8月に豪雨災害が発生し、県が応急仮設住宅の支援を発表しました。
自然災害リスクへの対応
- ハザードマップの確認: 金沢市の洪水・土砂災害ハザードマップで危険エリアを確認
- 耐震性の確認: 築年数の古い物件は耐震基準(1981年以前の旧耐震、2000年の新基準)を確認
- 火災保険・地震保険: 加入を検討し、災害時の経済的リスクを軽減
購入前に、自治体のハザードマップを必ず確認しましょう。
まとめ:状況別の物件選びのポイント
金沢の不動産市場は、北陸新幹線開業による利便性向上、7年連続「住みたい街ランキング」1位の人気、価格上昇傾向により注目されています。
2024年第1四半期の土地価格は坪単価約36.2万円(前年比+37.74%)、マンション価格は9年で43.5%上昇と上昇傾向です。人気エリアは金沢駅周辺、松村、八日市、小坂町で、物件数も豊富です。
マンションは駅近で利便性が高く、戸建ては広さと自由度が魅力です。投資物件としても需要が高まっていますが、価格急上昇による高値掴みリスクや自然災害リスクに注意が必要です。
状況別の物件選びのポイント
- 移住・転勤: コンパクトシティの利便性を活かし、金沢駅周辺や人気エリアを検討
- ファミリー層: 戸建てで広さと自由度を確保、学校区や治安も確認
- 投資目的: 価格動向と賃貸需要を分析、専門家に相談して慎重に判断
金沢で不動産を購入する際は、国土交通省の不動産情報ライブラリで最新の取引価格を確認し、気候特性(雨が多い)や自然災害リスクも考慮しながら、信頼できる不動産会社や専門家に相談することをおすすめします。
