成仏不動産とは?事故物件・訳あり物件の取引

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

「成仏不動産」とは何か?事故物件・訳あり物件の基礎知識

不動産売買や賃貸を検討する際、「成仏不動産」という言葉を目にすることがあります。この言葉は、事故物件や訳あり物件を扱う不動産サービスを指す俗語です。

この記事では、成仏不動産の意味、事故物件の定義と告知義務、相場、調べ方、売却・購入時の注意点について解説します。2021年に国土交通省が公表したガイドラインを元に、正確な情報を提供します。

この記事のポイント

  • 「成仏不動産」は事故物件を扱う不動産サービスの俗語、正式には「心理的瑕疵物件」「事故物件」
  • 2021年国土交通省ガイドラインにより、賃貸は約3年間、売買は期限なしで告知義務が発生
  • 事故物件の相場は死因により異なり、自然死10〜20%減、自殺20〜30%減、他殺30〜50%減が目安
  • 「大島てる」などの事故物件情報サイトで事前に調査可能だが、不動産業者への確認も必須

(1) 「成仏不動産」という俗語の意味

「成仏不動産」とは、事故物件や訳あり物件を専門に扱う不動産サービスを指す俗語です。亡くなられた方が成仏できるように、という意味合いを込めてこの名称が使われています。

(2) 正式には「心理的瑕疵物件」「事故物件」

不動産業界では、自殺・他殺・孤独死などが発生し、心理的な抵抗感を生じさせる物件を「心理的瑕疵物件」または「事故物件」と呼びます。物理的な欠陥はないものの、心理的な抵抗感が購入や賃貸の判断に影響するため、告知義務が発生します。

(3) 事故物件専門の「成仏不動産」サービス

成仏不動産は、2019年4月に開設された事故物件専門サイトです。7段階のレベル分けで詳細情報を開示し(墓地見える物件〜殺人事件)、特殊清掃・遺品整理・ご供養まで総合サポートを提供しています。

事故物件の定義と告知義務(2021年国土交通省ガイドライン)

事故物件の定義と告知義務について、2021年に国土交通省が公表したガイドラインを元に解説します。

(1) 事故物件の定義(自殺・他殺・孤独死等)

事故物件とは、以下のような死因が発生した物件を指します。

死因 告知義務
自殺 あり
他殺 あり
孤独死(発見が遅れた場合) あり(特殊清掃が必要な場合)
自然死 なし
日常的な事故(風呂場での転倒等) なし

心理的瑕疵があるかどうかは、個別の状況により異なります。

(2) 告知義務の期間(賃貸は約3年、売買は期限なし)

ALSOKによると、2021年10月に国土交通省が公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」により、告知義務の基準が明確化されました。

  • 賃貸: 約3年間の告知義務(3年経過後は告知不要)
  • 売買: 期限なしで永久に告知義務

ただし、自然死や日常的な事故は告知不要です。

(3) 告知不要なケース(自然死・日常的な事故)

以下のケースは告知義務がありません。

  • 自然死: 病気や老衰による死亡
  • 日常的な事故: 風呂場での転倒、階段からの転落等
  • 孤独死(早期発見): 発見が遅れず、特殊清掃が不要な場合

これらは誰にでも起こりうる日常的な出来事であるため、告知義務の対象外です。

事故物件の相場と価格への影響

事故物件の売却価格は、死因や発見までの期間によって大きく異なります。

(1) 死因別の価格下落率(自然死10〜20%、自殺20〜30%、他殺30〜50%)

訳あり物件買取プロによると、事故物件の売却相場は通常の50〜90%程度です。具体的には以下の通りです。

死因 価格下落率
自然死・孤独死(早期発見) 10〜20%減
自殺 20〜30%減
他殺 30〜50%減

死因の心理的抵抗感が強いほど、価格下落率が大きくなります。

(2) 発見までの期間による影響

孤独死の場合、発見までの期間が長いほど価格下落率が大きくなります。発見が遅れた場合、特殊清掃が必要となり、心理的瑕疵が強くなるためです。

特殊清掃とは、遺体の発見が遅れた場合など、通常の清掃では対応できない状況の清掃を指します。特殊清掃が必要な場合、3年間の告知義務が発生します。

(3) 実際の価格を調べる方法

事故物件の実際の価格を調べる方法は以下の通りです。

  • 成仏不動産等の専門サイト: 事故物件の取引価格を公開している
  • 不動産一括査定サイト: 複数社の査定額を比較できる
  • 事故物件買取専門業者: 直接査定を依頼できる

事故物件の調べ方(大島てる等のサイト活用)

事故物件を事前に調べる方法について解説します。

(1) 「大島てる」の使い方と注意点

大島てるは、事故物件情報を公開する日本最大級のウェブサイトです。殺人・自殺・火災等の事故情報を早期更新し、地図上で確認できます。

注意点:

  • 全ての事故物件が掲載されているわけではない
  • 情報の正確性は投稿者に依存する
  • 必ず不動産業者への確認も行う

(2) 事故物件専門サイトの活用

成仏不動産等の事故物件専門サイトでは、詳細な情報開示が行われています。7段階のレベル分けにより、事故の内容や心理的瑕疵の程度を確認できます。

(3) 物件調査の重要性

事故物件サイトの情報だけで判断せず、以下の方法も併せて活用してください。

  • 不動産業者への確認: 宅地建物取引業法により、告知義務がある
  • 近隣住民への聞き込み: 地域の情報を収集
  • 物件の履歴調査: 過去の取引履歴を確認

事故物件の売却・購入時の注意点

事故物件を売却・購入する際の注意点について解説します。

(1) 告知義務違反のリスク(契約解除・損害賠償請求)

告知義務違反は、契約後に発覚した場合、以下のリスクがあります。

  • 契約解除: 買主・借主から契約解除を求められる
  • 損害賠償請求: 価格下落分や引っ越し費用等の賠償請求
  • 刑事罰: 詐欺罪に問われる可能性

賃貸は3年経過後は告知不要ですが、売買は永久に告知義務が残ります。

(2) 購入時の心理的負担の考慮

事故物件の購入を検討する際は、価格の安さだけでなく、心理的負担も十分に考慮してください。

  • 長期間住む場合: 心理的負担が続く可能性
  • 賃貸や売却時: 将来的に告知義務が発生するため、売却しにくい
  • 家族の意見: 家族全員が納得しているか確認

(3) 専門業者の活用(特殊清掃・遺品整理・ご供養)

事故物件の売却・購入時には、専門業者の活用が推奨されます。

サービス 内容
特殊清掃 遺体発見が遅れた場合の清掃
遺品整理 故人の遺品を整理・処分
ご供養 僧侶によるお清め・供養

成仏不動産等の専門サイトでは、これらのサービスを総合的に提供しています。

まとめ:事故物件取引で知っておくべきこと

「成仏不動産」は事故物件を扱う不動産サービスの俗語で、正式には「心理的瑕疵物件」「事故物件」と呼ばれます。2021年国土交通省ガイドラインにより、賃貸は約3年間、売買は期限なしで告知義務が発生します。

事故物件の相場は死因により異なり、自然死10〜20%減、自殺20〜30%減、他殺30〜50%減が目安です。「大島てる」などの事故物件情報サイトで事前に調査可能ですが、全ての事故物件が掲載されているわけではないため、不動産業者への確認も必須です。

告知義務違反は契約解除や損害賠償請求のリスクがあります。信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、慎重に判断してください。

よくある質問

Q1事故物件の定義は?

A1自殺・他殺・孤独死などが発生し、心理的な抵抗感を生じさせる物件を「心理的瑕疵物件」または「事故物件」と呼びます。自然死や日常的な事故(風呂場での転倒等)は告知義務がありません。孤独死の場合、発見が遅れて特殊清掃が必要な場合は告知義務が発生します。

Q2告知義務はいつまで?

A22021年に国土交通省が公表したガイドラインにより、賃貸は約3年間、売買は期限なしで告知義務が発生します。ただし自然死や日常的な事故は告知不要です。賃貸は3年経過後は告知不要ですが、売買は永久に告知義務が残ります。

Q3事故物件の相場はどれくらい安いか?

A3事故物件の売却相場は通常の50〜90%程度で、死因により異なります。自然死・孤独死(早期発見)は10〜20%減、自殺は20〜30%減、他殺は30〜50%減が目安です。発見までの期間が長いほど価格下落率が大きくなります。特殊清掃が必要な場合、心理的瑕疵が強くなるため価格が下がります。

Q4事故物件を調べる方法は?

A4「大島てる」などの事故物件情報サイトで事前に調査可能です。ただし全ての事故物件が掲載されているわけではないため、不動産業者への確認も必須です。宅地建物取引業法により、不動産業者には告知義務があります。近隣住民への聞き込みや物件の履歴調査も併せて行うことが推奨されます。

Q5告知義務違反のリスクは?

A5契約後に発覚した場合、契約解除や損害賠償請求の可能性があります。賃貸は3年経過後は告知不要ですが、売買は永久に告知義務が残ります。告知義務違反は詐欺罪に問われる可能性もあるため、必ず告知してください。信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、慎重に判断することが重要です。

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Room Match編集部

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