いわき市の不動産市場の概要|震災復興後の現状
いわき市で不動産の購入・売却を検討する際、「市場の動向はどうなっているのか?」「震災復興後の状況は?」という疑問を持つ方は少なくありません。いわき市は福島県東南端に位置し、面積は東京23区の約2倍、人口約35万人で東北では仙台市に次ぐ規模です。
この記事では、いわき市の不動産市場の現状、2024年の価格相場と動向、エリア別の特徴、購入・売却時の注意点を解説します。国土交通省の不動産取引価格情報といわき市の公式データをもとに情報を整理しています。
いわき市での不動産取引を検討する方が、市場動向を理解し、自分に合った物件選びやエリア選びができるようになります。
この記事のポイント
- 2024年第1四半期の土地価格は坪単価12.9万円で前年比+16.21%上昇
- 2024年公示地価は商業地+2.0%、住宅地も広範囲で上昇傾向
- 東北地方でありながら温暖な気候で雪がほぼ降らず、東京駅まで常磐線で最短2時間強
- 車社会のため自家用車が必須、市の面積が広くエリアによって利便性・価格に大きな差
- 震災復興エリアがあり、購入前に地盤や災害リスクの確認が重要
(1) いわき市の基本情報|面積・人口・東北第2の規模
いわき市は、福島県東南端に位置する市です。
基本情報:
- 面積: 約1,232km²(東京23区の約2倍)
- 人口: 約35万人(東北では仙台市に次ぐ規模)
- 位置: 太平洋に面した沿岸部と、内陸部の両方を持つ
- 気候: 東北地方でありながら温暖で、雪がほぼ降らない
市の面積が広いため、エリアによって利便性・価格・環境が大きく異なります。
(2) 震災復興後の市場動向|価格上昇傾向と地域差
東日本大震災(2011年)から約13年が経過し、いわき市の不動産市場は復興が進んでいます。
2024年の市場動向:
- 土地価格: 2024年第1四半期は坪単価12万8838円で、前年比+16.21%上昇
- 公示地価: 商業地は+2.0%上昇、住宅地も広範囲で上昇傾向
- 戸建て価格: 2024年4-9月の平均は2,085万円で、前半期から+128万円増加
ただし、沿岸部と内陸部、駅周辺とその他のエリアで価格差があります。
いわき市の特徴と住みやすさ|気候・交通・生活環境
(1) 温暖な気候|雪がほぼ降らず、年間日照2,000時間以上
いわき市は、東北地方でありながら温暖な気候が特徴です。
気候の特徴:
- 雪がほぼ降らない: 冬でも積雪はまれで、雪かきの負担がない
- 年間日照時間: 2,000時間以上で、東北地方では最も日照時間が長い
- 温暖な気温: 冬も比較的温暖で、東京と同程度の気温
寒さや雪の負担が少ないため、東北への移住を検討する方にとって住みやすい環境です。
(2) 交通アクセス|常磐線で東京まで2時間強・常磐自動車道
いわき市の交通アクセスは、鉄道・高速道路ともに良好です。
交通アクセス:
| 手段 | ルート | 所要時間 |
|---|---|---|
| 鉄道 | 常磐線いわき駅→東京駅 | 最短2時間強(乗り換え不要) |
| 高速道路 | 常磐自動車道・磐越自動車道 | 東京まで約3時間 |
東京まで乗り換え不要で2時間強というアクセスの良さは、首都圏との往来が多い方にとってメリットです。
(3) 生活環境|地元密着型スーパー・新鮮な魚介類・子育て支援
いわき市は、生活環境も充実しています。
生活環境の特徴:
- 買い物: 地元密着型スーパーが多く、新鮮な魚介類が手に入る
- 子育て支援: 医療費助成、保育施設の充実など子育て支援制度が整備
- 車社会: 自家用車が必須だが、駐車場は確保しやすい
ただし、車社会のため自家用車の所有・維持費を考慮した資金計画が必要です。
2024年の不動産価格相場と市場動向|土地・戸建て・マンション
(1) 土地価格|2024年Q1は坪単価12.9万円、前年比+16.21%
2024年第1四半期のいわき市の土地取引価格は、坪単価12万8838円でした。前年比+16.21%の上昇で、震災復興後も価格上昇が続いています。
土地価格の傾向:
- 商業地: 駅周辺や幹線道路沿いの商業地は価格が高め
- 住宅地: 内陸部の閑静な住宅地は比較的手頃
- 沿岸部: 震災復興エリアもあり、地盤や災害リスクの確認が重要
(出典: 土地代データ「いわき市の土地価格相場」)
(2) 戸建て価格|2024年4-9月は2,085万円、前半期から+128万円
2024年4-9月のいわき市の一戸建て売却価格は、平均2,085万円でした。前半期から+128万円の増加で、戸建て市場も活況です。
戸建ての特徴:
- いわき市は車社会で土地が広いため、戸建てが主流
- 駐車場確保が容易で、維持費も抑えられる
- 家族構成や通勤距離に応じて選択可能
(出典: アセットロケット「いわき市の住宅・戸建ての価格相場」)
(3) 公示地価の動向|商業地+2.0%、住宅地も広範囲で上昇
2024年公示地価では、いわき市の商業地は前年比+2.0%上昇しました。住宅地も広範囲で地価上昇が見られ、市場は回復傾向にあります。
公示地価の背景:
- 震災復興が進み、人口流入が続いている
- 東京へのアクセスが良く、テレワーク移住者も増加
- 2024年3月の日銀マイナス金利解除により、今後の住宅ローン金利上昇の可能性
(出典: いわき市役所「地価公示価格」)
エリア別の特徴と物件選び|沿岸部・内陸部・駅周辺
(1) 駅周辺エリア|いわき駅・常磐線沿線の利便性
いわき駅周辺は、商業施設や公共交通機関が集積し、利便性が高いエリアです。
駅周辺エリアの特徴:
- メリット: 商業施設・飲食店が充実、常磐線で東京へアクセス可能
- デメリット: 価格が高め、マンション選択肢は限定的
- 向いている人: 東京への往来が多い、車を所有しない
駅周辺のマンションは選択肢が少ないため、戸建てと比較検討することが推奨されます。
(2) 沿岸部エリア|災害リスクと復興状況の確認
沿岸部は、海に近く景観が良いエリアですが、震災復興エリアもあります。
沿岸部エリアの特徴:
- メリット: 海が近く、新鮮な魚介類が手に入る
- デメリット: 津波・高潮のリスク、震災復興エリアがある
- 注意点: 地盤調査、ハザードマップの確認が必須
沿岸部を検討する場合は、不動産会社や専門家に災害リスクを確認することが重要です。
(3) 内陸部エリア|閑静な住宅地と価格のバランス
内陸部は、閑静な住宅地が広がり、価格も比較的手頃なエリアです。
内陸部エリアの特徴:
- メリット: 価格が抑えめ、閑静な住環境、駐車場確保が容易
- デメリット: 駅から遠い、自家用車が必須
- 向いている人: 車を所有、静かな環境を重視、価格を抑えたい
内陸部は、いわき市で長期的に暮らす方に向いているエリアです。
いわき市での不動産購入・売却時の注意点
(1) 車社会への対応|自家用車の所有・維持費を考慮
いわき市は車社会のため、自家用車の所有が必須です。
車社会への対応:
- 自家用車の購入費: 新車・中古車の購入費用を予算に組み込む
- 維持費: ガソリン代、車検代、保険料、駐車場代(自宅外の場合)
- 駐車場確保: 戸建て・マンションともに駐車場の有無を確認
自家用車の所有・維持費を含めた資金計画が重要です。
(2) 地盤・災害リスクの確認|震災復興エリアの調査
いわき市には震災復興エリアもあり、地盤や災害リスクの確認が必須です。
確認すべき事項:
- 地盤調査: 地盤の強度、液状化リスクを調査
- ハザードマップ: 津波・洪水・土砂災害のリスクを確認
- 復興状況: 震災復興エリアの整備状況、周辺環境の変化
不動産会社や専門家に相談し、詳細な調査を行うことが推奨されます。
(3) 住宅ローン金利の動向|2024年日銀政策転換の影響
2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、7月には政策金利を0.25%に引き上げました。
住宅ローンへの影響:
- 変動金利: 今後上昇する可能性がある
- 固定金利: 変動金利より高めだが、金利上昇リスクを回避できる
- 返済計画: 金利上昇を見込んだ返済計画が必要
住宅ローンの借入前に、複数の金融機関で金利や条件を比較することが推奨されます。
(4) エリア選びの重要性|市の面積が広く利便性に差
いわき市は面積が東京23区の約2倍と広いため、エリアによって利便性・価格に大きな差があります。
エリア選びのポイント:
- 通勤・通学: 職場・学校へのアクセスを最優先
- 生活利便性: スーパー・病院・公共施設への距離
- 将来の資産価値: 地方都市のため、売却可能性も考慮
エリア選びは、長期的な視点で検討することが重要です。
まとめ:いわき市で不動産取引を成功させるポイント
いわき市の不動産市場は、2024年第1四半期の土地価格が前年比+16.21%上昇し、公示地価も商業地+2.0%、住宅地も広範囲で上昇傾向にあります。震災復興が進み、市場は回復しています。
いわき市は、東北地方でありながら温暖な気候で雪がほぼ降らず、東京駅まで常磐線で最短2時間強というアクセスの良さが特徴です。一方で、車社会のため自家用車が必須で、市の面積が広くエリアによって利便性・価格に大きな差があります。
購入・売却時の注意点は、①車社会への対応(自家用車の所有・維持費)、②地盤・災害リスクの確認(震災復興エリアの調査)、③住宅ローン金利の動向(2024年日銀政策転換の影響)、④エリア選びの重要性(通勤・生活利便性・将来の資産価値)です。
いわき市での不動産取引を成功させるには、市場動向を理解し、エリアの特徴を把握し、長期的な視点で物件選びをすることが重要です。信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら、慎重に検討しましょう。
詳細は宅地建物取引士や専門家にご相談ください。
