インターネット無料マンションが注目される理由
賃貸マンションを探す際、「インターネット無料」という条件に魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。ただし、「本当に無料なのか」「通信速度は十分か」と気になる点もあるはずです。
この記事では、インターネット無料マンションの仕組み、メリット・デメリット、物件選びのポイントを、通信事業者や不動産情報サイトのデータを元に解説します。
リモートワークやオンラインゲーム等の用途別に、自分に合った物件を選ぶための判断基準を把握できます。
この記事のポイント
- インターネット無料マンションは月額3,000〜8,000円のネット料金が不要で、入居後すぐに利用可能
- 1本の回線を最大32世帯が共有するため、夜間や休日は速度低下の可能性がある
- VDSL方式の場合は最大100Mbpsと光回線(最大1Gbps)の10分の1程度の速度
- 家賃や共益費に上乗せされているケースが多く、実質無料ではない可能性がある
- リモートワークやオンラインゲームのヘビーユーザーには不向きな場合が多い
インターネット無料マンションが注目される理由
(1) リモートワーク普及による需要増加
2024〜2025年にかけて、リモートワーク普及によりインターネット無料物件の需要が増加しています。在宅勤務が当たり前になり、ネット環境は生活のインフラとして重要性が高まっています。
初期費用・月額費用を抑えたい入居者にとって、「インターネット無料」は魅力的な条件です。
(2) 空室対策としての大家側のメリット
大家にとっても、インターネット無料は空室対策として有効です。物件の付加価値を高め、入居率を上げる効果があります。
無料インターネット導入が推奨されており、物件数は増加中です。
インターネット無料・完備・対応の違い
(1) インターネット無料とは
インターネット無料とは、各部屋まで回線が引き込まれ、プロバイダ契約も済んでおり、入居者が追加料金なしでネット利用できる状態を指します。
SUUMOによると、「入居後すぐに利用可能」「契約手続きや解約手続きが不要」が特徴です。
(2) インターネット完備とインターネット対応の違い
| 用語 | 意味 | 入居者の作業 |
|---|---|---|
| インターネット完備 | 各部屋まで回線が引き込まれ、プロバイダ契約済み | 入居後すぐに利用可能 |
| インターネット対応 | 建物の共用部分まで回線が引き込まれている | 各部屋への契約・工事が必要 |
| インターネット無料 | 完備の状態で、かつ利用料が無料 | 入居後すぐに利用可能 |
(出典: eo光 インターネット完備と対応の違い)
(3) 契約前に確認すべき用語
「インターネット無料」の表記は厳密に定義されておらず、不動産会社により意味が異なる場合があります。契約前に以下を確認してください。
- 本当に追加料金なしで利用できるか
- 回線方式(VDSL/光回線)
- 最大速度
- Wi-Fiルーターは設置されているか(LANコンセントのみの場合は別途ルーターが必要)
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インターネット無料マンションのメリット
(1) 月額3,000〜8,000円のネット料金が不要
一般的な光回線の月額料金は3,000〜8,000円程度です。インターネット無料物件なら、この費用が不要になります。
年間で36,000〜96,000円の節約になるため、コストメリットは大きいといえます。
(2) 入居後すぐに利用可能
通常の光回線契約では、申込から開通まで2週間〜1ヶ月程度かかります。インターネット無料物件なら、入居日からすぐにネットが使えます。
引越し直後の忙しい時期に、契約手続きや工事日程の調整が不要です。
(3) 契約手続きや解約手続きが不要
個別に回線を契約すると、引越し時に解約手続き・新居での新規契約が必要です。インターネット無料物件なら、こうした手続きが一切不要です。
インターネット無料マンションのデメリット
(1) 通信速度の問題(共有回線とVDSL方式)
共有回線による速度低下:
アイネットによると、インターネット無料物件では1本の回線を建物内で最大32世帯が共有するケースが一般的です。
夜間や休日に多くの入居者が同時利用すると、速度が低下する可能性があります。
VDSL方式の速度制限:
| 回線方式 | 最大速度 |
|---|---|
| VDSL方式 | 最大100Mbps |
| 光回線(FTTH) | 最大1Gbps〜10Gbps |
VDSL方式は電話回線を利用した接続方式で、最大速度が100Mbpsと光回線の10分の1程度です。
(2) セキュリティリスク
セキュリティ対策は物件により異なります。個人でもセキュリティソフト導入を検討すべきです。
また、共有回線では他の入居者と同じネットワークを使用するため、VPN利用も推奨されます。
(3) 回線・プロバイダを選べない
回線やプロバイダを選べないため、特定のサービス(IPv6、独自ドメイン等)を利用したい人には不向きです。
(4) 家賃への上乗せの可能性
実質的には家賃や共益費に上乗せされているケースが多いです。ネット非対応物件と家賃を比較し、総コストで判断することを推奨します。
物件選びのポイントと用途別の判断基準
(1) リモートワーク・オンラインゲーム向けの確認事項
リモートワーク(Web会議):
- 必要速度: 上下10Mbps以上
- VDSL方式でも可能だが、夜間や休日の速度低下に注意
オンラインゲーム:
- 必要速度: 上下30Mbps以上、Ping値20ms以下推奨
- ヘビーユーザーには不向きな場合が多い
リモートワークやオンラインゲームの頻度が高い場合は、個別契約を検討すべきです。
(2) 回線方式と速度の確認方法
契約前に以下を不動産会社・管理会社に確認してください。
- 回線方式(VDSL/光回線/CATV等)
- 最大速度(理論値)
- 実測速度(既存入居者の評判があれば参考に)
(3) 個別契約の可否の確認
速度やセキュリティに不満がある場合、自分で別の回線を契約できるか確認しましょう。
オーナーの許可があれば可能な場合が多いですが、事前に管理会社へ確認すべきです。
(4) 速度改善の方法
入居後に速度が遅い場合、以下の方法で改善できる可能性があります。
- Wi-Fi中継器の導入: 部屋の隅々まで電波を届ける
- 周波数帯の変更: 2.4GHz → 5GHz(干渉が少なく高速)
- ルーター再起動: 定期的に再起動で速度回復
(出典: アイネット マンションのWi-Fiが遅い理由と解決方法)
まとめ:入居前のチェックリスト
インターネット無料マンションは、月額3,000〜8,000円のネット料金が不要で、入居後すぐに利用可能です。コストメリットは大きいですが、通信速度やセキュリティ面でのデメリットもあります。
リモートワークやオンラインゲームのヘビーユーザーには不向きな場合が多いため、用途に合わせて慎重に判断しましょう。
入居前のチェックリスト:
- 回線方式(VDSL/光回線)を確認
- 最大速度を確認
- Wi-Fiルーターの有無を確認
- 個別契約の可否を確認
- 家賃がネット非対応物件より高くないか比較
- 利用目的(Web閲覧のみ/リモートワーク/ゲーム)に適しているか判断
不動産会社や管理会社に事前確認し、自分に合った物件を選びましょう。
