戸建てでWi-Fi環境を整える前に知っておくべきこと
戸建て住宅でWi-Fi環境を整えたいと考えていませんか。テレワーク、オンライン学習、動画配信など、家庭内でのインターネット利用は増加しており、快適なWi-Fi環境は生活の質に直結します。
この記事では、戸建て特有のWi-Fi課題、インターネット回線の選び方、Wi-Fiルーターの選び方、設置・設定方法と電波改善策について解説します。2025年時点の最新情報と実践的なアドバイスをお伝えします。
この記事のポイント
- 戸建てには光回線+無線LANルーターの組み合わせが推奨、安定した高速通信で複数デバイスの同時接続に最適
- 光回線の工事費用は20,000〜40,000円、開通まで1〜1.5ヶ月が目安(工事費無料キャンペーン多数あり)
- Wi-Fi 6はWi-Fi 5の約1.4倍の速度、Wi-Fi 7は約3.7倍の速度を実現
- 2.4GHz帯は壁・ドア・床などの障害物に強く、2階まで電波が届きやすい
- 2階建て戸建てで電波が届かない場合はメッシュWi-Fiか中継器の導入を検討
戸建て特有のWi-Fi課題と解決策
戸建て住宅は、マンションとは異なるWi-Fi環境の課題があります。まずは課題を理解しましょう。
(1) 複数階での電波到達問題
2階建て・3階建ての戸建て住宅では、1階に設置したWi-Fiルーターの電波が2階・3階まで届きにくい問題があります。
Wi-Fi電波は距離が離れるほど減衰し、特に上下階への電波到達は床・天井が障害物となり弱くなります。1階にルーターを設置した場合、2階の端の部屋では電波が弱く、通信速度が低下する可能性があります。
解決策:
- 1階と2階の中間階(階段付近など)にルーターを設置
- 2.4GHz帯を使用(5GHz帯より障害物に強い)
- メッシュWi-Fiや中継器を導入
(2) 壁・床による電波減衰
戸建て住宅の壁・床は、マンションより厚い構造の場合があり、Wi-Fi電波が減衰しやすくなります。特に以下の構造は電波を通しにくい傾向があります。
- コンクリート壁
- 鉄骨構造
- 断熱材が厚い壁
こうした構造の家では、ルーターから離れた部屋で電波が弱くなる可能性があります。
解決策:
- ルーターを家の中心部に設置
- 間取りより大きめの推奨環境のルーターを選ぶ
- 電波が届かない部屋には中継器を設置
(3) 庭・駐車場での利用ニーズ
戸建て住宅では、庭や駐車場でもWi-Fiを使いたいという要望があります。スマートフォンでの作業、屋外カメラ、IoTデバイス(スマートロック、センサー等)の利用などが該当します。
ただし、屋外は屋内よりも電波が届きにくく、ルーターの位置や出力により利用可否が変わります。
解決策:
- 屋外に近い窓際にルーターを設置
- 屋外用のWi-Fi中継器を設置
- ホームルーターを屋外に近い場所に設置
インターネット回線の選び方(光回線・ホームルーター比較)
戸建てのWi-Fi環境構築には、まずインターネット回線の選定が重要です。主な選択肢は光回線とホームルーターです。
(1) 光回線の特徴と工事費用(20,000〜40,000円)
光回線は、光ファイバーを使用した高速インターネット回線です。戸建てで最大1〜2Gbpsの通信速度を実現します。
光回線のメリット:
- 高速・安定した通信速度
- 速度制限がほぼない
- 複数デバイスの同時接続に強い
- オンラインゲームや4K動画の視聴に最適
光回線のデメリット:
- 開通工事が必要(立ち会いが必要)
- 工事費用がかかる(戸建て20,000〜40,000円)
- 開通まで1〜1.5ヶ月かかる
So-netによると、戸建ての光回線工事費用は20,000〜40,000円が目安です。ただし、2025年時点で多くの事業者が工事費無料・実質無料キャンペーンを実施しています。
(2) ホームルーターの特徴と速度制限
ホームルーターは、工事不要でコンセントに挿すだけで使えるWi-Fi機器です。モバイル回線(4G/5G)を利用してインターネットに接続します。
ホームルーターのメリット:
- 工事不要で即日利用可能
- 引っ越し時に持ち運べる
- 工事の立ち会いが不要
ホームルーターのデメリット:
- 光回線より通信速度が遅い(平均で300Mbps程度の差)
- 速度制限がかかる場合がある
- 大容量通信(4K動画、オンラインゲーム等)には不向き
マイベストの比較によると、光回線は速度300Mbps以上速く、速度制限がほぼないため、大容量通信には光回線が適しています。
ホームルーターは工事不要ですぐ使いたい場合や、引っ越しが多い場合に便利です。
(3) 開通期間の目安(光回線は1〜1.5ヶ月)
光回線の開通までの期間は以下の通りです。
| 時期 | 開通期間 |
|---|---|
| 通常期 | 1〜1.5ヶ月 |
| 繁忙期(3月) | 2ヶ月以上 |
開通までの流れは以下の通りです。
- 申込(Web・電話)
- 工事日の調整(事業者から連絡)
- 屋外工事(電柱から光ファイバーを引き込み)
- 宅内工事(ONU設置、配線)
- 開通(ルーター接続、設定)
引っ越しや新築時は、入居予定日の1.5〜2ヶ月前に申し込むことを推奨します。
(4) 2025年のおすすめ光回線
価格.comの2025年12月時点のランキングでは、以下の光回線が人気です。
| 光回線 | 特徴 |
|---|---|
| NURO光 | 最大2Gbps、最大82,000円キャッシュバック、工事1回のみに改善 |
| GMOとくとくBB光 | 月額料金が安い、工事費無料 |
| auひかり | au・UQモバイルユーザーは割引 |
| ドコモ光 | ドコモユーザーは割引、全国エリア対応 |
| ソフトバンク光 | ソフトバンク・ワイモバイルユーザーは割引 |
スマートフォンのキャリアに合わせてセット割を活用すると、月額料金を抑えられます。
Wi-Fiルーターの選び方
光回線を導入した後は、Wi-Fiルーターの選定が重要です。戸建て向けのルーター選びのポイントを解説します。
(1) 間取りに合わせた推奨環境の選定
Wi-Fiルーターには「推奨環境」が記載されています。間取りより大きめの推奨環境を選ぶことで、電波が安定します。
| 間取り | 推奨環境 |
|---|---|
| 1LDK〜2LDK | 3LDK推奨 |
| 3LDK | 4LDK推奨 |
| 4LDK以上 | メッシュWi-Fiを検討 |
2階建て・3階建ての戸建ては、推奨環境が大きめのルーターを選ぶか、メッシュWi-Fiの導入を検討してください。
(2) 通信規格(Wi-Fi 6・Wi-Fi 7)の比較
Wi-Fiルーターの通信規格は、通信速度に大きく影響します。
| 通信規格 | 最大速度 | Wi-Fi 5との比較 |
|---|---|---|
| Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) | 6.9Gbps | 基準 |
| Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) | 9.6Gbps | 約1.4倍 |
| Wi-Fi 7(IEEE 802.11be) | 46Gbps | 約3.7倍 |
マイベストによると、Wi-Fi 6はWi-Fi 5の約1.4倍の速度、Wi-Fi 7は約3.7倍の速度を実現します。
2025年時点では、Wi-Fi 6対応ルーターが普及しており、価格も手頃になっています。Wi-Fi 7は最新規格ですが、対応デバイスが少なく、価格が高い傾向があります。
現時点では、Wi-Fi 6対応ルーターを選ぶことを推奨します。
(3) 周波数帯(2.4GHz・5GHz)の使い分け
Wi-Fiルーターは、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯を使用します。
| 周波数帯 | 特徴 | 推奨用途 |
|---|---|---|
| 2.4GHz帯 | 壁・ドア・床などの障害物に強い、遠くまで届く、電波干渉を受けやすい | 2階建て戸建て、遠い部屋での利用 |
| 5GHz帯 | 高速通信が可能、障害物に弱い、電波干渉を受けにくい | 同じ部屋での高速通信、4K動画・オンラインゲーム |
戸建て住宅では、2.4GHz帯のほうが壁・床を通過しやすく、2階まで電波が届きやすい傾向があります。
多くのルーターは2.4GHz帯と5GHz帯を自動で切り替える機能を搭載しており、状況に応じて最適な周波数帯を選択します。
(4) 接続台数と同時利用
Wi-Fiルーターには「接続台数」の目安が記載されています。戸建て住宅では、スマートフォン、タブレット、パソコン、テレビ、ゲーム機、IoTデバイス(スマートスピーカー、エアコン等)など、多数のデバイスを接続します。
家族の人数とデバイス数を考慮し、接続台数に余裕があるルーターを選んでください。
| 家族人数 | 推奨接続台数 |
|---|---|
| 1〜2人 | 10〜20台 |
| 3〜4人 | 20〜30台 |
| 5人以上 | 30台以上 |
設置・設定方法と電波改善策
ルーターの設置場所と設定方法、電波が届かない場合の改善策を解説します。
(1) ルーターの最適な設置場所
Wi-Fiルーターの設置場所により、電波の届きやすさが大きく変わります。
最適な設置場所:
- 家の中心部(1階と2階の中間階が理想)
- 床から1〜2mの高さ(棚の上など)
- 周囲に障害物が少ない場所
- 電子レンジ、冷蔵庫から離れた場所(電波干渉を避ける)
避けるべき設置場所:
- 床に直置き
- 部屋の隅
- 金属製の家具の近く
- 水槽の近く(水は電波を吸収する)
ルーターの設置場所を変更するだけで、電波の届きやすさが改善する場合があります。
(2) メッシュWi-Fiの導入
メッシュWi-Fiは、複数のルーターを連携させて広範囲をカバーするWi-Fiシステムです。
メッシュWi-Fiのメリット:
- 広範囲をカバー(2階建て・3階建て戸建てに最適)
- 移動時に自動で最適なルーターに接続
- 設定が簡単(アプリで一括設定)
メッシュWi-Fiのデメリット:
- 初期費用が高い(2〜3台セットで2〜5万円)
- 通常のルーターより設置スペースが必要
2階建て・3階建ての戸建てで、通常のルーターでは電波が届かない場合、メッシュWi-Fiの導入を検討してください。
(3) 中継器の活用
中継器は、ルーターの電波を中継して遠くまで届ける機器です。メッシュWi-Fiより安価(3,000〜10,000円)で導入できます。
中継器の設置方法:
- ルーターと電波が届かない部屋の中間地点に設置
- コンセントに挿して電源ON
- WPSボタンを押して接続(機種により異なる)
中継器は、電波が届かない1〜2部屋をカバーする場合に有効です。ただし、中継器を経由すると通信速度が低下する可能性があります。
(4) ルーターの寿命と買い替え目安(4〜5年)
Wi-Fiルーターの寿命は4〜5年が目安です。以下の症状が出た場合、買い替えを検討してください。
- 通信速度が著しく低下
- 頻繁に接続が切れる
- ルーターが熱を持ちすぎる
- 設定画面にアクセスできない
4〜5年ごとにルーターを買い替えることで、最新の通信規格(Wi-Fi 6等)に対応し、通信速度の向上が期待できます。
まとめ:戸建てのWi-Fi環境構築チェックリスト
戸建て住宅のWi-Fi環境構築には、以下のチェックリストを参考にしてください。
インターネット回線の選択:
- 速度・安定性重視なら光回線(開通まで1〜1.5ヶ月、工事費20,000〜40,000円、キャンペーンで無料の場合あり)
- 工事不要ですぐ使いたい場合はホームルーター
Wi-Fiルーターの選択:
- 間取りより大きめの推奨環境を選ぶ
- Wi-Fi 6以上の通信規格を選択
- 2.4GHz帯は壁・ドア・床などの障害物に強く、2階まで届きやすい
- 接続台数に余裕があるルーターを選ぶ
設置・設定:
- ルーターは家の中心部、床から1〜2mの高さに設置
- 2階建て・3階建てで電波が届かない場合はメッシュWi-Fiか中継器を導入
- ルーターの寿命は4〜5年、定期的な買い替えを検討
戸建てのWi-Fi環境は、光回線+無線LANルーターの組み合わせが推奨されます。安定した高速通信で複数デバイスの同時接続に最適です。
光回線の開通には1〜1.5ヶ月かかるため、引っ越しや新築時は早めに申し込みを行ってください。2025年時点で多くの事業者が工事費無料キャンペーンを実施しているため、複数社を比較検討することを推奨します。
2階建て・3階建ての戸建てで電波が届かない場合は、メッシュWi-Fiや中継器の導入により、全室で快適なWi-Fi環境を実現できます。


