戸建ての電気代はなぜ高いのか?
戸建てに住んでいる方や購入を検討している方は、「電気代がマンションより高い」と聞いたことがあるかもしれません。
この記事では、戸建ての電気代平均、マンションとの比較、オール電化の電気代、節約方法を、総務省統計局の家計調査報告などの信頼できる情報源を元に解説します。
初めて戸建ての電気代について調べる方でも、平均額・理由・節約術を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建ての電気代平均は月12,008円(総務省2024年データ)で、集合住宅より約2,000〜3,200円高い
- 戸建ては四方が外気に接するため断熱性が低く、冷暖房効率が悪いことが電気代高騰の主因
- 4人世帯の戸建電気代は月16,813円が平均で、冬季(1月)は平均21,341円に達する
- オール電化の年間平均は191,753円(月15,979円)で、2人以上世帯ではガス併用より安くなる傾向
- LED照明・省エネ家電・プラン見直しで年間5万円以上の節約が可能
断熱性の違い(四方が外気に接する構造)
戸建ての電気代が高い最大の理由は、断熱性の違いです。
戸建ては四方が外気に接するため、夏は外気の熱が室内に入りやすく、冬は室内の熱が外に逃げやすい構造です。
マンション・アパートは上下左右を隣家に囲まれているため、外気に接する面積が少なく断熱性が高い傾向があります。
この構造の違いにより、戸建てはエアコン・暖房を使う時間が長く、電気代が高くなります。
居住面積の広さと冷暖房効率
戸建ては集合住宅より居住面積が広いことが多く、冷暖房の対象面積が大きいため電力消費量が増えます。
例えば、100㎡の戸建てと60㎡のマンションでは、同じエアコンを使用しても戸建ての方が電気代が高くなります。
居住面積が広いほど、冷暖房効率が悪くなり、電気代が増加する傾向があります。
戸建ての電気代平均と世帯別の目安
戸建ての電気代は、世帯人数・季節により大きく変動します。
ここでは、総務省統計局の家計調査報告やエネチェンジのデータを参考に、2024年時点の平均額を整理します。
全国平均:月12,008円(総務省2024年データ)
総務省統計局の家計調査報告によると、2024年の戸建て・集合住宅を含む全国平均の電気代は月12,008円です。
戸建てのみのデータでは、エネチェンジのデータによると月8,546円(消費電力量350kWh)が平均です。
世帯人数別の電気代(4人世帯:月16,813円)
戸建ての電気代は、世帯人数により大きく異なります。
ウスイホームのデータによると、2024年の世帯人数別の電気代は以下の通りです。
| 世帯人数 | 戸建(月額) | 集合住宅(月額) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 約8,000円 | 約6,500円 | 約1,500円 |
| 2人 | 約12,000円 | 約10,000円 | 約2,000円 |
| 3人 | 約14,500円 | 約12,000円 | 約2,500円 |
| 4人以上 | 約16,813円 | 約13,584円 | 約3,200円 |
(出典: ウスイホーム、総務省統計局データを基に作成)
世帯人数が多いほど、戸建てと集合住宅の電気代の差額が大きくなります。
季節別の電気代(冬季1月:平均21,341円)
戸建ての電気代は、季節により大きく変動します。
冬季(1月)は暖房需要が高まるため、電気代が年間で最も高くなります。
エネチェンジのデータによると、冬季(1月)の戸建て電気代は平均21,341円に達し、集合住宅(13,268円)より約8,000円高い傾向があります。
夏季(7〜8月)もエアコン使用により電気代が増加しますが、冬季ほどではありません。
戸建てとマンションの電気代比較
戸建てとマンション・アパートの電気代は、どのくらい違うのでしょうか。
戸建8,546円 vs 集合住宅6,477円(約1.3倍)
エネチェンジのデータによると、戸建ての電気代平均は月8,546円(消費電力量350kWh)、集合住宅は6,477円(消費電力量246kWh)で、戸建ては集合住宅の約1.3倍です。
消費電力量でも約1.4倍の差があり、戸建ての電力消費が多いことがわかります。
4人世帯以上の差額:約3,200円/月
ウスイホームのデータによると、4人世帯以上では戸建て16,813円、集合住宅13,584円で、差額は約3,200円/月です。
年間では約38,400円の差額となり、戸建てのランニングコストとして考慮する必要があります。
断熱性の違いが電気代に与える影響
戸建てと集合住宅の電気代の差額は、主に断熱性の違いによるものです。
戸建ては四方が外気に接するため、冷暖房効率が悪く、エアコン・暖房の稼働時間が長くなります。
断熱性を向上させるリフォーム(窓の二重サッシ化、断熱材追加等)を行うことで、電気代を削減できる可能性があります。
オール電化住宅の電気代
オール電化住宅は、ガスを使わず調理・給湯・冷暖房をすべて電気で行う住宅です。
オール電化の年間平均191,753円(月15,979円)
idemitsuでんきのデータによると、オール電化住宅の電気代は年間平均191,753円(月15,979円)です。
ガス代がかからないため、光熱費全体(電気代+ガス代)で比較すると、2人以上世帯ではガス併用より安くなる傾向があります。
2人以上世帯ではガス併用より安くなる傾向
オール電化は、夜間の安い電力時間帯(深夜電力)に給湯設備(エコキュート等)を稼働させることで、電気代を抑える仕組みです。
2人以上世帯では、ガス併用より光熱費が安くなる傾向がありますが、電気料金プラン・地域により異なるため、シミュレーションが推奨されます。
寒冷地の注意点(冬季に月10万円超えの事例あり)
経済産業省資源エネルギー庁の注意喚起によると、寒冷地(北海道・東北)のオール電化住宅では、冬季に月10万円超えの電気代が発生する事例があります。
寒冷地では暖房需要が極端に高く、消費電力量が3,000〜5,000kWh程度に達することがあります。
オール電化を検討する際は、地域の気候・電気料金プランを慎重に検討することが重要です。
夜間電力の活用による節約効果
オール電化住宅は、夜間の安い電力時間帯(深夜電力)を活用することで電気代を削減できます。
ヒートポンプ給湯器(エコキュート)は、従来の電気温水器より約75%の電気代削減が可能です。
夜間電力プランを適切に選び、給湯・蓄熱暖房を夜間に集中させることで、光熱費を大幅に抑えられます。
戸建ての電気代節約方法
戸建ての電気代を削減するには、LED照明・省エネ家電・プラン見直しが効果的です。
LED照明への切り替え(年間18,000円節約)
ウスイホームのデータによると、5個の電球を白熱電球からLED照明に交換すると、年間約18,000円の節約が可能です。
LED照明は白熱電球より消費電力が約80%少なく、寿命も約40倍長いため、初期投資(電球代)を差し引いても大きな節約効果があります。
省エネ家電への買い替え(エアコン年間23,000円、冷蔵庫年間8,000円節約)
ウスイホームのデータによると、以下の省エネ家電への買い替えで大幅な節約が可能です。
- エアコン: 15年使用のエアコンを新型に交換すると年間約23,000円の節約
- 冷蔵庫: 10年使用の冷蔵庫を新型に交換すると年間約8,000円の節約
省エネ家電は初期投資が必要ですが、ランニングコストの削減により数年で回収できます。
電気料金プランの見直し(年間平均27,000円節約)
ウスイホームのデータによると、電気料金プランの見直し(ガスやスマホ決済とのセット割)で、年間平均27,000円の節約が可能です。
電力会社の切り替え・プラン変更により、同じ電力使用量でも電気代を大幅に削減できる場合があります。
複数の電力会社のプランをシミュレーションし、最適なプランを選びましょう。
契約アンペア数の最適化(10Aごとに約300円削減)
契約アンペア数が高いと基本料金が高くなります。
多くの電力会社では、10Aごとに基本料金が約300円上がるため、必要以上に高い契約は見直すべきです。
過去1年間の電気使用量を確認し、ブレーカーが落ちない範囲で契約アンペア数を下げることで、年間数千円の節約が可能です。
エアコンの自動運転活用と断熱性向上
エアコンは「自動運転」を使用すると、弱運転より省エネです。
弱風は目標温度到達まで時間がかかり、結果的に電力消費が増えます。
自動運転は最短時間で目標温度に到達し、その後は最小限の電力で維持するため、最も効率的です。
また、窓の二重サッシ化・断熱材追加などの断熱性向上リフォームにより、冷暖房効率を改善できます。
電気代を抑える戸建て生活のポイント
戸建ての電気代は、断熱性の低さと居住面積の広さにより、マンション・アパートより約2,000〜3,200円/月高い傾向があります。
2024年の全国平均は月12,008円で、4人世帯では月16,813円が平均です。冬季(1月)は平均21,341円に達するため、季節による変動が大きい点に注意が必要です。
オール電化の年間平均は191,753円(月15,979円)で、2人以上世帯ではガス併用より安くなる傾向がありますが、寒冷地では冬季に月10万円超えの事例もあります。
LED照明への切り替えで年間18,000円、省エネ家電への買い替えでエアコン年間23,000円・冷蔵庫年間8,000円、電気料金プラン見直しで年間平均27,000円の節約が可能です。
2025年4月から電気・ガス代の支援策が終了し、再エネ賦課金が3.49円/kWh→3.98円/kWhに値上がりするため、節約対策がより重要になります。
電力会社・プラン・家電を適切に選び、断熱性向上リフォームを検討しながら、快適で経済的な戸建て生活を送りましょう。
