土地なしで家を建てる場合の費用の重要性
家を建てる際、土地代と建築費用を分けて考える必要があります。既に土地を所有している方や、土地と建物を別々に検討している方にとって、建築費用の全体像を把握することは資金計画の第一歩です。
この記事では、土地なしで家を建てる場合の建築費用の内訳、坪単価の相場、ハウスメーカーと工務店の違い、コスト削減のポイントを、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査や国土交通省の住宅統計を元に解説します。
初めて注文住宅を建てる方でも、必要な費用を正確に把握し、無理のない予算計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 建築費用は「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分かれ、総額で2,500-3,500万円程度が全国平均
- 坪単価はハウスメーカーで70-90万円、工務店で50-70万円、ローコスト住宅で40-60万円が目安
- ハウスメーカーは品質管理が充実し、工務店は柔軟な設計変更が可能でコストパフォーマンスに優れる
- シンプルな設計や相見積もりで10-20%程度のコスト削減が可能だが、構造や断熱性能は削らないことが重要
建築費用の全体像を把握する重要性
建築費用の見積もりを依頼する際、「坪単価」だけで比較すると、付帯工事費や諸費用を見落とす可能性があります。総額で予算を把握し、どこにどれだけの費用がかかるかを理解することが重要です。
土地代と建築費の予算配分
土地と建物の総予算が決まっている場合、土地代と建築費用のバランスを考える必要があります。一般的には、総予算の40-50%を建築費用、50-60%を土地代に配分するケースが多いですが、エリアや希望する建物の仕様により異なります。
建築費用の内訳:3つの主要項目
建築費用は、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに大きく分かれます。
本体工事費:建物本体の建築費用
本体工事費は、建物本体の建築にかかる費用で、基礎工事、躯体工事、内装工事、設備工事(電気・ガス・水道等)が含まれます。建築費用全体の70-80%を占めるのが一般的です。
「坪単価」はこの本体工事費を延床面積で割った値で、ハウスメーカーや工務店の見積もり比較でよく使われます。
付帯工事費:外構・地盤改良・解体等(本体の15-20%)
付帯工事費は、建物本体以外の工事にかかる費用です。
主な付帯工事費の内訳
- 外構工事: 門扉、フェンス、駐車場、庭、アプローチ等(100-200万円程度)
- 地盤改良: 軟弱地盤の場合に必要(0-150万円程度、地盤調査で判明)
- 解体工事: 既存建物の解体が必要な場合(100-200万円程度)
- 上下水道・ガス引き込み: インフラ未整備の土地の場合(50-150万円程度)
付帯工事費は、本体工事費の15-20%程度が目安ですが、土地の状況により大きく変動します。
諸費用:登記・ローン手数料・保険等(総額の5-10%)
諸費用は、工事費以外にかかる費用です。
| 項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 登記費用 | 15-25万円(所有権保存登記、抵当権設定登記) |
| 住宅ローン手数料 | 借入額の2.2%程度(または定額3-5万円) |
| 火災保険・地震保険 | 20-40万円(10年一括払い) |
| 設計料 | 建築費用の5-10%(設計事務所に依頼する場合) |
| 地鎮祭・上棟式 | 5-15万円(任意) |
(出典: 不動産流通推進センター)
諸費用は建築費用総額の5-10%程度が目安です。
坪単価と総額の相場
建築費用の相場は、依頼先や仕様により大きく異なります。
全国平均の建築費用(フラット35利用者調査)
住宅金融支援機構の2023年度フラット35利用者調査によると、注文住宅の全国平均建築費用は約3,500万円(土地代除く)です。延床面積は平均120平米(約36坪)程度で、坪単価換算で約97万円となります。
ただし、地域や仕様により大きく異なるため、あくまで参考値として捉えてください。
ハウスメーカー:坪70-90万円
ハウスメーカーは、全国展開する大手住宅メーカーで、規格化された商品ラインナップと高い品質管理が特徴です。坪単価は70-90万円程度が一般的で、30坪の住宅なら2,100-2,700万円程度が本体工事費の目安です。
工務店:坪50-70万円
工務店は、地域密着型の建築業者で、柔軟な設計対応とコストパフォーマンスが特徴です。坪単価は50-70万円程度が一般的で、30坪の住宅なら1,500-2,100万円程度が本体工事費の目安です。
ローコスト住宅:坪40-60万円
ローコスト住宅は、規格化された設計と資材の大量仕入れにより、低価格を実現した住宅です。坪単価は40-60万円程度で、30坪の住宅なら1,200-1,800万円程度が本体工事費の目安です。
ただし、設備グレードや仕様が限定される場合があるため、詳細を確認することが重要です。
構造別の坪単価(木造・鉄骨・RC造)
建物の構造により坪単価が異なります。
- 木造: 坪50-80万円(最も一般的、コストパフォーマンスが良い)
- 鉄骨造: 坪70-100万円(耐震性・耐久性に優れる)
- RC造(鉄筋コンクリート): 坪100-150万円(高耐久、防音性に優れる)
木造が最もコストを抑えられますが、耐震性や耐久性を重視する場合は鉄骨造やRC造も検討価値があります。
省エネ性能(ZEH等)と建築費用
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、高断熱・高効率設備・太陽光発電により年間のエネルギー消費量を概ねゼロにする住宅です。
ZEH仕様にすると、一般的な住宅に比べて建築費用が200-300万円程度高くなりますが、国や自治体の補助金(50-100万円程度)を活用でき、長期的には光熱費削減で元が取れる可能性があります。
ハウスメーカー vs 工務店:費用とサービスの違い
ハウスメーカーと工務店は、それぞれメリット・デメリットがあります。
ハウスメーカーのメリット・デメリットと費用感
メリット
- 全国展開で品質管理が統一されている
- モデルハウスで完成イメージを確認できる
- アフターサービス・保証が充実(10-30年保証等)
- 工期が短い(3-6ヶ月程度)
デメリット
- 坪単価が高め(70-90万円)
- 規格化された商品で設計の自由度が低い
- 広告費や人件費が価格に反映される
工務店のメリット・デメリットと費用感
メリット
- 柔軟な設計対応が可能(完全自由設計)
- 地域密着で細かい要望に対応してくれる
- 坪単価が比較的安い(50-70万円)
- 地域の気候や風土に合わせた設計ができる
デメリット
- 工務店により品質にばらつきがある
- 完成イメージの確認が難しい
- アフターサービスの範囲が限定される場合がある
ローコスト住宅の特徴と注意点
ローコスト住宅は、規格化された設計と資材の大量仕入れにより低価格を実現していますが、以下の点に注意が必要です。
- 設備グレードが標準仕様に限定される
- オプション追加で想定以上に費用がかさむ場合がある
- 断熱性能や耐震性能を確認する(長期優良住宅認定の有無等)
コスト削減のポイントと注意点
建築費用を抑えるポイントと、やってはいけない過度なコスト削減を紹介します。
シンプルな設計でコストダウン
建物の形状をシンプルにすることで、建築費用を抑えられます。
- 総2階建て: 1階と2階の床面積を同じにすると、基礎や屋根の面積が少なくなり、コストを抑えられる
- 凹凸を減らす: 外壁面積が少なくなり、外装工事費を削減できる
- 水回りを集約: 配管が短くなり、設備工事費を削減できる
相見積もりで適正価格を把握
複数のハウスメーカーや工務店に相見積もりを依頼し、価格と仕様を比較することで、適正価格を把握できます。3社以上から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりの内訳を詳細に確認し、不明な項目は必ず質問してください。
設備グレードの最適化
設備(キッチン、バス、トイレ等)のグレードを標準仕様にすることで、費用を抑えられます。ハイグレードな設備にこだわらず、必要十分な機能を選ぶことが重要です。
住宅ローン控除と税制優遇の活用
住宅ローン控除を利用すると、年末のローン残高の一定割合(0.7%)を所得税から控除できます(2025年時点)。新築住宅で最大13年間、控除を受けられます。
ZEH住宅や長期優良住宅の場合、控除限度額が引き上げられるため、税制優遇を活用することで実質的なコスト削減につながります。
やってはいけない過度なコスト削減
以下の項目は、長期的に見るとコストが増える可能性があるため、削るべきではありません。
- 構造(基礎・躯体): 耐震性・耐久性に直結するため、削ると危険
- 断熱性能: 削ると光熱費が高くなり、長期的にコストが増える
- 防水性能: 雨漏りのリスクが高まり、修繕費が高額になる可能性がある
まとめ:予算に合わせた建築計画の立て方
土地なしで家を建てる場合の建築費用は、本体工事費・付帯工事費・諸費用の合計で2,500-3,500万円程度が全国平均です。坪単価はハウスメーカーで70-90万円、工務店で50-70万円が目安です。
ハウスメーカーは品質管理とアフターサービスが充実し、工務店は柔軟な設計とコストパフォーマンスに優れます。予算や希望する仕様に応じて、複数社を比較検討してください。
コスト削減はシンプルな設計や相見積もりで可能ですが、構造や断熱性能など重要な部分は削らないことが長期的に重要です。
信頼できる建築会社やファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。


