函館市の土地購入を検討する方へ
北海道函館市は、歴史ある港町として知られ、異国情緒あふれる観光地でもあります。新幹線(北海道新幹線)の開通により、東京から約4時間でアクセス可能になり、移住先としても注目されています。
この記事では、函館市での土地購入を検討している方に向けて、国土交通省の公式統計や不動産ポータルサイトのデータを元に、価格相場、エリア別の特性、寒冷地特有の注意点を詳しく解説します。
函館の土地価格動向、人気エリア、寒冷地での建築費用、除雪対策を理解することで、失敗のない土地購入ができるようになります。
この記事のポイント
- 函館の土地価格相場は坪単価11.3-16.9万円(2024-2025年)で、全国的に見て低い水準
- 2025年公示地価は前年比+0.27%微増だが、長期的には緩やかに下落傾向
- 人気エリアは五稜郭、湯川、昭和で利便性が高いが価格も高め
- 寒冷地特有の費用(基礎工事、断熱工事、暖房設備)で建築費用が本州より1-2割高い
- 除雪費用や暖房費(年間数十万円)が継続的にかかる
函館市の土地価格相場と推移
函館市の土地価格相場を、公示地価と実際の取引価格から確認しましょう。
(1) 公示地価と実際の取引価格
2025年の公示地価
2025年の公示地価は平均5万1,175円/㎡(坪単価16万9,176円)で、前年比+0.27%の微増です。住宅地は2万8,750円/㎡(坪単価9万4,875円)で前年比-1.33%、商業地は6万3,270円/㎡(坪単価20万8,866円)で前年比-0.06%と、用途により動きが異なります。
公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の価格を公示するもので、土地取引の指標となります。
実際の取引価格
2024年第1四半期の実際の取引価格は2万9,041円/㎡(坪単価9万6,004円)で、前年比-14.79%下落しています。公示地価と実際の取引価格に差があるのは、立地条件、形状、周辺環境等により価格が変動するためです。
国土交通省の不動産情報ライブラリ(2024年4月開始)では、約547万件の取引価格情報が確認でき、四半期ごとに更新されます。函館の実際の取引価格を確認する際に活用してください。
(2) 坪単価の目安と価格帯
函館市全体の土地価格相場は、不動産ポータルサイトによると坪単価11.3万円程度です。これは全国的に見て低い水準で、大阪府枚方市(坪単価48.6-51.4万円、国土交通省公示地価)と比較すると約4分の1の価格です。
用途別の価格帯(目安)
| 用途 | 坪単価の目安 |
|---|---|
| 住宅地 | 9-10万円/坪 |
| 商業地 | 20-21万円/坪 |
| 全体平均 | 11-17万円/坪 |
住宅建築が目的であれば、住宅地を選ぶことで費用を抑えられます。
エリア別の土地特性と価格差
函館市内でも、エリアによって価格や特性に差があります。
(1) 人気エリアの特徴(五稜郭・湯川・昭和)
五稜郭エリア
五稜郭は函館市の中心部に近く、商業施設、医療機関、学校等が充実した利便性の高いエリアです。JR函館駅や函館空港へのアクセスも良好で、ファミリー層に人気です。
価格は函館市内では高めですが、利便性を重視する方に向いているエリアです。
湯川エリア
湯川エリアは函館空港に近く、湯の川温泉で知られる観光地でもあります。市電(路面電車)の沿線で、中心部へのアクセスも便利です。
温泉街としての環境があり、観光客が多いエリアですが、住環境としても人気があります。
昭和エリア
昭和エリアは、五稜郭と湯川の中間に位置し、生活施設へのアクセスが良好なエリアです。住宅地として人気があり、価格と利便性のバランスが取れています。
(2) 駅近エリアと郊外の違い
JR函館駅周辺や市電沿線は利便性が高いですが、価格も高めです。郊外エリアは価格が抑えられますが、車が必須になる場合があります。
通勤・通学、生活施設へのアクセス、予算を総合的に考慮してエリアを選んでください。
(3) 観光地・港町特有の環境と地形
函館は坂道の多い地形が特徴です。傾斜地は眺望が良い反面、冬季の凍結や雪解けが遅く、生活に支障が出る可能性があります。
また、港町のため、海風が強いエリアもあります。現地を訪問し、周辺環境を確認することをおすすめします。
函館の土地購入の流れと注意点
土地購入の基本的な流れと注意点を解説します。
(1) 土地の探し方と情報収集
まず、国土交通省の不動産情報ライブラリで実際の取引価格を確認し、相場感を掴んでください。
次に、不動産ポータルサイト(SUUMO、HOMES、アットホーム等)で売り出し中の物件を比較し、希望条件に合う物件を探します。
地元の不動産会社(函館不動産連合隊等)も活用すると、地域特有の情報が得られます。
(2) 購入手続きと必要書類
気になる物件が見つかったら、必ず現地を訪問してください。写真や図面だけでは分からない、日当たり、周辺環境、坂道の状況、積雪の影響等を確認できます。
契約前には、宅地建物取引士による重要事項説明があります。用途地域、建ぺい率、容積率、インフラ整備状況等を確認し、不明点は必ず質問してください。
(3) 建築条件付きとなしの違い
建築条件付き土地は、指定された建築会社で住宅を建築することが条件となっています。建築会社を自由に選べないため、カスタマイズの自由度が制限されます。
建築条件なし土地は、好きなハウスメーカー・工務店で建築できます。一般的に建築条件なしの方が価格は高めですが、自分の希望に合った住宅を建てられます。
寒冷地での建築には専門知識が必要なため、寒冷地での建築実績がある業者を選ぶことをおすすめします。
寒冷地特有の対策と建築費用
函館は寒冷地のため、本州とは異なる対策が必要です。
(1) 基礎工事と凍結深度対策
寒冷地では、地面が凍結する深さ(凍結深度)より深く基礎を打つ必要があります。函館では凍結深度が1m以上あるため、基礎工事費用が本州より高くなります。
凍結深度対策が不十分だと、基礎が持ち上がったり、建物が傾いたりするリスクがあります。
(2) 除雪スペースと融雪設備
函館は積雪が多いため、除雪スペースの確保が重要です。
必要な除雪スペース
- 駐車場:車1台につき通常より1-2m広めのスペース
- 玄関前:雪を積み上げるスペース
- 融雪設備:駐車場や道路の雪を溶かす設備(電気ヒーター式、温水循環式、地下水散水式等)
融雪設備の設置費用は数十万〜数百万円かかりますが、冬季の利便性が大幅に向上します。
(3) 断熱性能と暖房費・ランニングコスト
寒冷地では高い断熱性能(断熱等級4以上)が求められます。断熱工事費用で本州より1-2割高くなりますが、暖房費の節約につながります。
年間のランニングコスト(目安)
- 暖房費:年間10-30万円(断熱性能により大きく変動)
- 除雪費用:年間5-10万円(自分で除雪する場合は機材費のみ)
寒冷地での生活には、これらのランニングコストが継続的にかかることを考慮してください。
まとめ:函館で土地を購入する際のポイント
函館の土地価格相場は坪単価11.3-16.9万円(2024-2025年)で、全国的に見て低い水準です。人気エリアは五稜郭、湯川、昭和で利便性が高いですが、価格も高めです。
寒冷地特有の費用として、基礎工事(凍結深度対策)、断熱工事、暖房設備で建築費用が本州より1-2割高くなると言われています。また、除雪費用や暖房費(年間数十万円)が継続的にかかることも考慮が必要です。
国土交通省の不動産情報ライブラリや不動産ポータルサイトで情報収集し、現地確認、寒冷地での建築実績がある業者への相談を行うことで、失敗のない土地購入ができます。
専門家(宅建士、建築士、ファイナンシャルプランナー)に相談しながら、自分の希望条件と予算に合った土地を見つけましょう。函館市の人口は減少傾向にあるため、将来的な土地の資産価値も考慮することをおすすめします。
