戸建てリノベーション費用の相場と内訳|1000万円でできる範囲と後悔しない進め方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

戸建てリノベーション費用が注目される理由

中古戸建てを購入してリノベーションする選択肢が、住宅取得の新しい形として注目されています。「新築よりも費用を抑えて理想の住まいを手に入れたい」「立地を優先しながら自由に間取りを変更したい」と考える方が増えています。

この記事では、戸建てリノベーション費用の相場と内訳、予算1,000万円でできる範囲、中古戸建てリノベーションで後悔しないための注意点を、国土交通省の公式データや業界の最新情報を元に解説します。

リノベーション費用の全体像を把握し、ご自身の予算と優先順位に合った計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 戸建てリノベーション費用は700万~2,000万円が一般的で、最多価格帯は1,001~1,500万円
  • 予算1,000万円では築30年程度の物件の内装フルリノベーションが可能(外装は含まない)
  • 購入前の住宅診断、建築年と耐震基準の確認、建築構造の把握が後悔を防ぐ鍵
  • マンションと比較して外装・屋根工事が必要だが、間取り変更の自由度は高い
  • 補助金制度を活用することで費用を抑えられる場合がある

戸建てリノベーション費用が注目される理由(中古活用のメリット)

(1) 新築と比較した費用メリット

中古戸建てをリノベーションする最大のメリットは、新築と比較して総費用を抑えられる可能性がある点です。新築戸建ての建築費用は地域や仕様により大きく異なりますが、中古物件の購入費用とリノベーション費用を合わせても、新築より割安になるケースは少なくありません。

国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、リフォーム市場規模は継続的に拡大しており、中古住宅の活用が一般化しています。

(2) 自由な間取り変更と設計の可能性

戸建てリノベーションでは、構造体(柱・梁・基礎)を残して内装・設備を全て作り直す「スケルトンリノベーション」が可能です。建築構造が在来工法やラーメン構造の場合、壁を撤去して大幅な間取り変更ができるため、家族構成やライフスタイルに合わせた自由な設計が実現します。

新築分譲住宅では選択肢が限られますが、中古戸建てリノベーションなら既存の間取りにとらわれず、理想の住空間を作り上げられます。

(3) 立地優先で物件を選べる

新築物件は郊外や開発エリアに集中しがちですが、中古物件は都市部や利便性の高い立地にも豊富にあります。通勤・通学の便、周辺環境、生活利便性を優先して物件を選び、リノベーションで住まいの質を高めるアプローチが可能です。

特に築30年以上の物件は立地が良い割に価格が抑えられているケースが多く、リノベーション予算を確保しやすい点も魅力です。

戸建てリノベーション費用の相場と内訳(2024-2025年版)

(1) 全体費用の相場(700万~2,000万円)

2024年時点の戸建てリノベーション費用は、700万~2,000万円が一般的です。全面改修(スケルトンリノベーション)では350万~2,000万円の幅があり、物件の築年数・構造・工事範囲により大きく異なります。

Panasonic「戸建のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」の調査によると、最も一般的な価格帯は「1,001~1,500万円」で、全体の約73%が「~1,500万円」に収まっています。

(2) 工事内容別の費用目安(水回り・内装・外装・耐震)

戸建てリノベーション費用は、工事内容によって大きく変動します。以下は工事内容別の費用目安です。

工事内容 費用目安 内容
水回り一式(トイレ・キッチン・浴室・洗面) 200~300万円 設備交換・配管工事を含む
内装フルリノベーション(壁・床・天井) 500~1,000万円 スケルトンリフォーム含む
外壁塗装 80~150万円 足場設置・塗料グレードにより変動
屋根工事(葺き替え・塗装) 100~200万円 屋根材の種類により異なる
耐震補強 100~300万円 基礎・壁の補強工事
断熱工事 150~300万円 天井・壁・床の断熱材追加

(出典: Panasonic「戸建のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」

水回り一式のリフォームは200~300万円が相場のボリュームゾーンですが、設備のグレードや配管工事の範囲により変動します。

(3) 築年数別の費用目安(築20年未満・築20年以上・築40年以上)

築年数により建物の劣化状況が異なるため、リノベーション費用も変動します。

築年数 費用目安 主な工事内容
築20年未満 平均7.5~21万円/㎡ 内装・設備の更新が中心
築20年以上 平均14~41万円/㎡ 内装・設備に加え、外装・断熱・耐震工事が必要な場合が多い
築40年以上 1,500万円以上 構造部分の劣化、耐震性への不安、屋根の雨漏りリスクなどに対応

(出典: Panasonic「戸建のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」

築40~50年以上の物件は、壁・骨組み部分の腐食、屋根の劣化による雨漏りリスク、耐震性への不安があり、工事費用が高額になる傾向があります。

(4) 価格帯別の割合(~1,500万円が約73%)

Panasonic「戸建のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」によると、戸建てリノベーション費用の価格帯別の割合は以下の通りです。

  • ~500万円: 約10%
  • 501~1,000万円: 約30%
  • 1,001~1,500万円: 約33%(最多)
  • 1,501~2,000万円: 約15%
  • 2,001万円以上: 約12%

全体の約73%が1,500万円以下に収まっており、多くの方が内装を中心としたリノベーションを選択していることがわかります。

予算1,000万円でできる範囲と工事内容

(1) フルリノベーション(スケルトンリフォーム)の可能性

予算1,000万円では、築30年程度の物件であれば内装のみのフルリノベーション(スケルトンリフォーム)が可能です。スケルトンリノベーションとは、構造体(柱・梁・基礎)のみを残し、内装・設備を全て撤去して作り直すリノベーション手法です。

ミサワリフォーム関東「1,000万円で一戸建てをフルリフォーム!実例を多数ご紹介」によると、内装のみのフルリノベーションは可能性が高いとされています。

(2) 内装のみの場合と外装まで含む場合の違い

予算1,000万円で「どこまで工事できるか」は、外装を含むかどうかで大きく変わります。

内装のみ(予算1,000万円):

  • 間取り変更
  • 水回り一式(キッチン・浴室・トイレ・洗面)
  • 壁・床・天井の張り替え
  • 電気配線・照明器具の更新

外装まで含む(予算1,500万円以上):

  • 上記の内装工事に加えて
  • 外壁塗装(80~150万円)
  • 屋根工事(100~200万円)
  • 雨樋・軒天の修繕

外壁塗装や屋根工事まで含める場合は1,500万円以上が必要となるため、優先順位を明確にすることが重要です。

(3) 水回り一式リフォームのケース(200~300万円)

フルリノベーションではなく、水回り設備のみを更新する場合、200~300万円が目安です。以下は水回り一式の費用内訳例です。

設備 費用目安
キッチン 80~150万円
浴室 70~120万円
トイレ 20~40万円
洗面台 20~40万円
配管工事 10~30万円
合計 200~380万円

(出典: Panasonic「戸建のリフォーム(リノベーション)費用の相場・目安」

設備のグレードや配管工事の範囲により変動しますが、水回り一式で200万円台に抑えることも可能です。

(4) 築30年物件での実例

築30年程度の物件であれば、内装のみのフルリノベーションは予算1,000万円で実現できる可能性が高いです。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 隠れた劣化: 壁を開けてみないと配管や構造の劣化は判断できない
  • 追加費用: 予想外の劣化が発覚した場合は追加費用が発生する
  • 耐震補強: 1981年以前の建物は耐震基準を満たさない可能性があり、耐震補強が必要な場合がある

購入前に住宅診断士や建築士による物件診断を実施し、隠れた劣化を発見することが重要です。

中古戸建てリノベーションで後悔しないための注意点

(1) 購入前の住宅診断(ホームインスペクション)の重要性

中古戸建てを購入する前に、住宅診断士による物件診断(ホームインスペクション)を実施することが強く推奨されます。基礎や構造部分の劣化は内装がきれいでも判断できないため、専門家による調査が不可欠です。

ミサワリフォーム関東「中古の戸建てリノベーションで後悔する原因とは? 失敗しないリノベのコツ」では、専門家による物件診断の重要性が強調されています。

住宅診断では、以下の項目をチェックします。

  • 基礎のひび割れ・沈下
  • 柱・梁の腐食・劣化
  • 屋根の雨漏り・劣化
  • 外壁のクラック・剥離
  • 配管・配線の状態

住宅診断の費用は5~10万円程度ですが、数百万円の追加費用リスクを回避できる可能性があります。

(2) 建築年と耐震基準の確認(1981年以前・2000年以降)

建築年により適用される耐震基準が異なるため、必ず確認が必要です。

建築年 耐震基準 リノベーション時の注意点
1981年以前 旧耐震基準 耐震性能が不十分な可能性が高く、耐震補強が必要(費用100~300万円)
1981年~2000年 新耐震基準 一定の耐震性は確保されているが、2000年基準より低い
2000年以降 現行耐震基準 最新の耐震基準を満たしており、構造工事が少なくて済む

(出典: ゼロリノベジャーナル「戸建リノベーションのデメリットとは?失敗しないための注意点と対策」

1981年以前の建築物は耐震基準を満たさない可能性が高いため、耐震診断と補強工事が必要になるケースが多いです。

(3) 建築構造による間取り変更の制約(在来工法・2×4工法)

建築構造により間取り変更の自由度が大きく異なります。

建築構造 間取り変更の自由度 特徴
在来工法 高い 柱と梁で建物を支える構造。壁を撤去して大幅な間取り変更が可能
ラーメン構造 高い 鉄骨や鉄筋コンクリートの柱・梁で支える構造。自由度が高い
2×4工法 低い 壁で建物を支える工法。壁を撤去できないため間取り変更に制限がある
プレハブ工法 低い 工場で製造したパネルを組み立てる工法。構造変更は困難

(出典: ミサワリフォーム関東「中古の戸建てリノベーションで後悔する原因とは? 失敗しないリノベのコツ」

在来工法やラーメン構造の物件を選ぶと、間取り変更の自由度が高くなります。

(4) 断熱性能の低さと暑さ・寒さ対策

古い中古戸建ては最近の物件に比べて断熱性能が低く、暑さ・寒さの問題が後悔の原因となりやすいです。特に築30年以上の物件は、断熱材が不十分または劣化しているケースが多いです。

断熱性能を高めるには、天井・壁・床に断熱材を追加する工事が必要で、費用は150~300万円が目安です。断熱性能を高めることで、冷暖房費の削減にもつながります。

(5) 予算超過のリスク(諸費用・隠れた劣化)

中古戸建て購入時には、物件購入費以外に以下の諸費用が発生します。

項目 費用目安
不動産取得税 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)
仲介手数料 物件価格の3%+6万円+消費税
固定資産税・都市計画税 日割り精算
登記費用 5~10万円
火災保険 10年一括で20~30万円

物件購入費以外にこれらの諸費用が発生し、リノベーション予算が不足するケースが多いため、資金計画は余裕を持って立てることが重要です。

また、リノベーション工事中に隠れた劣化(配管の腐食、シロアリ被害、構造部分の腐食等)が発覚し、追加費用が必要になる場合もあります。予算の10~20%程度を予備費として確保しておくことが推奨されます。

マンションリノベーションとの違い(費用・工期・制約)

(1) 費用の違い(外装・屋根工事の有無)

戸建てリノベーションとマンションリノベーションの最も大きな違いは、外装・屋根工事の有無です。

戸建てリノベーション:

  • 外装・屋根工事が必要(200~350万円)
  • 総費用は700万~2,000万円

マンションリノベーション:

  • 外装・屋根工事は管理組合が実施(個別費用なし)
  • 内装・設備のみで500万~1,500万円

外装・屋根工事が不要なマンションは、内装のみで完結するため費用を抑えやすい傾向があります。

(2) 工期の違い(戸建ては2~4か月が一般的)

スケルトンリノベーションの工期は、戸建てとマンションで異なります。

種類 工期目安
戸建てスケルトンリノベーション 2~4か月
マンションスケルトンリノベーション 2~3か月

戸建ては外装・屋根工事が加わるため、マンションより工期が長くなる傾向があります。また、天候により工期が延びる可能性もあります。

(3) 構造制約の違い(戸建ては自由度高い)

間取り変更の自由度は、戸建ての方が高い傾向があります。

戸建て:

  • 在来工法の場合、壁を自由に撤去して大幅な間取り変更が可能
  • 増築・減築も選択肢に入る

マンション:

  • 構造壁(柱・壁)は撤去できない
  • 管理規約により工事内容が制限される場合がある
  • 床材・水回り位置の変更に制約がある

構造制約が少ない戸建ては、より自由度の高いリノベーションが可能です。

(4) 補助金・税制優遇の違い

戸建てとマンションで利用できる補助金・税制優遇に大きな違いはありませんが、以下の点に注意が必要です。

共通で利用可能な制度:

  • 住宅ローン減税(リフォーム工事も対象)
  • 耐震改修工事の税額控除
  • 省エネ改修工事の税額控除
  • 自治体のリフォーム補助金

2024年現在、住宅リフォームに関する各種補助金制度が利用可能で、補助金の上限額も充実しています。詳細は自治体や国土交通省の公式サイトで最新情報を確認することを推奨します。

まとめ:戸建てリノベーション成功のポイント

戸建てリノベーション費用は700万~2,000万円が一般的で、最多価格帯は1,001~1,500万円です。予算1,000万円では築30年程度の物件の内装フルリノベーションが可能ですが、外装まで含める場合は1,500万円以上が必要になります。

中古戸建てリノベーションで後悔しないためには、購入前の住宅診断、建築年と耐震基準の確認、建築構造の把握が不可欠です。また、諸費用や隠れた劣化による予算超過リスクを考慮し、予算の10~20%を予備費として確保しておくことが推奨されます。

補助金制度を活用したり、信頼できる建築士やリノベーション会社に相談したりすることで、理想の住まいを実現しやすくなります。複数の業者から見積もりを取り、工事内容・費用・工期を比較しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1戸建てのフルリノベーション費用はいくらですか?

A1700万~2,000万円が一般的で、最多価格帯は1,001~1,500万円です。全体の約73%が1,500万円以下に収まっています。築年数や工事範囲により大きく異なり、築30年程度の物件であれば内装のみのフルリノベーションは1,000万円で可能ですが、外装・屋根工事まで含める場合は1,500万円以上が必要です。

Q2予算1,000万円でフルリノベーションはできますか?

A2築30年程度の物件であれば内装のみのフルリノベーション(スケルトンリフォーム)は可能です。間取り変更、水回り一式(キッチン・浴室・トイレ・洗面)、壁・床・天井の張り替え、電気配線の更新などが含まれます。ただし、外壁塗装や屋根工事まで含める場合は1,500万円以上が必要となるため、優先順位を明確にすることが重要です。

Q3戸建てリノベーションに補助金はありますか?

A32024年現在、住宅リフォームに関する各種補助金制度が利用可能です。住宅ローン減税、耐震改修工事の税額控除、省エネ改修工事の税額控除、自治体のリフォーム補助金などがあります。補助金の上限額も充実していますが、制度は改正される可能性があるため、自治体や国土交通省の公式サイトで最新情報を確認することを推奨します。

Q4中古戸建てリノベーションで後悔しないためには?

A4購入前に住宅診断士や建築士による物件診断(ホームインスペクション)を実施し、隠れた劣化を発見することが重要です。建築年(耐震基準)と建築構造(在来工法か2×4工法か)の確認も必須で、1981年以前の建物は耐震補強が必要な場合があります。また、予算の10~20%を予備費として確保し、諸費用や追加費用に備えることが推奨されます。

Q5工期はどれくらいかかりますか?

A5スケルトンリフォームの場合は2~4か月が一般的です。マンションリノベーション(2~3か月)と比較して、戸建ては外装・屋根工事が加わるため工期が長くなる傾向があります。工事内容や物件の状態、天候により異なるため、業者との事前確認が必要です。隠れた劣化が発覚した場合は、さらに工期が延びる可能性もあります。

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Room Match編集部

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