デザイナーズマンションとは?特徴と選び方のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

デザイナーズマンションとは?定義と特徴

「デザイナーズマンション」という言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれません。おしゃれで個性的な空間に憧れる一方で、「本当に住みやすいのか」「家賃は高いのか」と疑問を感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、デザイナーズマンションの定義、メリット・デメリット、家賃相場、選び方のポイントを、不動産業界の情報を元に解説します。賃貸・購入のどちらを検討している方にも役立つ内容です。

この記事のポイント

  • デザイナーズマンションは法的定義がなく、建築家による創意工夫が詰まった設計が特徴
  • メリットは高いデザイン性・開放感・遮音性、デメリットは家賃の高さ・温度問題・実用性
  • 家賃は周辺相場の1.3~1.5倍が目安で、東京中心部では月額9~14万円台が中心
  • 内覧時に断熱性能・動線・家具配置を確認し、原状回復費用を事前に把握することが重要

デザイナーズマンションの定義(法的定義なし)

デザイナーズマンションには、法律的な根拠や明確な定義はありません。一般的には、建築家やデザイナーによってコンセプトを持って設計・建築されたマンションを指します。

通常のマンションが実用性や効率性を重視するのに対し、デザイナーズマンションは独自性やデザイン性を前面に出しています。

建築家による創意工夫が詰まった設計

デザイナーズマンションの大きな特徴は、建築家の創意工夫が詰まったデザインです。例えば、以下のような要素が取り入れられています。

  • コンクリート打ち放し: コンクリートの躯体をそのまま仕上げとして見せる工法
  • 高い天井: 開放感を生み出す2.5m以上の天井高
  • 吹き抜け: 1階と2階がつながった空間
  • スキップフロア: 床の高さを半階ずつずらした間取り
  • 曲線を用いた壁や窓: 直線的でない独特な形状

これらのデザイン要素により、他の物件にはない個性的な空間が実現されます。

一般的なマンションとの違い

デザイナーズマンションと一般的なマンションの主な違いは以下の通りです。

項目 デザイナーズマンション 一般的なマンション
設計思想 デザイン性・独自性重視 実用性・効率性重視
天井高 2.5m以上が多い 2.3m前後
内装 コンクリート打ち放し等 クロス仕上げが中心
家賃 周辺相場の1.3~1.5倍 周辺相場通り
間取り 独特な形状が多い 標準的な形状

代表的なデザイン要素

デザイナーズマンションでよく見られるデザイン要素を詳しく見ていきましょう。

コンクリート打ち放し コンクリートの躯体をそのまま見せることで、無機質でスタイリッシュな空間を演出します。ただし、断熱性能が低く、夏は暑く冬は寒いというデメリットもあります。

天井の高さ 一般的なマンションの天井高が2.3m前後なのに対し、デザイナーズマンションは2.5m以上の天井高を持つ物件が多く、開放感があります。

吹き抜け・スキップフロア 縦の空間を活かした設計により、視覚的な広がりを生み出します。ただし、冷暖房効率が悪くなる場合があるため注意が必要です。

デザイナーズマンションのメリット

デザイナーズマンションには、一般的なマンションにはない魅力があります。

高いデザイン性と個性的な空間

最大のメリットは、高いデザイン性と個性的な空間です。建築家のこだわりが詰まった唯一無二の住空間で暮らすことができます。

友人を招いた際に「おしゃれな部屋だね」と言われることも多く、差別化されたライフスタイルを実現できます。

開放感のある室内(天井が高い等)

天井が高い物件が多いため、実際の面積以上に広く感じられます。吹き抜けやスキップフロアを採用している物件では、縦の空間を活かした開放感が得られます。

遮音性の高さ(コンクリート構造)

コンクリート打ち放しの物件は、一般的な軽量鉄骨造のマンションと比べて遮音性が高い傾向があります。外部の騒音や隣室の生活音が気になりにくいというメリットがあります。

入居者の質が高い傾向

家賃が周辺相場より高めに設定されているため、経済的に余裕のある入居者が多い傾向があります。マナーやモラルの面で安心できる環境が期待できます。

差別化されたライフスタイルの実現

デザイナーズマンションに住むこと自体が、ステータスやライフスタイルの一部として認識されます。デザインにこだわりを持つ人にとって、満足度の高い住環境を実現できます。

デザイナーズマンションのデメリットと注意点

一方で、デザイナーズマンションには注意すべきデメリットもあります。

家賃が周辺相場の1.3〜1.5倍と高め

家賃は周辺相場の1.3〜1.5倍程度が目安で、10-50%高い傾向があります。予算に余裕がない場合、家計を圧迫する可能性があるため、慎重に検討しましょう。

コンクリート打ち放しの温度問題(夏暑く冬寒い)

コンクリート打ち放しの物件は、断熱性能が低く、夏は暑く冬は寒いという問題があります。冷暖房費が高くつく可能性があるため、内覧時に断熱性能や冷暖房設備を確認することが重要です。

動線が考えられておらず実用性に欠ける場合がある

デザイン性を重視するあまり、動線が考えられておらず、実際に住むと不便に感じるケースがあります。例えば、キッチンからダイニングまでの距離が遠い、収納が極端に少ない等の問題が発生することがあります。

家具選びの制約(カーテン・家具のオーダーメイド必要)

独特な窓の形状や壁の配置により、市販のカーテンや家具が合わない場合があります。オーダーメイドが必要になると、追加費用が発生します。

退去時の原状回復費用が高額になりやすい

特殊な素材や設備が使われている場合、退去時の原状回復費用が高額になる可能性があります。契約時に原状回復の範囲や費用の目安を確認しておきましょう。

ベランダがなく洗濯物を干せない物件が多い

デザイン性を重視するため、ベランダやバルコニーがない物件が多く、洗濯物を外に干すことが禁止されている場合があります。室内干しや乾燥機の使用が前提となります。

壁に画鋲が刺せない(コンクリート打ち放し)

コンクリート打ち放しの壁は、画鋲やフックを刺すことができません。時計やポスターを掛けるには、専用の器具が必要になります。

デザイナーズマンションの家賃・購入価格の相場

賃貸の家賃相場(周辺相場+10-50%)

家賃は周辺の一般的なマンションと比べて10-50%高く設定されています。具体的には、周辺相場の1.3〜1.5倍が目安です。

ただし、物件のデザイン性や立地により大きく異なるため、実際の物件を確認することが重要です。

東京中心の賃貸物件例(月額9〜14万円台)

2024年時点で、東京を中心にデザイナーズマンションの供給が継続しており、月額家賃9~14万円台の物件が中心です。若年層や女性を中心に人気があり、差別化された賃貸物件として需要が安定しています。

購入価格の相場とエリア別の違い

購入価格は、エリアや物件の規模により大きく異なります。東京都心部では、1LDK(50㎡前後)で5,000万円以上の物件も珍しくありません。

郊外やエリアを選べば、3,000万円前後で購入できる物件もあります。ただし、投資対象としては後述するリスクがあるため、慎重に検討しましょう。

投資対象としてのリスク(価格割高、データ不足)

投資対象としては、標準的なマンションの方が推奨されます。デザイナーズマンションは以下のリスクがあります。

  • 価格が割高: デザイン性に対して価格が高く、利回りが低い
  • 運用データが不足: 標準マンションと比べて運用実績が少なく、将来の資産価値が不透明
  • デザインの時代遅れリスク: 流行が変わるとデザインが古く感じられ、価値が下がる可能性

初心者には、標準的なマンションの方が安定した運用が期待できます。

デザイナーズマンションの選び方とチェックポイント

内覧時の確認事項(断熱性能、冷暖房設備、動線)

デザイナーズマンションは物件により品質が大きく異なるため、内覧時に以下の点を確認しましょう。

  • 断熱性能: コンクリート打ち放しの場合、夏暑く冬寒いため、断熱材が入っているか確認
  • 冷暖房設備: エアコンの台数や性能、電気代の目安
  • 動線: キッチン、バスルーム、収納の配置が実用的か
  • 採光: 窓の位置や大きさ、自然光の入り方

家具配置のシミュレーション

内覧時に、手持ちの家具が配置できるか確認しましょう。独特な間取りの場合、市販の家具が合わない可能性があります。

必要に応じて、オーダーメイド家具の費用を見込んでおきましょう。

原状回復費用の事前確認

賃貸の場合、契約時に原状回復の範囲や費用の目安を確認しておくことが重要です。特殊な素材や設備が使われている場合、退去時の費用が高額になる可能性があります。

収納スペースの十分性

デザイン性を重視した物件は、収納スペースが少ない傾向があります。自分の持ち物が収まるか、追加で収納家具が必要かを確認しましょう。

賃貸vs購入の判断基準

デザイナーズマンションは、賃貸と購入でメリット・デメリットが異なります。

賃貸が向いている人

  • デザイナーズマンションの雰囲気を試したい
  • ライフスタイルの変化に柔軟に対応したい
  • 初期費用を抑えたい

購入が向いている人

  • 長期的に同じ物件に住む予定
  • 自分好みにカスタマイズしたい
  • 資産として保有したい(ただし投資効率は低め)

不動産エージェントへの相談

デザイナーズマンションは物件により品質が大きく異なるため、信頼できる不動産エージェントに相談することをおすすめします。内覧のポイントや契約条件の確認など、専門家のアドバイスを受けることで失敗を避けられます。

まとめ:デザイナーズマンションが向いている人

デザイナーズマンションは、建築家による創意工夫が詰まった個性的な住空間を実現できます。高いデザイン性、開放感、遮音性が魅力ですが、家賃の高さ、温度問題、実用性の低さなどのデメリットもあります。

内覧時に断熱性能や動線を確認し、原状回復費用を事前に把握することで、後悔のない選択ができます。

デザイナーズマンションは、おしゃれな空間で暮らしたい、個性を大切にしたいという方に向いています。一方で、実用性やコストパフォーマンスを重視する方には、一般的なマンションの方が適している可能性があります。

信頼できる不動産エージェントに相談しながら、自分のライフスタイルや予算に合った物件を選びましょう。

よくある質問

Q1デザイナーズマンションの定義は何ですか?

A1法律的な根拠や明確な定義はありませんが、一般的には建築家やデザイナーによってコンセプトを持って設計・建築されたマンションを指します。天井が高く開放感があり、コンクリート打ち放しや曲線を用いたデザインが特徴です。通常のマンションが実用性や効率性を重視するのに対し、デザイナーズマンションは独自性やデザイン性を前面に出しています。

Q2普通のマンションと比べて家賃はどれくらい高いですか?

A2周辺相場の1.3〜1.5倍程度が目安で、10-50%高い傾向があります。2024年時点で東京中心部の物件では月額9〜14万円台が中心です。家賃は物件のデザイン性や立地により大きく異なるため、予算に余裕がある場合に検討すべきです。実際の物件を確認することをおすすめします。

Q3デザイナーズマンションは本当に住みにくいのですか?

A3物件によります。コンクリート打ち放しの物件は夏暑く冬寒い、動線が考えられておらず実用性に欠ける、家具配置が難しい等の問題がある場合があります。一方で、高いデザイン性や開放感に満足している入居者も多数います。内覧時に断熱性能、冷暖房設備、動線、収納スペースを確認することが重要です。

Q4デザイナーズマンションは投資対象として有利ですか?

A4投資対象としては標準マンションの方が推奨されます。デザイナーズマンションは価格が割高で運用データが不足しており、デザインが時代遅れになるリスクもあります。初心者には標準的なマンションの方が安定した運用が期待できます。投資目的の場合は、慎重に検討し、専門家(不動産投資アドバイザー等)への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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