大東建設不動産と大東建託の違い|混同しやすい2社を整理
「大東建設不動産」と検索すると、「大東建託」の情報が多く表示されます。名前が似ているため混同されがちですが、この2社は全く別の企業です。
この記事では、大東建設不動産と大東建託の違いを整理したうえで、大東建託の不動産事業(土地活用・賃貸経営サポート)の特徴、サービス内容、メリット・デメリット、契約時の注意点を詳しく解説します。賃貸経営を検討している土地所有者が、冷静に判断できる情報を提供します。
この記事のポイント
- 大東建設不動産は1957年設立の港区の不動産会社、大東建託は土地活用大手で管理戸数126万戸超
- 大東建託の35年一括借上げシステムは、空室リスクを回避し安定した家賃収入を得られる
- 高入居率97.2%を維持する仲介力により、効率的な賃貸経営が可能
- 家賃保証額は定期的に見直され、築年数経過により減額されるリスクがある
- 契約前に収支計画を精査し、複数社の提案を比較検討することが重要
(1) 大東建設不動産(1957年設立、港区の不動産会社)
大東建設不動産株式会社は、1957年に設立された不動産会社です。東京都港区南青山に本社を置き、賃貸仲介・管理業務を手掛けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 1957年 |
| 本社 | 東京都港区南青山 |
| 主な事業 | 賃貸仲介、不動産管理 |
| 規模 | 地域密着型の中堅企業 |
(参考: 大東建設不動産株式会社)
(2) 大東建託(土地活用大手、管理戸数126万戸超)
大東建託株式会社は、土地活用・賃貸住宅経営の大手企業です。管理戸数126万戸超で業界トップシェアを誇り、全国賃貸住宅仲介件数11年連続1位を維持しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 1974年 |
| 本社 | 東京都港区港南 |
| 主な事業 | 土地活用、アパート・マンション建築、賃貸経営サポート |
| 管理戸数 | 126万戸超(2024年時点) |
| 入居率 | 97.2%(業界トップクラス) |
| 仲介件数 | 全国1位(11年連続) |
(参考: 全国賃貸住宅新聞)
混同に注意: 「大東建設不動産」と「大東建託」は全く別の企業です。本記事では、土地活用大手の「大東建託」について解説します。
大東建託の不動産事業|土地活用と賃貸経営サポートの全体像
(1) 土地活用サービス(アパート・マンション建築)
大東建託は、土地所有者向けにアパート・マンション建築を提案し、賃貸経営をサポートします。
サービスの流れ:
- 無料市場調査: 周辺の賃貸需要・相場を調査
- 建築プラン提案: 土地の特性に合わせた設計プラン
- 建築請負: 自社グループで施工
- 賃貸経営サポート: 一括借上げ(サブリース)または管理委託
大東建託によると、無料の市場調査レポートで周辺情報を把握し、土地の適性を事前に確認できます。
(2) 賃貸経営受託システム(サブリース、管理委託)
大東建託は、建築後の賃貸経営を以下の方法でサポートします。
1. サブリース(一括借上げ):
- 大東建託が全室を借り上げ、オーナーに一定の家賃収入を保証
- 空室リスクをゼロにできる
- 家賃保証額は定期的に見直される
2. 管理委託:
- 入居者募集・契約・家賃回収・クレーム対応を大東建託に委託
- オーナーが家賃収入を直接受け取る
- 空室リスクはオーナー負担
(3) 業界での位置づけ(管理戸数・仲介件数で業界トップ)
全国賃貸住宅新聞によると、大東建託は以下の指標で業界トップを維持しています。
| 指標 | 実績 | 業界順位 |
|---|---|---|
| 管理戸数 | 126万戸超 | 1位 |
| 仲介件数 | 11年連続1位 | 1位 |
| 入居率 | 97.2% | トップクラス |
2025年3月期決算では純利益938億円を達成し、5年ぶりの最高益を更新しました。
(参考: 日本経済新聞)
大東建託のサービス特徴|35年一括借上げと高入居率97.2%
(1) 35年一括借上げシステム(サブリース契約)
仕組み:
- 大東建託が建物を35年間一括で借り上げ
- オーナーに毎月一定の家賃収入を支払う
- 空室・滞納リスクは大東建託が負担
メリット:
- 安定した家賃収入(空室でも収入あり)
- 管理の手間がゼロ(入居者対応不要)
- 修繕費も大東建託が負担(一部条件あり)
注意点:
- 家賃保証額は定期的に見直される
- 築年数経過により減額される可能性が高い
- 契約内容の変更リスクあり
大東建託の公式サイトでも、家賃保証額の見直しについて言及されています。
(2) 高入居率97.2%を支える仲介力
大東建託は、自社グループの仲介ネットワーク(いい部屋ネット)により、高い入居率を維持しています。
仲介力の強み:
- 全国550店舗以上の直営店
- 入居希望者を自社で直接仲介
- 空室発生時の迅速な対応
- 仲介手数料を自社で回収(オーナー負担なし)
入居率97.2%は業界トップクラスで、安定した賃貸経営を実現する大きな強みです。
(3) ワンストップサービス(施工・管理・仲介)
大東建託グループは、以下の業務を一括で提供します。
| 業務 | 担当部門 |
|---|---|
| 建築設計・施工 | 大東建託(建築部門) |
| 賃貸管理 | 大東建託パートナーズ |
| 入居者仲介 | 大東建託リーシング(いい部屋ネット) |
| 法人向け社宅代行 | ハウスコム |
ワンストップで対応することで、オーナーの手間を大幅に削減できます。
(4) 無料市場調査レポート
大東建託は、土地活用を検討するオーナー向けに無料で市場調査レポートを提供しています。
調査内容:
- 周辺の賃貸需要(単身・ファミリー層の割合)
- 相場家賃(間取り別)
- 競合物件の空室率
- 土地の適性評価
このレポートにより、土地活用の可否を事前に判断できます。
大東建託のメリット・デメリット|安定収入と家賃減額リスク
(1) メリット(安定収入、空室リスク回避、管理の手間削減)
メリット一覧:
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 安定した家賃収入 | 空室・滞納に関わらず毎月一定額を受け取れる |
| 空室リスクゼロ | サブリース契約で空室リスクを回避 |
| 管理の手間なし | 入居者募集・契約・クレーム対応を全て委託 |
| 高い入居率 | 97.2%の入居率で安定経営 |
| ワンストップ対応 | 建築から管理まで一括で任せられる |
| 修繕費の負担軽減 | 一部修繕費を大東建託が負担 |
(2) デメリット(家賃減額リスク、契約見直し、防音性への不満)
デメリット一覧:
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 家賃減額リスク | 築年数経過により家賃保証額が減額される |
| 契約内容の見直し | 定期的に契約条件が変更されるリスク |
| 防音性への不満 | 木造・軽量鉄骨造が多く、入居者から防音性への不満 |
| 高額な建築費 | 初期投資負担が大きい |
| 自主管理より収益減 | サブリース手数料分、収益が減る |
| 契約の縛り | 長期契約のため、自由度が低い |
エン カイシャの評判では、総合評価3.4点で、防音性やサポート対応に関する不満の声も報告されています。
(3) 実際の評判・口コミ(総合評価3.4点)
良い評判:
- 「高入居率で安定した収入が得られた」
- 「管理を任せられるので手間がかからない」
- 「無料の市場調査が詳しく、参考になった」
悪い評判:
- 「築10年で家賃を大幅に引き下げられた」
- 「防音性が低く、入居者からクレームが多い」
- 「契約内容の変更を一方的に通告された」
(参考: エン カイシャの評判)
契約時の注意点|家賃見直し・防音性・収支計画の確認ポイント
(1) 家賃保証額の定期見直しリスク(築年数経過で減額)
サブリース契約の最大のリスクは、家賃保証額の見直しによる減額です。
実例:
- 築10年を過ぎると、空室増加を理由に家賃引き下げを宣告されるケースが多い
- 保証額が当初の80%に減額された事例も報告されている
対策:
- 契約前に「家賃見直しの条件」を明確に確認
- 見直し時期・減額幅の上限を契約書に明記
- 弁護士や税理士に契約内容を確認してもらう
(2) 建物の構造・防音性の確認(木造・軽量鉄骨の注意点)
大東建託の物件は、コスト削減のため木造・軽量鉄骨造が多く、防音性に関する入居者の不満が報告されています。
確認ポイント:
- 建物の構造(木造・鉄骨・RC造)
- 防音仕様(遮音等級)
- 実際の入居者の声(口コミサイト等)
対策:
- 防音性の高いRC造を選択(建築費は高くなるが、長期的には入居率が安定)
- 防音対策を強化したプランを依頼
(3) 収支計画の精査(初期費用、ローン返済、維持費)
賃貸経営は高額な初期投資を伴うため、収支計画の精査が不可欠です。
確認すべき項目:
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 建築費、設計費、ローン諸費用 |
| ローン返済 | 月々の返済額、金利、返済期間 |
| 維持費 | 修繕費、管理費、固定資産税、保険 |
| 収益見込み | 家賃収入、空室率、サブリース手数料 |
| 実質利回り | 維持費・税金を差し引いた利回り |
対策:
- 税理士やファイナンシャルプランナーに収支計画を確認してもらう
- 家賃減額リスクを織り込んだシミュレーションを作成
- 自己資金比率を高め、ローン返済負担を抑える
(4) 複数社の提案比較(一括見積もりサービス活用)
大東建託の提案だけで判断せず、必ず複数社の提案を比較してください。
比較すべきポイント:
- 建築費(坪単価)
- 家賃保証額(サブリース契約の条件)
- 入居率・仲介力
- 管理費・手数料
- 契約の柔軟性(見直し条件、解約条件)
一括見積もりサービスの活用: HOME4U等のオンライン一括相談サービスを活用すると、複数社の提案を効率的に比較できます。
まとめ|大東建託を選ぶべきかの判断基準
大東建託は、管理戸数126万戸超・入居率97.2%で業界トップの実績を誇ります。35年一括借上げシステムにより、空室リスクを回避し安定した家賃収入を得られる点が大きなメリットです。
一方で、家賃保証額は定期的に見直され、築年数経過により減額されるリスクがあります。契約前に家賃見直し条件を明確に確認し、収支計画を精査することが重要です。
大東建託だけでなく、複数社の提案を比較検討し、税理士やファイナンシャルプランナーに収益性を客観的に評価してもらうことで、後悔しない賃貸経営を実現できます。
信頼できる専門家に相談しながら、冷静な判断で土地活用を進めましょう。
