アパートと賃貸マンションの違いとは？
初めての一人暮らしや引越しを検討する際、「アパートとマンションは何が違うのか」「どちらを選べばいいのか」と迷う方は少なくありません。
この記事では、アパートと賃貸マンションの構造の違い、設備・セキュリティの違い、家賃相場の違い、メリット・デメリットを、不動産業界の基準や最新の市場データを元に解説します。
初めて賃貸物件を探す方でも、自分のライフスタイルに合った物件を選べるようになります。
この記事のポイント
- アパートとマンションには法律上の明確な定義はなく、不動産会社ごとに社内規定で区分している
- 一般的に、木造・軽量鉄骨造で2～3階建てをアパート、鉄筋コンクリート造で3階建て以上をマンションと呼ぶ
- 2024年、マンションとアパートの家賃差が3割以上に拡大し、アパートを選び直す動きが増加
- マンションは防音性・セキュリティに優れるが家賃が高く、アパートは家賃が安いが防音性が劣る
- 物件選びの際は、構造・階数だけでなく、実際の設備・防音性・セキュリティを現地で確認することが重要
アパートと賃貸マンションの基本的な違い
(1) 法律上の明確な定義はない
実は、建築基準法や宅地建物取引業法には、アパートとマンションの明確な定義はありません。
不動産会社や大家さんの自己判断によって「アパート」「マンション」という名称が使われているため、物件名が「アパート」でも鉄筋コンクリート造だったり、「マンション」でも木造だったりする場合があります。
(2) 一般的な区分基準(不動産業界の慣例)
不動産業界では、以下のような慣例で区分されることが一般的です。
| 項目 | アパート | マンション |
|---|---|---|
| 構造 | 木造・軽量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造・鉄骨造 |
| 階数 | 2～3階建て | 3階建て以上 |
| 規模 | 小規模(総戸数少ない) | 大規模(総戸数多い) |
ただし、これらはあくまで慣例であり、絶対的な基準ではありません。
構造と階数による違い
(1) アパート：木造・軽量鉄骨造で2～3階建て
アパートは主に以下の構造で建てられます。
- 木造: 木材を骨組みに使った構造。建築コストが安い
- 軽量鉄骨造: 軽量鉄骨を骨組みに使った構造。木造より耐久性がある
階数は2～3階建てが一般的で、エレベーターがない物件が多いです。
(2) マンション：鉄筋コンクリート造・鉄骨造で3階建て以上
マンションは主に以下の構造で建てられます。
- 鉄筋コンクリート造(RC造): 鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造。耐震性・耐火性・防音性に優れる
- 鉄骨造: 鉄骨を骨組みに使った構造。RC造より軽量で建築コストが抑えられる
階数は3階建て以上が一般的で、エレベーターが設置されていることが多いです。
(3) 構造の違いが防音性・耐震性に与える影響
構造の違いは、住環境に大きな影響を与えます。
| 項目 | 木造・軽量鉄骨造(アパート) | 鉄筋コンクリート造(マンション) |
|---|---|---|
| 防音性 | 低い(隣室の音が聞こえやすい) | 高い(壁や床が厚く音を遮断) |
| 耐震性 | やや劣る | 優れる |
| 耐火性 | やや劣る | 優れる |
| 断熱性 | やや劣る | 優れる |
ただし、防音性は構造だけでなく壁の厚さや施工品質にも依存するため、物件ごとに確認が必要です。
設備・セキュリティの違い
(1) セキュリティ設備(オートロック、防犯カメラ等)
マンションには以下のセキュリティ設備が充実していることが多いです。
- オートロック: エントランスに設置された自動施錠システム
- 防犯カメラ: 共用部分に設置され、不審者の侵入を抑止
- 管理人常駐: 日中に管理人が常駐し、トラブル対応
アパートはセキュリティ設備が簡素な傾向がありますが、築浅物件では充実しているケースもあります。
(2) 共用設備(エレベーター、宅配ボックス等)
マンションに多い共用設備は以下の通りです。
- エレベーター: 3階建て以上の物件に設置
- 宅配ボックス: 不在時でも荷物を受け取れる
- ゴミ置き場: 24時間いつでもゴミを出せる
アパートは共用設備が少なく、階段のみでエレベーターがないことが一般的です。
(3) 防音性の違い
鉄筋コンクリート造のマンションは、壁や床が厚く防音性が高い傾向があります。
一方、木造・軽量鉄骨造のアパートは、隣室や上階の音が聞こえやすい傾向があります。
ただし、防音性は施工品質にも依存するため、内見時に壁を叩いて確認するなど、現地で確認することが重要です。
家賃と初期費用の違い
(1) 家賃相場の違い(2024年データ)
2024年のデータでは、マンションとアパートの家賃差が3割以上に拡大しています（日本経済新聞の報道）。
一般的な家賃の目安は以下の通りです。
- アパート: 同じ立地・間取りでマンションより2-3割安い
- マンション: アパートより2-3割高いが、設備・セキュリティが充実
マンション価格の上昇により、広さや築年数を重視してアパートを選び直す動きが増加しています。
(2) 管理費・共益費の違い
マンションは共用設備が充実しているため、管理費・共益費が高額になる傾向があります。
- アパート: 3,000～5,000円程度
- マンション: 5,000～15,000円程度
家賃だけでなく、管理費・共益費も含めた総額で比較することが重要です。
(3) 2024年の市場動向：家賃差が3割以上に拡大
2024年11月、全国主要都市の賃貸マンション・アパートの募集家賃が上昇傾向にあり、多くのエリアで2015年1月以降の最高値を記録しています。
東京23区のファミリー向け物件(50-70㎡)の平均家賃は前年比4.6～7.3%上昇しました。
- カップル向け: 15万3,100円(前年比+7.3%)
- ファミリー向け: 22万6,597円(前年比+4.6%)
インフレーションと住宅供給減少が価格上昇の主な要因とされています。
アパートとマンションのメリット・デメリット比較
(1) アパートのメリット・デメリット
メリット:
- 家賃・管理費が安い
- 風通しが良い
- 2-3階建てのため、階段移動が楽
デメリット:
- 防音性が低い(隣室の音が聞こえやすい)
- セキュリティが劣る(オートロックがない物件が多い)
- エレベーターがない(3階以上は階段移動が必要)
(2) マンションのメリット・デメリット
メリット:
- 耐震性・耐火性に優れる
- 防音性が高い(壁や床が厚い)
- セキュリティが充実(オートロック、防犯カメラ等)
- 共用設備が充実(エレベーター、宅配ボックス等)
デメリット:
- 家賃・管理費が高い
- 同じ家賃でアパートより狭い
- 夏は熱がこもりやすい
(3) ライフスタイル別の適性
| ライフスタイル | おすすめ |
|---|---|
| 家賃を抑えたい | アパート |
| 防音性を重視したい | マンション |
| セキュリティを重視したい(女性の一人暮らし等) | マンション |
| 広さを重視したい | アパート(同じ家賃で広い) |
| 共用設備を重視したい | マンション |
まとめ：自分に合った物件の選び方
アパートとマンションには法律上の明確な定義はなく、一般的に構造(木造/鉄筋コンクリート造)と階数(2-3階/3階以上)で区分されます。
2024年、マンションとアパートの家賃差が3割以上に拡大し、広さや築年数を重視してアパートを選び直す動きが増加しています。
家賃を重視するならアパート、防音性・セキュリティを重視するならマンションを選ぶのが一般的ですが、物件ごとに設備や施工品質が異なるため、必ず現地で確認することを推奨します。
信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、自分のライフスタイルに合った物件を選びましょう。