マンションのベランダガーデニングガイド:始め方・注意点・おすすめ植物

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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マンションのベランダガーデニングとは:共用部分としての基礎知識

マンションでの暮らしに緑を取り入れたいと考える方は少なくありません。ベランダでのガーデニングは、限られたスペースでも植物を育てる楽しみを味わえる方法です。

この記事では、マンションのベランダガーデニングの始め方、管理規約で確認すべき事項、初心者向けの植物選び、トラブル防止のポイントを解説します。

この記事のポイント

  • ベランダは共用部分だが専用使用権があるため、管理規約の範囲内でガーデニングが可能
  • 避難経路(隔て板・避難はしご周辺)への物品設置は消防法で禁止されている
  • 初心者は多肉植物やミニトマトなど水やり頻度が少ない植物から始めるのがおすすめ
  • 排水溝の定期清掃と鉢底ネットの使用で、室内浸水や下階漏水を防止できる
  • 近隣への配慮(落ち葉、水滴、害虫、香り等)がトラブル防止の鍵

(1) ベランダは共用部分だが専用使用権がある

マンションのベランダは「共用部分」に分類されますが、その住戸の居住者に「専用使用権」が与えられています。これにより、管理規約の範囲内でガーデニングを楽しむことができます。

共用部分と専用使用権

用語 意味
共用部分 区分所有者全員が共同で所有する部分(ベランダ、廊下、階段等)
専用使用権 共用部分を特定の区分所有者が独占的に使用できる権利

ベランダは緊急時に避難経路として使用されるため、「自由に使える」わけではありません。管理規約に従った使用が求められます。

(2) ベランダガーデニングのメリット:癒し・省エネ・プライバシー確保

ベランダガーデニングには以下のようなメリットがあります。

主なメリット

  • 癒しの空間:植物を眺めることでリラックス効果が得られる
  • 省エネ効果:つる性植物(ゴーヤ等)でグリーンカーテンを作り、直射日光を遮ることで室温上昇を抑える
  • プライバシー確保:大きめの植物を配置することで、外からの視線を遮る
  • 食材の自給:ハーブや野菜(ミニトマト、レタス等)を育てて料理に使える

2024年時点では、マンションのベランダを活用したガーデニングを楽しむ居住者が増加傾向にあります。

管理規約で確認すべき事項:禁止行為と注意点

マンションのベランダでガーデニングを始める前に、必ず管理規約を確認してください。禁止行為に該当すると、管理組合から指導を受けたり、近隣トラブルに発展したりする可能性があります。

(1) 避難経路の確保:隔て板・避難はしご周辺への物品設置禁止(消防法)

最も重要なルールは、避難経路の確保です。ベランダには隔て板(へだていた)や避難はしごが設置されており、これらの周囲に物を置くことは消防法で禁止されています。

避難経路に関する禁止事項

設備 役割 禁止事項
隔て板 隣の住戸との境界の薄い仕切り板。緊急時に破って避難する 周囲に物を置く(プランター、椅子等)
避難はしご 下階へ避難するためのはしご。ベランダの床下に格納されている 周囲に物を置く、ふたの上に物を置く

違反した場合のリスク

  • 火災等の緊急時に避難が遅れ、マンション全体の安全性が損なわれる
  • 管理組合から撤去指導を受ける
  • 人身事故が発生した場合、責任を問われる可能性

(2) 手すりを超える高さの植物設置禁止:落下事故のリスク

手すりを超える高さの大型観葉植物や、手すりの外側に鉢を置くことは、多くのマンションで禁止されています。

理由

  • 落下事故のリスク:風で鉢が落下し、通行人に当たると重大な人身事故につながる
  • 美観の問題:マンション全体の統一感を損なう

安全な配置

  • 手すりより低い位置に植物を配置
  • 鉢はベランダの内側に置き、手すりから十分に離す

(3) 大量の土砂搬入や原状回復困難な改造の禁止

標準的なサイズの鉢やプランターは認められますが、大量の土砂を搬入したり、ベランダに固定式の花壇を作ったりすることは禁止されている場合が多いです。

禁止される可能性がある行為

  • ベランダの床に直接土を敷き詰める
  • 固定式の花壇やレンガの設置
  • 排水溝を塞ぐような大型設備の設置

(4) 管理規約の確認方法:管理組合への問い合わせ

管理規約は物件ごとに異なります。ガーデニングを始める前に、以下の方法で確認しましょう。

確認方法

  1. 管理規約を読む:入居時に受け取った管理規約を確認
  2. 管理組合に問い合わせ:不明点があれば管理組合に直接質問
  3. 管理会社に相談:管理会社が規約の解釈をサポート

ベランダガーデニングの始め方:初心者向けの植物選びと必要アイテム

管理規約を確認したら、実際にガーデニングを始めましょう。初心者は以下のポイントを押さえると成功しやすくなります。

(1) 初心者は1つの鉢から始める:多肉植物・ミニトマトなど水やり頻度が少ない植物

初心者は、1つの鉢から始めるのがおすすめです。多肉植物やミニトマトは水やり頻度が少なく、管理が簡単です。

初心者向けの植物

植物名 特徴 水やり頻度
多肉植物 乾燥に強い、葉や茎に水分を蓄える 週1回程度
ミニトマト 成長が早い、収穫の楽しみがある 土が乾いたら(夏は毎日)
バジル 料理に使える、香りが良い 土が乾いたら
ローズマリー 乾燥に強い、料理・アロマに使える 週1-2回程度

(2) 育てやすい植物:ハーブ(バジル・ローズマリー)、花、野菜

ハーブは料理に使えて育てやすいため、ベランダガーデニングで人気です。

ハーブの魅力

  • バジル:イタリア料理に使える、夏に旺盛に育つ
  • ローズマリー:乾燥に強い、肉料理の香り付けに最適
  • ミント:繁殖力が強い、ハーブティーに使える(他の植物と一緒に植えると侵食するため、単独で育てる)

花・野菜

  • パンジー・ビオラ:秋冬に咲く、色鮮やか
  • レタス:成長が早い、プランターで手軽に栽培
  • きゅうり:つる性、グリーンカーテンとしても活用可能

(3) 必要なアイテム:プランター・土・肥料・鉢底ネット・じょうろ

ベランダガーデニングに必要なアイテムは以下の通りです。

必須アイテム

アイテム 用途 選び方
プランター 植物を植える容器 深さ20cm以上、排水穴付き
植物を育てる基盤 野菜用・花用など植物に合わせた土を選ぶ
肥料 植物の成長を助ける 初心者は緩効性肥料がおすすめ
鉢底ネット 土が排水溝に流れ出るのを防ぐ プランターの底に敷く
じょうろ 水やり用 ハス口(水が細かく出る)付きが使いやすい

育て方のコツ:水やり・日当たり・方角別の植物選び

ベランダの環境(日当たり、風通し、雨水の当たり方等)を把握することで、適した植物を選べます。

(1) 南向きベランダ:日当たり良好だが夏は遮光が必要

南向きベランダは日当たりが良く、多くの植物が育ちやすい環境です。

南向きベランダの特徴

  • メリット:日照時間が長い、冬でも暖かい
  • デメリット:夏は高温になりすぎる(遮光ネットや寒冷紗で対策)

おすすめの植物

  • トマト、バジル、ローズマリー、パンジー、マリーゴールド

(2) 北向きベランダ:日陰に強い植物を選ぶ

北向きベランダは日当たりが少ないため、日陰に強い植物を選びましょう。

北向きベランダの特徴

  • メリット:夏でも涼しい
  • デメリット:日照時間が短い

おすすめの植物

  • シダ類、ベゴニア、インパチェンス、ミント、レタス

(3) 水やりのコツ:手すり付近で行わず、下階への水滴に注意

水やりは、植物の成長に欠かせませんが、近隣への配慮が必要です。

水やりのポイント

  • 手すり付近で行わない:風で水滴が飛び、下階の洗濯物や通行人にかかる
  • 排水溝の近くで行う:水がベランダにたまらないよう、排水溝に流す
  • 朝か夕方に行う:日中は水分が蒸発しやすく、葉焼けの原因になる

(4) つる性植物の活用:ゴーヤでグリーンカーテン、大きめ植物でプライバシースクリーン

つる性植物は、ベランダガーデニングで多用途に活用できます。

つる性植物の活用例

植物 活用方法 効果
ゴーヤ グリーンカーテン 直射日光を遮り、室温上昇を抑える
アサガオ 観賞用 朝の涼しい時間に花を楽しめる
きゅうり グリーンカーテン兼食材 収穫の楽しみと日よけの両立

大きめの植物

  • 鉢植えのオリーブ、月桂樹等をプライバシースクリーンとして配置
  • 外からの視線を遮りながら、ベランダに緑を取り入れる

トラブル防止のポイント:排水溝管理と近隣への配慮

ベランダガーデニングでは、トラブル防止のための配慮が重要です。

(1) 排水溝の定期清掃:詰まりによる室内浸水・下階漏水の防止

排水溝が詰まると、大雨時に水があふれて室内浸水や下階への漏水の原因になります。

排水溝管理のポイント

  • 月1回以上の清掃:落ち葉、土、ゴミを取り除く
  • 大雨の前後に確認:台風シーズンは特に注意
  • 鉢底ネットの使用:プランターの底に敷き、土の流出を防ぐ

(2) 鉢底ネットの使用:土の流出防止

鉢底ネットは、プランターの底に敷く網状のネットです。排水溝に土が流れ込むのを防ぎます。

鉢底ネットの効果

  • 土が排水溝に流れ込まない
  • 排水穴から虫が侵入するのを防ぐ

(3) 近隣への配慮:落ち葉・花粉・水滴・害虫・強い香りに注意

近隣への配慮は、トラブル防止の基本です。

配慮すべき点

項目 リスク 対策
落ち葉 隣のベランダ・下階に落ちる 定期的に掃除、落ちやすい植物は避ける
花粉 アレルギーのある方に影響 花粉の多い植物は控える
水滴 下階の洗濯物や通行人にかかる 手すり付近で水やりしない
害虫 アブラムシ等が隣戸に広がる 定期的に確認・駆除
強い香り 苦手な方に不快感を与える ハーブ等は量を控えめに

まとめ:安全に楽しむベランダガーデニング

マンションのベランダは共用部分ですが、専用使用権があるため、管理規約の範囲内でガーデニングを楽しむことができます。

避難経路(隔て板・避難はしご周辺)への物品設置は消防法で禁止されています。安全面のルールを守り、排水溝の定期清掃や近隣への配慮を行うことで、トラブルを防げます。

初心者は多肉植物やミニトマトなど、水やり頻度が少ない植物から始めましょう。ベランダの方角に合わせた植物選びと適切な水やりで、快適なベランダガーデニングを実現できます。

管理規約を確認し、近隣への配慮を忘れずに、緑のある暮らしを楽しんでください。

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よくある質問

Q1マンションのベランダでガーデニングをしても良いか?

A1ベランダは共用部分ですが専用使用権があるため、管理規約の範囲内でガーデニングが可能です。ただし避難経路の確保(隔て板・避難はしご周辺に物を置かない)、手すりを超える高さの植物設置禁止など、安全面の規則を守ることが必須です。ガーデニングを始める前に、必ず管理組合に確認してください。

Q2隣の部屋や下の階への配慮はどうすれば良いか?

A2落ち葉は定期的に掃除し、落ちやすい植物は避けましょう。水やりは手すり付近で行わず、排水溝の近くで行うことで下階への水滴を防げます。排水溝を定期的に清掃し、プランターに鉢底ネットを使用することで土の流出を防止できます。害虫が発生した場合は早期に駆除し、強い香りの植物は量を控えめにしましょう。

Q3避難経路とガーデニングの関係は?

A3隔て板(隣の住戸との境界の薄い仕切り板)や避難はしごの周りに物を置くことは、消防法で禁止されています。これらは緊急時に避難経路として使用されるため、プランターや椅子などを置いてはいけません。違反すると、火災等の緊急時に避難が遅れ、マンション全体の安全性が損なわれます。管理組合から撤去指導を受ける可能性もあります。

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Room Match編集部

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