住宅ローン本審査とは?審査の流れと落ちる理由、通過のポイント
住宅ローンの本審査を控えて、「本審査で落ちることはあるのか」「事前審査と何が違うのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローンの本審査の仕組み、事前審査との違い、審査で見られるポイント、本審査で落ちる理由と対策を、金融庁や各金融機関の公式情報を元に解説します。
本審査の流れと注意点を理解し、スムーズに通過できるようになります。
この記事のポイント
- 本審査は、事前審査の内容を金融機関が正式に確認し、融資の可否を最終判断する審査
- 事前審査通過後でも、収入減少、他の借入増加、信用情報の変化、物件の担保価値不足で本審査に落ちる場合がある
- 本審査では、収入証明書、物件の登記簿謄本、重要事項説明書、団体信用生命保険の告知書等の正式書類を提出
- 審査期間は通常1-2週間、長い場合は3-4週間かかる場合がある
- 本審査通過後も、融資実行までの間に収入状況や借入状況を変化させないことが重要
住宅ローン本審査とは?事前審査との違い
住宅ローンの審査は、通常「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2段階で行われます。
事前審査と本審査の目的の違い
事前審査:
- 目的: 融資可能額の目安を確認
- タイミング: 物件の購入申込前
- 提出書類: 源泉徴収票、運転免許証等の簡易的な書類
- 審査期間: 通常2-3日、早い場合は当日
- 審査機関: 主に金融機関が実施
本審査:
- 目的: 融資の可否を最終判断
- タイミング: 売買契約締結後
- 提出書類: 収入証明書、物件の登記簿謄本、重要事項説明書、団体信用生命保険の告知書等の正式書類
- 審査期間: 通常1-2週間、長い場合は3-4週間
- 審査機関: 金融機関と保証会社が連携して実施
事前審査は「融資できそうか」の簡易的な確認で、本審査は「融資する」という正式な決定です。事前審査に通過しても、本審査で落ちる可能性があるため、注意が必要です。
本審査で確認される内容
本審査では、事前審査の内容を正式な書類で再確認します。主な確認項目は以下の通りです。
- 収入の正確性: 源泉徴収票や確定申告書で収入を正式に確認
- 勤務先の安定性: 勤続年数、雇用形態、会社の規模等
- 信用情報: CIC等の信用情報機関に照会し、過去の延滞・債務整理の履歴を確認
- 他の借入: マイカーローン、クレジットカードのリボ払い、奨学金等の借入状況
- 物件の担保価値: 登記簿謄本、重要事項説明書で物件の価値を確認
- 健康状態: 団体信用生命保険(団信)への加入可否を確認
これらの確認により、事前審査では見落とされていた問題が発覚し、本審査で落ちる場合があります。
住宅ローン本審査の流れ
本審査の流れを順を追って説明します。
ステップ1:売買契約締結後に本審査を申し込む
事前審査に通過し、物件の売買契約を締結した後、本審査を申し込みます。売買契約書には「住宅ローン特約(融資特約)」が付いているのが一般的です。
住宅ローン特約とは、本審査に通らなかった場合、売買契約を白紙撤回できる特約です。この特約により、本審査に落ちても手付金が返還されます。
ステップ2:正式書類を提出
本審査では、以下のような正式書類を提出します。
収入関係:
- 源泉徴収票(直近1-2年分)
- 確定申告書(自営業者・個人事業主)
- 課税証明書(市区町村で取得)
本人確認:
- 運転免許証、パスポート等
- 住民票、印鑑証明書
物件関係:
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記簿謄本(法務局で取得)
- 建築確認済証(新築の場合)
- 物件のパンフレット・間取り図
その他:
- 団体信用生命保険の告知書
- 返済用口座の通帳
書類に不備があると審査が遅れるため、事前に金融機関に確認しましょう。
ステップ3:金融機関と保証会社が審査
金融機関は提出書類をもとに、収入・信用情報・物件の担保価値を確認します。同時に、保証会社(住宅ローン保証会社)も独自に審査を行います。
保証会社の審査は、金融機関の審査よりも厳しい場合があります。保証会社が承認しないと、金融機関も融資できません。
ステップ4:団体信用生命保険の審査
団信への加入が必須の場合、生命保険会社が健康状態を審査します。告知書に記載した病歴・治療歴をもとに、加入可否が判断されます。
健康上の理由で団信に加入できない場合、一部の金融機関では審査に通らない可能性があります。ただし、フラット35等の一部商品は団信加入が任意のため、健康状態に不安がある場合は選択肢の一つとして検討できます。
ステップ5:審査結果の通知
審査期間は通常1-2週間です。長い場合は3-4週間かかることもあります。
審査に通過した場合、「融資承認」の通知が届きます。その後、金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結し、融資実行となります。
審査に落ちた場合、理由は通常明かされませんが、金融機関に相談することで対策のヒントが得られる場合があります。
本審査で落ちる5つの理由と対策
事前審査に通過しても、以下の理由で本審査に落ちる場合があります。
理由1:収入が減少した
事前審査後から本審査までの間に、転職・減給・退職等で収入が減少した場合、審査に落ちる可能性があります。
対策:
- 事前審査から本審査までの間は、転職・退職を避ける
- やむを得ず転職する場合は、事前に金融機関に相談する
理由2:他の借入が増えた
事前審査後に、マイカーローン、クレジットカードのリボ払い、カードローン等の借入を新たに行った場合、返済負担率が上昇し、審査に落ちる可能性があります。
対策:
- 本審査が完了するまで、新たな借入は絶対に行わない
- クレジットカードの分割払い・リボ払いも避ける
理由3:信用情報に問題が発生した
事前審査後に、クレジットカードや携帯電話料金の支払いを延滞した場合、信用情報に傷がつき、審査に落ちる可能性があります。
対策:
- すべての支払いを期日通りに行う
- 口座残高を確認し、引き落とし不能を防ぐ
理由4:物件の担保価値が不足
本審査では、物件の登記簿謄本や重要事項説明書をもとに、担保価値を正式に評価します。以下の場合、担保価値が不足と判断され、審査に落ちる可能性があります。
- 再建築不可: 建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たさない
- 違法建築: 建築確認を受けていない、または違法に増築されている
- 土壌汚染・災害リスク: 土壌汚染や浸水リスクが高いと評価された
対策:
- 物件の購入前に、不動産会社に再建築可能か、違法建築でないかを確認する
- ハザードマップで災害リスクを確認する
理由5:健康状態により団信に加入できない
団信加入が必須の場合、健康上の理由で加入できないと、審査に落ちます。以下の疾患がある場合、加入が難しい場合があります。
- がん、心筋梗塞、脳卒中等の重大疾病
- 高血圧、糖尿病等の生活習慣病(治療中の場合)
- うつ病等の精神疾患(通院・服薬中の場合)
対策:
- 団信加入が任意のフラット35を検討する
- ワイド団信(引受基準緩和型団信)を提供する金融機関を検討する
- 配偶者や親族を連帯債務者とし、その人が団信に加入する
本審査通過後の注意点
本審査に通過しても、融資実行までの間に以下の点に注意しましょう。
融資実行までの間に収入状況を変化させない
本審査通過後でも、融資実行前に転職・退職すると、融資が取り消される可能性があります。融資実行までは、収入状況を変化させないようにしましょう。
新たな借入を行わない
本審査通過後でも、融資実行前に新たな借入を行うと、融資が取り消される可能性があります。クレジットカードの分割払い・リボ払いも避けましょう。
金銭消費貸借契約を締結する
本審査通過後、金融機関と「金銭消費貸借契約(ローン契約)」を締結します。契約内容(借入金額、金利、返済期間、返済方法等)を十分に確認しましょう。
契約書にサインすると、内容の変更は原則としてできません。不明点があれば、契約前に金融機関に質問しましょう。
まとめ:本審査は事前審査より厳しい、慎重な行動を
住宅ローンの本審査は、事前審査の内容を正式書類で再確認し、融資の可否を最終判断する審査です。事前審査に通過しても、収入減少、他の借入増加、信用情報の変化、物件の担保価値不足、健康状態により団信に加入できない場合、本審査に落ちる可能性があります。
本審査では、収入証明書、物件の登記簿謄本、重要事項説明書、団信の告知書等の正式書類を提出します。審査期間は通常1-2週間です。
本審査通過後も、融資実行までの間は、転職・退職・新たな借入を避け、すべての支払いを期日通りに行いましょう。金銭消費貸借契約の内容を十分に確認し、不明点があれば契約前に質問することが重要です。
不安がある場合は、金融機関や不動産会社、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
