親が亡くなって相続手続きを始めようとしたとき、最初に立ちはだかるのが「戸籍の収集」です。
「どこから取り寄せればいいの?」「何通必要?」「どれくらい時間がかかる?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、相続に必要な戸籍の集め方を、初めての方でも迷わず進められるよう、ステップごとに解説します。
結論:戸籍収集の全体の流れと最短ルート
相続に必要な戸籍収集は、以下の流れで進めます。
戸籍収集の基本的な流れ:
- 被相続人の死亡記載がある戸籍謄本を取得
- そこから出生まで遡って連続した戸籍を取得
- 相続人全員の現在の戸籍謄本を取得
被相続人の本籍地のある市区町村役場で、まず死亡の記載がある戸籍謄本を請求します。その戸籍から前の本籍地を確認し、順番に遡って出生までの戸籍を集めていきます。
最短ルートの条件:
- 本籍地の移転がない場合:1つの役所で全ての戸籍を取得できるため、窓口なら即日、郵送でも1〜2週間で完了します。
- 本籍地の移転がある場合:複数の役所に順次請求する必要があり、1〜2ヶ月かかることもあります。
- 広域交付制度を利用する場合:複数の本籍地があっても、1つの窓口で一括請求できるため、即日取得が可能です。
広域交付制度は2024年3月から始まった新しい制度で、本籍地以外の市区町村役場でも戸籍を請求できるようになりました。これにより、複数の本籍地を持つ場合でも手間を大幅に削減できます。
まず最初にやること3つ
戸籍収集を始める前に、以下の3つを確認しましょう。
1. 被相続人の本籍地を確認
戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場でしか取得できません。被相続人の最後の本籍地を確認しましょう。
本籍地がわからない場合は、住民票の除票を取得すれば、そこに本籍地が記載されています。
2. 必要書類を準備
戸籍請求には以下の書類が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等。写真なしの場合は2点)
- 印鑑(認印可)
- 手数料(戸籍謄本450円、除籍・改製原戸籍750円)
郵送請求の場合は、戸籍交付申請書、返信用封筒・切手、定額小為替も必要です。
3. 窓口・郵送・広域交付のどれで請求するか決める
請求方法には3つの選択肢があります。
- 窓口請求:即日取得可能。本籍地が近い場合におすすめ。
- 郵送請求:遠方でも取得可能。往復で1〜2週間かかる。
- 広域交付:複数の本籍地でも窓口で一括取得。最寄りの役所で請求できる。
かかる時間の目安
戸籍収集にかかる時間は、本籍地の移転回数や請求方法によって変わります。
本籍地移転なし:
- 窓口請求:即日
- 郵送請求:1〜2週間
- 広域交付:即日
複数移転あり:
- 順次請求:1〜2ヶ月(本籍地の数だけ繰り返す必要がある)
- 広域交付:即日(複数の本籍地でも一括請求可能)
本籍地が同じ市区町村内であれば、1回の請求で出生から死亡までの戸籍をすべて取得できるため、それほど時間はかかりません。
一方、結婚や転居で本籍地を何度も移転している場合、各本籍地の役所に順番に請求する必要があります。郵送請求なら1つの役所で往復1〜2週間かかるため、3つの役所を経由すれば1〜2ヶ月かかる計算です。
広域交付制度を利用すれば、複数の本籍地があっても最寄りの役所で一括請求できるため、大幅に時間を短縮できます。
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ステップ別の手順
ここからは、戸籍収集の具体的な手順を4つのステップに分けて解説します。
Step1 事前準備(チェックリスト)
戸籍請求の前に、以下の書類を準備しましょう。
本人確認書類:
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証(写真なしの場合は年金手帳等と合わせて2点)
写真付きの本人確認書類がない場合、2点の提示が必要です。健康保険証だけでは不足するため注意しましょう。
印鑑:
認印で構いません。シャチハタは不可とする役所が多いため、朱肉を使う印鑑を用意しましょう。
手数料:
- 戸籍謄本:1通450円
- 除籍謄本・改製原戸籍:1通750円
現金または定額小為替(郵送請求の場合)で支払います。
郵送請求の場合の追加書類:
- 戸籍交付申請書(市区町村のホームページからダウンロード)
- 返信用封筒(自分の住所を記入し、切手を貼付)
- 定額小為替(郵便局で購入、1枚200円の手数料がかかる)
Step2 死亡記載戸籍の取得
最初に取得すべきは、被相続人の死亡記載がある戸籍謄本です。
取得場所:
被相続人の最後の本籍地のある市区町村役場で請求します。
窓口請求の場合:
- 役所の戸籍窓口へ行く
- 申請書に記入(本籍地、筆頭者氏名、請求理由等)
- 本人確認書類・印鑑・手数料を提出
- 戸籍謄本を受け取る
郵送請求の場合:
- 市区町村のホームページから戸籍交付申請書をダウンロード
- 必要事項を記入(本籍地、筆頭者氏名、請求理由、必要通数等)
- 本人確認書類のコピー、返信用封筒、定額小為替を同封
- 本籍地の市区町村役場へ郵送
- 1〜2週間で戸籍謄本が返送される
次のステップの準備:
取得した戸籍謄本から、前の本籍地を確認します。戸籍には「従前本籍」として前の本籍地が記載されています。
Step3 出生まで遡る戸籍収集
死亡記載の戸籍から、出生まで遡って連続した戸籍を取得します。
遡る流れ:
- 死亡記載の戸籍に記載された「従前本籍」を確認
- その本籍地の役場に除籍謄本または改製原戸籍を請求
- 取得した戸籍からさらに前の本籍地を確認
- 出生の記載がある戸籍まで繰り返す
除籍謄本と改製原戸籍:
- 除籍謄本:全員が除籍(死亡・転籍)して誰も残っていない戸籍
- 改製原戸籍:戸籍法改正で新しい様式に作り直される前の戸籍
どちらも1通750円で取得できます。
何通必要か:
本籍地の移転回数によって必要な通数が変わります。一般的には3〜5通ですが、転籍が多い場合は10通以上になることもあります。
Step4 相続人全員の現在戸籍取得
被相続人の戸籍が揃ったら、相続人全員の現在の戸籍謄本も取得します。
誰の戸籍が必要か:
- 配偶者
- 子供全員
- 子供がいない場合は親または兄弟姉妹
死亡記載の戸籍と兼ねる場合:
相続人が被相続人と同じ戸籍に入っていた場合、死亡記載の戸籍で兼ねることができ、別途取得は不要です。
例えば、配偶者が被相続人と同じ戸籍に入っている場合、死亡記載の戸籍謄本に配偶者の情報も記載されているため、改めて配偶者の戸籍を取得する必要はありません。
兄弟相続の場合の注意:
被相続人に子供がおらず、親も既に亡くなっている場合、兄弟姉妹が相続人になります。この場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍に加えて、親の出生から死亡までの戸籍も必要です。
よくある詰まりポイントと回避策
戸籍収集でつまずきやすいポイントと、その回避策を解説します。
入力・書類・連絡で起きがちなミス
本人確認書類が写真なしで1点のみ
健康保険証だけ持参して窓口へ行き、「もう1点必要です」と言われて取得できないケースがあります。
写真なしの本人確認書類を使う場合は、必ず2点用意しましょう(健康保険証+年金手帳、健康保険証+パスポート等)。
申請書の記入漏れ
戸籍交付申請書で記入漏れが多い項目:
- 本籍地(住所ではなく本籍地を記入)
- 筆頭者氏名(世帯主とは異なる場合がある)
- 請求理由(「相続手続きのため」等)
本籍地と住所は異なる場合が多いため、注意しましょう。
郵送時の返信用封筒・切手不足
郵送請求時、返信用封筒に貼る切手が不足していると、不足分の切手を追加送付するよう連絡が来て、さらに時間がかかります。
戸籍謄本は1通あたり数ページあるため、84円切手では不足する場合があります。多めに貼るか、役所に事前に確認しましょう。
トラブル時の代替手段
本籍地が遠方の場合
- 郵送請求:窓口に行けない場合は郵送請求を利用しましょう。往復で1〜2週間かかります。
- 広域交付制度:最寄りの市区町村役場で請求できます。ただし、郵送請求は不可で窓口のみです。
書類不備があった場合
役所から「記入漏れがあります」「本人確認書類が不足しています」と連絡が来たら、指示に従って追加書類を送りましょう。
不明な点があれば、役所に電話で確認してから再提出する方が確実です。
時間がない場合
相続登記義務化により、相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
期限が迫っている場合や、平日に役所へ行く時間がない場合は、司法書士や相続手続き代行サービス(相続ナビなど)に依頼することをおすすめします。
事前に確認しておきたいこと
戸籍収集で誤解されがちな点を解消します。
期待しがちな点(実際はこうなりがち)
「1回で全部取れる」
→ 実際は、本籍地の移転があると複数の役所に請求が必要です。
本籍地が同じ市区町村内であれば1回で済みますが、結婚や転居で本籍地を移転している場合、各本籍地の役所に順番に請求する必要があります。
「すぐ取れる」
→ 郵送請求は往復で1〜2週間、複数の役所を経由すると1〜2ヶ月かかります。
窓口請求なら即日取得できますが、本籍地が遠方の場合は郵送請求になるため、時間がかかります。
「戸籍さえあれば完了」
→ 実際は、戸籍以外にも印鑑証明書・住民票除票・固定資産評価証明書などが必要です。
相続手続きでは、戸籍謄本だけでなく、以下の書類も必要になります。
- 印鑑証明書(相続人全員分)
- 住民票除票(被相続人の最後の住所を証明)
- 固定資産評価証明書(不動産がある場合)
ここはケースで変わる
本籍地移転回数で通数・期間が変わる
本籍地を何度も移転している場合、必要な戸籍の通数が増え、取得にかかる期間も長くなります。
相続人の人数で必要戸籍が増える
相続人が多い場合、相続人全員の戸籍謄本を取得する必要があるため、通数が増えます。
兄弟相続は追加戸籍が必要
被相続人に子供がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。この場合、被相続人だけでなく親の戸籍も必要になるため、取得すべき戸籍が大幅に増えます。
向いている人/向いていない人
自分で戸籍収集するか、代行を依頼するか迷っている方へ、判断基準を紹介します。
自分で収集が向いている人:
- 時間がある(平日に役所へ行ける)
- 本籍地が近い(窓口で取得できる)
- 費用を最小限に抑えたい
- 家族構成がシンプル(本籍地移転が少ない)
代行が向いている人:
- 平日に役所へ行けない(仕事が忙しい)
- 遠方在住(実家に何度も帰省できない)
- 期限が迫っている(相続登記義務化の3年以内)
- 確実に完了させたい(不備で遅れるリスクを避けたい)
- 家族構成が複雑(兄弟相続、本籍地移転が多い)
まとめ:今日できる最短の一歩
相続に必要な戸籍の集め方を解説しました。今日からできる最短の一歩をまとめます。
今日やること:
- 被相続人の本籍地を確認:住民票の除票を取得すれば本籍地がわかります。
- 必要書類を準備:本人確認書類、印鑑、手数料を用意しましょう。
- 窓口・郵送・広域交付のどれで請求するか決める:本籍地が近いなら窓口、遠方なら郵送または広域交付を検討しましょう。
- 時間がない場合は代行サービスを検討:期限が迫っている、平日に役所へ行けない場合は、専門家に依頼することをおすすめします。
相続登記義務化により、相続を知った日から3年以内に登記しないと過料が科される可能性があります。早めに着手して、確実に手続きを完了させましょう。
「戸籍収集から相続登記まで一式お任せしたい」 「期限内に確実に完了させたい」
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