相続と聞くと、多くの方が「自分には関係ない」「まだ先のこと」と考えがちです。しかし、いざ相続が発生すると、予想以上に複雑な手続きや家族間のトラブルに直面することが少なくありません。
実際に、相続経験者の45.3%が不安を感じていたというデータがあります。「どんな手続きがあるのかわからない」と答えた方は245人、「家族・親族と揉めないか」と懸念する方は170人にのぼります。
この記事では、相続に関する不安の正体を明らかにし、具体的な回避策を提示します。不安を抱えたまま先延ばしにするのではなく、今日からできることを一緒に確認していきましょう。
結論:相続の不安の正体はこの3つ、回避はこうする
相続に関する不安は、大きく分けて次の3つに集約されます。
不安1:手続きが難しそう
「どんな手続きがあるのかわからない」という不安が最も多く、245人が懸念しています。相続手続きには、戸籍収集、遺産分割協議書の作成、名義変更など、多岐にわたる作業が必要です。初めての方にとっては、何から始めればいいのか見当もつかないでしょう。
回避策:やることリスト・専門家サポートで解消
手続きの流れを理解するために、まず「やることリスト」を作成しましょう。大まかな手順としては、以下のとおりです。
- 死亡届の提出(7日以内)
- 遺言書の有無を確認
- 相続人の確定(戸籍収集)
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議
- 相続登記(3年以内)
これらの手続きを一人で行うのが不安な場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相談することで、確実に進められます。初回相談は無料または低額で行っている事務所も多く、見積りを確認してから依頼できます。
不安2:親族間で揉めそう
170人が「家族・親族と揉めないか」という不安を抱えています。遺産分割をめぐるトラブルは、金額の大小に関わらず発生します。特に、遺言書がなく法定相続となったケースや、不公平な遺産分配が原因となることが多いです。
回避策:遺言書作成・早めの話し合いで回避
トラブルを避けるためには、親が生前に遺言書を作成しておくことが最も効果的です。遺言書があれば、法定相続人の間で協議する必要がなく、被相続人の意思が明確に示されます。
また、親が健在で判断能力がしっかりしているうちに、家族で相続について話し合うことも重要です。約5割の方が親と「まったく話さない」状態ですが、早めの話し合いがトラブル回避につながります。
不安3:財産が把握できない
相続財産の全体像が見えないという不安を抱える方は45.9%にのぼります。不動産、預貯金、証券、保険など、財産の種類は多岐にわたります。親が財産について口を閉ざしていたり、書類が整理されていなかったりすると、相続発生後に慌てることになります。
回避策:財産調査・専門家への相談で明確化
まず、親に財産の種類と所在を確認しましょう。通帳、権利証、保険証券など、重要書類の保管場所を共有してもらうことが大切です。
もし親が話したがらない場合でも、相続発生後には財産調査が必要になります。司法書士や弁護士に依頼すれば、戸籍から相続人を確定し、金融機関や法務局で財産の調査を行ってくれます。
不安が強い人ほど最初に決める判断軸
相続手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかは、以下の判断軸で決めましょう。
「時間がない」「遠方」→ オンライン代行サービス
仕事や家庭の事情で時間が取れない、相続人が遠方に住んでいるといった場合は、オンライン代行サービスが便利です。戸籍収集から名義変更まで一括で対応してくれるため、手間を大幅に削減できます。
「初めてで不安」→ 専門家のサポート
初めての相続で何をすればいいかわからない場合は、司法書士や行政書士に相談しましょう。相続登記や遺産分割協議書の作成など、法的な手続きをサポートしてくれます。
「3年期限が迫っている」→ 確実な専門家依頼
2024年4月から、相続登記が義務化されました。相続発生から3年以内に登記しないと過料が科される可能性があります。期限が迫っている場合は、確実に手続きを進めるため、専門家に依頼することをお勧めします。
先に言う正直なデメリット
専門家に依頼する場合、以下のデメリットがあります。
費用がかかる
司法書士や行政書士に依頼すると、数万円~十数万円の費用がかかります。相続財産の額や手続きの複雑さによって異なりますが、一般的には5万円~15万円程度が目安です。
全て任せると自分では何もわからない状態に
専門家に全て任せると、手続きの内容がブラックボックスになり、自分では何も理解できない状態になる可能性があります。最低限、どのような手続きが行われたかは確認しておきましょう。
ただし、銀行の相続サービスより安いという口コミも
銀行の相続サービスは、手数料が高額になることが多く、数十万円かかることもあります。それと比較すれば、司法書士や行政書士に依頼する方が費用対効果が高いといえます。
費用対効果:時間・安心 vs 費用
専門家に依頼することで、時間と心理的負担を大幅に軽減できます。自分で手続きを行う場合、平日に役所や法務局に何度も足を運ぶ必要があり、仕事を休まなければならないこともあります。その時間的コストと、専門家の費用を比較して判断しましょう。
よくある不満・後悔パターン
相続経験者の13.2%がトラブルを経験しています。ここでは、実際に起きた不満や後悔のパターンを紹介します。
家族・親族と揉めるケースが最多(170人)
最も多いのは、遺産分割をめぐる家族間のトラブルです。「兄弟の一人が遺産を独り占めしようとした」「介護をしていたのに、遺産分配が平等で納得できない」といった不満が聞かれます。
遺言書がなく法定相続で揉めた
遺言書がない場合、法定相続分に従って遺産を分割することになります。しかし、法定相続分が必ずしも公平とは限りません。例えば、親の介護をしていた子と、何もしていなかった子が同じ相続分では、納得できない感情が生まれます。
不公平な遺産分配で納得できない相手が不満を表明
親が生前に特定の子に多額の援助をしていた場合、他の相続人が「不公平だ」と感じることがあります。これを「特別受益」といい、遺産分割の際に調整することができますが、証拠がないと主張が認められないことも多いです。
なぜ起きるか(原因)
相続トラブルの根本原因は、以下の4つです。
原因1:相続の知識不足
「どんな手続きがあるかわからない」と答えた方が245人います。相続の基本的な知識がないと、何をすればいいかわからず、後回しにしてしまいます。
原因2:家族間で話し合いが一切されていない
約5割の方が親と相続について「まったく話さない」状態です。親が「お金の話は縁起が悪い」と考えていたり、子が「まだ早い」と思っていたりすると、話し合いの機会が失われます。
原因3:感情的な対立
相続は金銭だけでなく、感情も絡みます。「親の介護をしていたのに評価されない」「兄弟の一人だけが優遇されていた」といった不満が、遺産分割の場で爆発することがあります。
原因4:遺言書の有無が不明確
遺言書があるかどうかがわからないと、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。遺言書があれば避けられたトラブルが、遺言書の不存在によって発生することも少なくありません。
どう避けるか(回避策)
トラブルを回避するための具体的な方法は、以下のとおりです。
回避策1:遺言書作成(揉め事の原因をなくす)
親が元気なうちに遺言書を作成しておくことが、最も効果的な回避策です。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、公正証書遺言が最も確実です。
回避策2:早い段階での相続準備と話し合い
親が高齢化する前に、家族で相続について話し合いましょう。「遺言書を作ってほしい」と直接言うのが難しければ、「将来のために整理しておきたい」という形で切り出すのも一つの方法です。
回避策3:専門家への早めの相談(弁護士、司法書士)
相続が発生する前に、一度専門家に相談しておくと安心です。初回相談は無料または低額で行っている事務所も多く、遺言書の作成方法や相続税の概算などを確認できます。
回避策4:親が高齢化する前に行動
親が認知症になると、遺言書の作成や財産の整理が困難になります。親が健在で判断能力がしっかりしているうちに、行動を起こすことが大切です。
物件/担当/地域/プランで変わるポイント
相続の不安は、家族状況や財産の種類によって大きく変わります。
家族状況:親がお金の話を嫌う、兄弟が遠くにいる
親が「お金の話は縁起が悪い」と考えている場合、相続について話し合うこと自体が難しくなります。また、兄弟が遠方に住んでいると、遺産分割協議のための集まりが難しく、連絡が取りづらいこともあります。
年齢層:「自分にはまだ関係ない」と回答する層も
若い世代ほど、相続を「自分にはまだ関係ない」と考えがちです。しかし、親が急に亡くなることもあり、準備をしておくことは無駄ではありません。
相続経験:子供がいる人は揉め事の回避意向が強い
自分に子供がいる方は、「自分の子供たちには同じ思いをさせたくない」という理由で、相続対策に積極的です。
不動産の話し合い:22.9%しか親と話し合っていない
不動産は相続財産の中でも分割が難しく、トラブルの原因になりやすいです。しかし、親と不動産について話し合っている方はわずか22.9%です。
ここは個体差が出る
相続の不安は、以下の要因によって内容が変わります。
家族構成:相続人が多いほど調整が複雑
相続人が多いと、全員の意見を調整するのが難しくなります。特に、親族関係が疎遠だと、連絡を取ること自体が負担になります。
距離:遠方に住んでいると手続きが困難
相続人が遠方に住んでいる場合、役所や法務局に出向くのが困難です。郵送でできる手続きもありますが、時間がかかります。
財産の種類:不動産が複数あると複雑化
不動産が複数ある場合、評価額の算定や分割方法が複雑になります。共有名義にすると、将来的に売却が難しくなることもあります。
親との関係性:話し合いがしやすいか
親と良好な関係を築いている場合、相続について話し合いやすいです。一方、親子関係が疎遠だと、話を切り出すこと自体が難しくなります。
事前に見抜く質問例
家族に確認すべき質問は、以下のとおりです。
質問1:遺言書は作成していますか? どこに保管していますか?
遺言書があるかどうかを確認しましょう。公正証書遺言であれば、公証役場で検索できます。自筆証書遺言の場合、保管場所を共有してもらうことが大切です。
質問2:どのような財産がありますか?(不動産、預貯金、証券、保険)
財産の種類と所在を確認しましょう。通帳、権利証、保険証券などの保管場所を共有してもらうと、相続発生後の手続きがスムーズになります。
質問3:誰が相続人になる予定ですか?
法定相続人を確認しましょう。親が再婚している場合、前の配偶者との間に子供がいるかどうかも重要です。
質問4:相続について家族で話し合ったことはありますか?
親が兄弟姉妹とどのような話をしているかを確認しましょう。親の意向を知っておくと、遺産分割協議がスムーズになります。
それでも不安が残る人の代替案
自分で手続きすることに不安がある場合、以下の選択肢があります。
代替案1:オンライン代行サービス(戸籍収集~名義変更まで一括)
オンラインで相続手続きを代行してくれるサービスがあります。戸籍収集、遺産分割協議書の作成、名義変更まで一括で対応してくれるため、時間と手間を大幅に削減できます。
代替案2:司法書士に相続登記だけ依頼
相続登記だけを司法書士に依頼する方法もあります。戸籍収集や遺産分割協議は自分で行い、登記申請だけを専門家に任せることで、費用を抑えられます。
代替案3:初回無料相談で見積りを確認してから決める
多くの司法書士事務所や行政書士事務所では、初回相談を無料または低額で行っています。見積りを確認してから依頼するかどうかを決められるため、安心です。
安心優先の直接代替
安心を優先する場合、以下の選択肢があります。
オンライン代行サービス:戸籍収集・名義変更まで一括対応
オンライン代行サービスは、全ての手続きを一括で対応してくれます。自宅にいながら手続きを進められるため、仕事や家庭の事情で時間が取れない方に最適です。
司法書士:相続登記の専門家
司法書士は、相続登記の専門家です。法務局への申請をスムーズに行ってくれるため、確実に手続きを進めたい方にお勧めです。
弁護士:トラブルが予想される場合
遺産分割でトラブルが予想される場合は、弁護士に相談しましょう。法的な観点から遺産分割協議をサポートしてくれます。
費用はかかるが、確実性と安心感を得られる
専門家に依頼すると費用はかかりますが、確実性と安心感を得られます。時間的コストと心理的負担を考慮すると、費用対効果は高いといえます。
現状維持/先延ばしが合理的なケース
以下のケースでは、今すぐ行動しなくても問題ありません。
親が健在で判断能力がしっかりしている
親が健在で判断能力がしっかりしている場合、相続の準備を少しずつ進めることができます。焦る必要はありませんが、話し合いの機会は持っておきましょう。
まだ相続が発生していない
相続が発生していない場合、今すぐ手続きを行う必要はありません。ただし、親が高齢化する前に準備を始めることをお勧めします。
ただし、親が高齢化する前の話し合いは推奨
親が高齢化すると、判断能力が低下し、話し合いが困難になります。早めに話し合いの機会を持つことが大切です。
相続発生後は3年以内の期限があるため先延ばしは危険
相続が発生した後は、3年以内に相続登記を行う必要があります。先延ばしにすると、過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
向いている人/向いていない人
自分で手続きする人と、代行サービスを使う人の判断基準は以下のとおりです。
自分で手続き向き:時間に余裕、費用を抑えたい、財産がシンプル
時間に余裕があり、費用を抑えたい方は、自分で手続きを行うことができます。財産がシンプルで、相続人が少ない場合は、自分で対応しやすいでしょう。
代行サービス向き:時間がない、遠方、財産が複雑、期限が迫っている、初めてで不安
仕事や家庭の事情で時間が取れない、相続人が遠方に住んでいる、財産が複雑、期限が迫っている、初めてで不安という方は、代行サービスの利用をお勧めします。
まとめ:不安がある人ほどこの順で確認
相続の不安を解消するためには、以下の順序で行動しましょう。
Step1:遺言書の有無を確認
まず、親に遺言書があるかどうかを確認しましょう。公正証書遺言であれば、公証役場で検索できます。
Step2:財産の洗い出しを開始
財産の種類と所在を確認しましょう。通帳、権利証、保険証券などの保管場所を共有してもらうことが大切です。
Step3:家族と話し合う(早いほど良い)
親が健在で判断能力がしっかりしているうちに、家族で相続について話し合いましょう。早めの話し合いがトラブル回避につながります。
Step4:不安が残る場合は専門家に初回相談(無料または低額)
不安が残る場合は、司法書士や行政書士に初回相談をしましょう。無料または低額で相談できる事務所も多く、見積りを確認してから依頼できます。
今日できることから始める
相続の準備は、今日からできることがあります。親に遺言書の有無を確認する、財産の種類を聞くなど、小さな一歩から始めましょう。
不安を抱えたまま先延ばしにするのではなく、今日から行動を起こすことで、将来のトラブルを回避できます。
