買い替え購入中古戸建ての固定資産税・都市計画税|完全ガイド

公開日: 2025/10/19

買い替えで中古戸建てを購入する際の固定資産税の基本

住宅の買い替えで中古戸建てを購入する場合、固定資産税・都市計画税の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。特に、旧居の売却と新居の購入タイミングによっては、両方の不動産に固定資産税が課税される「二重負担期間」が発生する可能性があります。

本記事では、買い替え時の中古戸建て購入における固定資産税・都市計画税の基本から、住宅用地の特例、固定資産税の精算実務、二重負担を避けるタイミング戦略まで、資金計画に必要な情報を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税される
  • 住宅用地は200㎡以下で評価額の1/6に軽減(中古でも適用)
  • 中古不動産の取引では売主・買主間で固定資産税を日割り精算する慣習がある
  • 旧居と新居の両方に課税される二重負担期間を避けるタイミング調整が重要
  • 中古戸建ては新築軽減措置の対象外だが、築年数により建物評価額が下がる

買い替え時の中古戸建て購入における固定資産税の基本

固定資産税の仕組みと税率

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人に課される地方税です(総務省 固定資産税)。標準税率は1.4%ですが、市町村により異なる場合があります。

買い替えで重要なのは、1月1日時点の所有者が納税義務者という点です。旧居を年内に売却しても、その年の固定資産税は売主が負担します。逆に、新居を年末に取得した場合、翌年1月1日から課税されます。

固定資産税評価額と課税標準額の違い

固定資産税の計算基礎となる金額には、以下の2種類があります:

  • 固定資産税評価額: 市町村が3年ごとに評価替えを行う土地・建物の価格。土地は公示価格の約70%、建物は再建築価格から経年減価を考慮して算定
  • 課税標準額: 固定資産税評価額に特例措置(住宅用地1/6など)を適用した後の金額。実際の税額計算の基礎となる

中古戸建ての場合、建物は築年数により評価額が下がるため、新築と比較して固定資産税が低くなる傾向があります。

中古戸建ての評価額の特徴

中古戸建ての建物評価額は、経年減点補正率により年々減少します。木造戸建ての場合、築20年で評価額が約半分、築25年以降は再建築価格の約20%まで下がります。

一方、土地の評価額は市場価格に連動するため、地価上昇地域では評価額が上がる場合もあります。買い替えで中古戸建てを購入する際は、土地・建物それぞれの評価額を確認することが重要です。

住宅用地の課税標準特例で土地の税負担を軽減

小規模住宅用地(200㎡以下)は評価額の1/6

住宅用地については、固定資産税・都市計画税の課税標準額を大幅に軽減する特例があります(総務省 住宅用地に対する課税標準の特例措置)。

小規模住宅用地(200㎡以下):

  • 固定資産税:評価額の1/6
  • 都市計画税:評価額の1/3

この特例は中古戸建てでも適用されるため、土地面積200㎡以下の物件では、土地の固定資産税が大幅に軽減されます。

一般住宅用地(200㎡超)は評価額の1/3

土地面積が200㎡を超える部分については、以下の軽減率が適用されます:

一般住宅用地(200㎡超の部分):

  • 固定資産税:評価額の1/3
  • 都市計画税:評価額の2/3

例えば、土地面積300㎡の中古戸建ての場合:

  • 200㎡まで:評価額の1/6(固定資産税)
  • 200㎡超の100㎡:評価額の1/3(固定資産税)

となります。

中古でも適用される土地の軽減

住宅用地の特例は、新築・中古を問わず適用されます。買い替えで中古戸建てを購入する場合でも、土地の上に住宅が建っている限り、特例が適用されます。

ただし、住宅を取り壊して更地にすると、特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍に増加する点に注意が必要です。

中古戸建て購入時の固定資産税精算の仕組み

売主・買主間での日割り精算

中古不動産の取引では、年税額を売主・買主で日割り計算して負担を分ける慣習があります(国土交通省 固定資産税の日割り精算)。

精算の計算式は以下の通りです:

  • 売主負担: 年税額 × (起算日〜引渡日前日の日数 ÷ 365日)
  • 買主負担: 年税額 × (引渡日〜年末の日数 ÷ 365日)

買主負担分は、売買代金とは別に授受されるか、売買代金から調整されます。

起算日による違い(1月1日または4月1日)

固定資産税の精算における起算日は、地域慣習により異なります:

  • 関東地方: 1月1日起算が一般的
  • 関西地方: 4月1日起算が一般的

起算日により精算額が異なるため、売買契約前に不動産会社に確認することが重要です。

例:年税額12万円、引渡日7月1日の場合

  • 1月1日起算:売主6万円(1-6月)、買主6万円(7-12月)
  • 4月1日起算:売主3万円(4-6月)、買主9万円(7-3月)

精算金の取り扱いと税務処理

固定資産税の精算金は、税務上は売買代金の一部として扱われます。買主が負担する精算金は、不動産の取得価額に含まれ、将来売却時の譲渡所得計算の基礎となります。

売主が受け取る精算金は、売却価格の一部として譲渡所得の計算に含まれます。

都市計画税の仕組みと軽減措置

都市計画税の課税対象と税率

都市計画税は、都市計画法による市街化区域内の土地・建物の所有者に課される目的税です(総務省 都市計画税)。税率の上限は0.3%で、実際の税率は市町村の条例で定められます。

市街化調整区域や非線引き区域では課税されないため、購入予定の中古戸建ての所在地が都市計画区域のどこに該当するか確認が必要です。

住宅用地の軽減措置(1/3または2/3)

都市計画税にも、住宅用地の軽減措置があります:

  • 小規模住宅用地(200㎡以下): 評価額の1/3
  • 一般住宅用地(200㎡超): 評価額の2/3

固定資産税と同様、中古戸建てでも適用されます。

固定資産税との合算納付

都市計画税は、固定資産税とあわせて納付書が送付され、一括して納付します。納付時期は年4回(4月・7月・12月・2月頃)が一般的ですが、市町村により異なります。

旧居と新居の二重負担を避けるタイミング戦略

売却と購入のタイミング調整

買い替えで最も注意すべきは、旧居と新居の両方に固定資産税が課税される「二重負担期間」です。

売り先行の場合:

  • 旧居を年内に売却すれば、翌年から旧居の課税なし
  • 新居を翌年1月2日以降に取得すれば、新居の課税は翌々年から
  • 二重負担期間:なし

買い先行の場合:

  • 新居を取得後、旧居の売却が翌年にずれ込むと、新旧両方に課税
  • 二重負担期間:最長1年間

1月1日の所有者が納税義務者

固定資産税は1月1日時点の所有者に課税されるため、12月中に売却・購入を完了すれば、翌年の課税対象から外れます。

買い替えのスケジュールを組む際は、1月1日の所有関係を意識したタイミング調整が重要です。

買い替え時の資金繰りポイント

買い替え時の資金計画では、以下の固定資産税関連コストを考慮する必要があります:

  1. 旧居の固定資産税: 売却年の1月1日時点で所有していれば全額負担
  2. 新居の固定資産税精算金: 引渡日から年末までの日割り負担
  3. 新居の翌年以降の固定資産税: 年間10〜15万円程度(物件により異なる)

二重負担期間がある場合、年間20〜30万円の追加コストとなるため、資金繰りに余裕を持つことが重要です。

買い替え時の資金計画と税負担シミュレーション

購入1年目の税額(精算含む)

中古戸建て(土地2,000万円、建物1,000万円、築15年、土地面積150㎡)を7月1日に購入した場合の1年目税額:

固定資産税精算金(7-12月分):

  • 土地:2,000万円 × 1/6 × 1.4% × 6/12 = 23,333円
  • 建物:1,000万円 × 0.6(築15年の減価率) × 1.4% × 6/12 = 42,000円
  • 都市計画税:(2,000万円 × 1/3 × 0.3% + 600万円 × 0.3%) × 6/12 = 19,000円
  • 合計:約8.4万円

2年目以降の税額

年間税額(翌年1月〜12月):

  • 土地(固定資産税):2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 46,667円
  • 建物(固定資産税):600万円 × 1.4% = 84,000円
  • 土地(都市計画税):2,000万円 × 1/3 × 0.3% = 20,000円
  • 建物(都市計画税):600万円 × 0.3% = 18,000円
  • 合計:約16.9万円

築年数が経過すると建物評価額が下がるため、税額も減少していきます。

住宅ローン控除との関係

中古住宅を購入する場合、築年数要件(昭和57年以降または耐震基準適合証明)を満たせば住宅ローン控除が適用可能です(国税庁 住宅ローン控除)。

住宅ローン控除は所得税・住民税から控除されるため、固定資産税・都市計画税とは別の税制です。両方を考慮した総合的な資金計画が重要です。

まとめ

買い替えで中古戸建てを購入する場合、固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます。住宅用地の特例(200㎡以下で評価額の1/6)は中古でも適用されるため、土地の税負担は大幅に軽減されます。

中古不動産の取引では、売主・買主間で固定資産税を日割り精算する慣習があり、引渡日を基準に負担を按分します。買い替え時は、旧居と新居の両方に課税される二重負担期間を避けるため、売却と購入のタイミング調整が重要です。

中古戸建ては新築軽減措置の対象外ですが、築年数により建物評価額が下がるため、税負担は新築より低くなる傾向があります。資金計画では、購入1年目の精算金と2年目以降の年間税額を考慮し、余裕を持った予算設定をすることをおすすめします。

よくある質問

Q1買い替えで中古戸建てを購入する場合、固定資産税の精算はどうなりますか?

A1中古不動産の取引では、売主・買主間で年税額を日割り計算して精算する慣習があります。起算日は地域慣習により異なり、関東は1月1日、関西は4月1日が一般的です。引渡日を基準に負担を按分し、買主負担分は売買代金とは別に授受されるか、売買代金から調整されます。精算金は税務上、不動産の取得価額に含まれます。

Q2旧居と新居の両方に固定資産税がかかる期間はありますか?

A21月1日時点の所有者が納税義務者となるため、旧居を年内に売却すれば翌年から課税されません。新居は取得後の1月1日から課税されます。売り先行で年内に売却し翌年に購入すれば二重負担を避けられますが、買い先行で旧居の売却が翌年にずれ込むと、新旧両方に課税される期間が最長1年間発生します。

Q3中古戸建ては新築のような固定資産税の軽減措置はありませんか?

A3建物の新築軽減措置(3年間1/2)は中古戸建てには適用されません。ただし、住宅用地の特例(200㎡以下は評価額の1/6)は中古でも適用されます。また、築年数が経過すると建物評価額が経年減点補正率により下がるため、税額も減少します。木造戸建ての場合、築20年で評価額が約半分、築25年以降は再建築価格の約20%まで下がります。

Q4買い替えで中古戸建て購入時に住宅ローン控除は受けられますか?

A4築年数要件(昭和57年以降または耐震基準適合証明)を満たせば住宅ローン控除が適用可能です。床面積50㎡以上、借入期間10年以上などの要件も必要です。最大13年間、年末ローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除できます。固定資産税・都市計画税は別途課税されるため、両方を考慮した資金計画が重要です。

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