中古戸建て購入の確定申告|住宅ローン控除・必要書類完全ガイド

公開日: 2025/10/14

中古戸建て購入時の確定申告とは

中古戸建てを購入し、住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要です。住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高の0.7%を最大10年間、所得税から控除できる制度です。

確定申告の主な目的は以下の3点です:

  • 住宅ローン控除の申請:初年度のみ確定申告が必須、2年目以降は年末調整で手続き可能
  • 住宅取得資金贈与の申告:親から資金援助を受けた場合、贈与税の非課税特例を適用
  • その他の控除・還付:医療費控除やふるさと納税との併用

中古戸建ては新築と異なり、築年数や耐震基準の要件があるため、事前の確認が重要です。

住宅ローン控除の適用要件と注意点

中古住宅の適用要件(2022年改正後)

2022年の税制改正により、中古住宅の住宅ローン控除は以下のように変更されました:

以前(2021年まで)

  • 木造:築20年以内
  • RC造等:築25年以内

改正後(2022年以降)

  • 築年数制限撤廃
  • 新耐震基準適合が条件

これにより、築年数にかかわらず新耐震基準を満たせば控除対象となります。

耐震基準適合証明書の必要性

旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)の中古戸建てで控除を受けるには、以下のいずれかが必要です:

証明書類 取得先 取得費用目安
耐震基準適合証明書 建築士・指定確認検査機関 5万円〜15万円
既存住宅性能評価書(耐震等級1以上) 登録住宅性能評価機関 10万円〜20万円
既存住宅売買瑕疵保険付保証明書 住宅瑕疵担保責任保険法人 5万円〜10万円

重要:これらの証明書は引渡し前または引渡し後2年以内に取得する必要があります。詳細は国税庁の中古住宅の住宅ローン控除ガイドを参照してください。

住宅ローン控除額の計算方法

中古住宅の控除額は以下の式で計算します:

控除額 = 年末ローン残高 × 0.7%

住宅種別 借入限度額 最大控除額(年間) 控除期間
中古住宅(耐震基準適合) 2,000万円 14万円 10年間

例:年末ローン残高2,500万円の場合
控除額 = 2,000万円(上限) × 0.7% = 14万円

確定申告の手順と記載方法

確定申告の基本的な流れ

中古戸建て購入後の確定申告は以下の流れで進めます:

  1. 必要書類の準備(1月〜2月)
  2. e-Taxまたは書面で申告(2月16日〜3月15日)
  3. 還付金の受取(1〜2ヶ月後)
  4. 2年目以降は年末調整(会社員の場合)

e-Taxでの申請方法(推奨)

e-Tax(電子申告)を利用すれば、自宅から24時間申告可能です:

準備するもの

  • マイナンバーカード
  • スマートフォン(マイナポータルアプリ)またはICカードリーダー
  • パソコン

手順

  1. 国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセス
  2. マイナポータル連携でログイン
  3. 源泉徴収票のデータを自動入力
  4. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成
  5. 必要書類のPDFを添付
  6. 送信して完了

e-Taxの詳細は国税庁e-Tax公式サイトを参照してください。

よくある記入ミスと対策

ミス内容 正しい対応
年末ローン残高の誤記 金融機関の「年末残高証明書」を必ず確認
床面積の誤記 登記簿面積(内法面積)を記載。パンフレット記載の壁芯面積は不可
耐震基準適合証明書の添付忘れ 旧耐震基準の物件は必須。添付しないと控除不可

中古戸建て購入時の登記関連税金

登録免許税の計算と納付

中古戸建ての所有権移転登記には登録免許税がかかります:

本則税率

  • 土地:2.0%
  • 建物:2.0%

軽減税率(住宅用家屋)

  • 土地:1.5%(2026年3月31日まで)
  • 建物:0.3%(耐震基準適合住宅)

例:固定資産税評価額 土地1,000万円、建物500万円の場合
登録免許税 = 1,000万円 × 1.5% + 500万円 × 0.3% = 16.5万円

不動産取得税の軽減措置

不動産取得税は都道府県税で、取得後6ヶ月〜1年半後に納税通知書が届きます。軽減措置を受けるには取得後60日以内に都道府県税事務所へ申請が必要です。

軽減措置の要件

  • 床面積50㎡以上240㎡以下
  • 自己居住用
  • 昭和57年1月1日以降の新築、または新耐震基準適合

詳細は総務省の不動産取得税ガイドを参照してください。

贈与税の特例と申告

住宅取得資金贈与の非課税措置

親や祖父母から住宅購入資金の援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となります:

住宅の種類 非課税枠(2024年)
省エネ等住宅 1,000万円
一般住宅 500万円

注意点

  • 贈与税の申告が必須:非課税でも確定申告時に合わせて申告
  • 期限厳守:贈与を受けた年の翌年3月15日まで
  • 併用可能:住宅ローン控除と併用可能

詳細は国税庁の住宅取得資金贈与の特例ガイドを参照してください。

確定申告に必要な書類と準備

住宅ローン控除用の書類

初年度の確定申告で必要な書類は以下の通りです:

書類名 入手先 備考
確定申告書 国税庁サイト e-Taxなら不要
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 国税庁サイト 控除額を計算
住民票の写し 市区町村 発行から3ヶ月以内
登記事項証明書 法務局 床面積50㎡以上を確認
売買契約書 不動産会社 コピー可
住宅ローンの年末残高証明書 金融機関 12月下旬〜1月送付
源泉徴収票 勤務先 会社員の場合
耐震基準適合証明書 建築士等 旧耐震基準の物件は必須

書類収集のチェックリスト

1月

  • 金融機関から年末残高証明書が届く
  • 勤務先から源泉徴収票を受領

2月上旬

  • 住民票の写しを取得(有効期限3ヶ月以内)
  • 登記事項証明書を法務局で取得(オンライン可)

2月中旬〜3月15日

  • e-Taxで申告、または税務署に書面提出

2年目以降の手続き(会社員の場合)

初年度に確定申告を済ませれば、2年目以降は年末調整で手続き可能です:

必要書類

  • 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書:税務署から10月頃送付(残り9年分まとめて送付)
  • 住宅ローンの年末残高証明書:金融機関から毎年送付

これらを勤務先に提出するだけで、控除が適用されます。

まとめ

中古戸建て購入時の確定申告では、以下のポイントを押さえましょう:

  • 2022年改正で築年数制限撤廃、新耐震基準適合が条件
  • 旧耐震基準の物件は耐震基準適合証明書が必須、引渡し前または引渡し後2年以内に取得
  • 初年度は確定申告が必須、e-Taxなら自宅から24時間申告可能
  • 不動産取得税の軽減措置は取得後60日以内に申請
  • 贈与税の非課税特例は確定申告時に申告が必須

中古戸建ては新築と要件が異なるため、事前の確認と早めの書類準備が重要です。不明点があれば税務署に相談することが推奨されます。

よくある質問

Q1中古戸建ての住宅ローン控除には築年数制限がありますか?

A12022年改正で築年数制限は撤廃されました。現在は新耐震基準適合が条件です。旧耐震基準(1981年5月以前)の物件は、耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書、または既存住宅売買瑕疵保険付保証明書のいずれかが必要です。

Q2確定申告を忘れた場合、住宅ローン控除は受けられなくなりますか?

A2初年度の確定申告を失念しても、5年以内なら還付申告が可能です。ただし控除開始が遅れるため、できるだけ早めに税務署に相談することが推奨されます。

Q3親から住宅購入資金の援助を受けた場合、贈与税はかかりますか?

A3住宅取得資金贈与の特例により、2024年は省エネ等住宅で1,000万円、一般住宅で500万円まで非課税です。ただし、非課税でも確定申告時に贈与税の申告が必須です。申告しないと特例が適用されません。

Q4不動産取得税の軽減措置はいつまでに申請すればいいですか?

A4取得後60日以内に都道府県税事務所に申請する必要があります。軽減措置を受けると大幅に減税できますが、申請期限を過ぎると本則課税となるため、早めの手続きが重要です。

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