中古マンション市場の最新動向(2025年)
中古マンションの購入や売却を検討する際、「今は買い時なのか」「売却価格はどのくらいか」といった疑問は誰もが抱えるものです。
この記事では、2025年最新の中古マンション市場動向、全国主要都市の価格相場、購入時のチェックポイント、売却時の注意点、大手不動産会社の特徴比較を、信頼できる情報源を元に解説します。
中古マンションの取引を検討している方が、適正価格や注意点を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 2024年の首都圏中古マンション㎡単価は76.88万円で、12年連続の上昇を記録
- 東京23区の築11~20年の中古マンションは新築時価格の2倍超に達している
- 2025年1月に政策金利が0.5%に引き上げられ、住宅ローン金利への影響が懸念されている
- 中古マンション購入時は築年数・管理状況・立地を必ず確認し、旧耐震基準(1981年6月以前)の物件は要注意
- 売却時の諸費用は物件価格の5~10%程度を見込み、複数社の査定を比較することが重要
(1) 首都圏の価格高騰(12年連続上昇)
SUUMOジャーナルによると、2024年の首都圏中古マンションの㎡単価は76.88万円(前年比6.9%上昇)で、12年連続の上昇を記録しています。
特に東京23区では、築11~20年の中古マンションが新築時価格の2倍超(騰落率110%超)に達しており、資産価値が大きく上昇しています。
この価格高騰は、新築マンションの供給不足、建築コストの上昇、低金利政策の長期化などが背景にあります。
(2) 金利上昇の影響
2025年1月、日本銀行が政策金利を**0.5%**に引き上げました。これにより、住宅ローン金利への影響が懸念されています。
金利が1%上昇した場合、3,000万円の住宅ローン(35年返済)で総返済額が約300万円増加する可能性があります。今後の段階的な利上げが予定されているため、購入検討者は金利動向に注意が必要です。
ただし、中古マンション市場への影響は限定的との見方もあり、社会保険料の負担増の方が家計に与える影響が大きいとの指摘もあります。
(3) 地域格差の拡大
2025年の中古マンション市場は、地域格差が鮮明になっています。
都心部(東京23区、横浜、川崎等)では価格上昇が続く一方、郊外や地方都市では価格が横ばいまたは下落傾向にあります。
物件選びでは、単なる価格の安さではなく、将来的な資産価値や売却のしやすさも考慮することが重要です。
全国主要都市の中古マンション価格相場
全国主要都市の中古マンション価格相場を詳しく解説します。
(1) 鎌倉・名古屋・京都の相場
鎌倉市(神奈川県):
LIFULL HOME'Sによると、鎌倉市の中古マンション相場は以下の通りです。
| 間取り | 平均価格 |
|---|---|
| 1K~1LDK | 約2,093万円 |
| 2K~2LDK | 約3,200万円 |
| 3K~3LDK | 約4,311万円 |
| 4K~4LDK | 約5,000万円超 |
鎌倉市は過去3年で約7.02%の価格上昇があり、海や観光スポットが近い生活環境の良さから、ファミリー層に人気があります。
名古屋市(愛知県):
名古屋市の中古マンション相場は、エリアにより大きく異なります。中区・東区の都心部は1LDK約2,000万円~、3LDK約3,500万円~が目安です。
京都市(京都府):
京都市の中古マンション相場は、京都駅周辺・河原町エリアで1LDK約2,500万円~、3LDK約4,000万円~が目安です。観光地のため、賃貸需要も高く、投資物件としても人気があります。
(2) 埼玉・沖縄・新潟・松本・姫路の相場
埼玉県:
さいたま市の中古マンション相場は、大宮駅周辺で1LDK約2,000万円~、3LDK約3,000万円~が目安です。東京へのアクセスが良好なため、都心通勤者に人気です。
沖縄県:
那覇市の中古マンション相場は、1LDK約1,500万円~、3LDK約2,500万円~が目安です。観光需要と移住人気が高く、近年価格が上昇しています。
新潟市・松本市・姫路市:
これらの地方都市の中古マンション相場は、1LDK約1,000万円~1,500万円、3LDK約2,000万円~3,000万円が目安です。都心部に比べて価格は低めですが、地域の雇用環境や人口動向により資産価値が変動します。
(3) 大阪・博多・三軒茶屋・湯河原の相場
大阪府:
大阪市の中古マンション相場は、梅田・難波エリアで1LDK約2,500万円~、3LDK約4,000万円~が目安です。関西経済の中心として安定した需要があります。
福岡市博多区:
博多駅周辺の中古マンション相場は、1LDK約2,000万円~、3LDK約3,500万円~が目安です。九州のビジネス中心地として需要が高まっています。
東京都世田谷区三軒茶屋:
三軒茶屋エリアの中古マンション相場は、1LDK約3,000万円~、3LDK約5,000万円~が目安です。渋谷まで2駅の利便性と住みやすさが人気です。
湯河原町(神奈川県):
湯河原の中古マンション相場は、1LDK約1,000万円~、3LDK約2,000万円~が目安です。温泉地としてリゾート需要があり、セカンドハウスとしても人気です。
中古マンション購入時のチェックポイント
中古マンション購入時に必ず確認すべきポイントを詳しく解説します。
(1) 築年数と耐震基準(旧耐震 vs 新耐震)
さくら事務所によると、築年数は中古マンション購入時の最重要チェックポイントです。
旧耐震基準 vs 新耐震基準:
| 項目 | 旧耐震基準 | 新耐震基準 |
|---|---|---|
| 建築確認の時期 | 1981年6月以前 | 1981年6月以降 |
| 耐震性能 | 震度5程度で倒壊しない | 震度6強~7でも倒壊しない |
| 地震リスク | 高い | 低い |
| 住宅ローン控除 | 要件が厳しい | 適用しやすい |
旧耐震基準の物件を購入する場合は、耐震診断・補強の有無を必ず確認してください。耐震補強が実施されていない物件は、地震リスクが高いため、購入を避けることを推奨します。
築年数別の価格目安(鎌倉市・70㎡基準):
- 築15~20年: 平均約5,200万円
- 築21年以上: 平均約2,900万円
築25年以上の物件は価格が安定する傾向がありますが、修繕積立金が高くなる点に注意が必要です。
(2) 管理状況と修繕積立金
中古マンション購入時には、管理状況と修繕積立金を必ず確認してください。
確認ポイント:
- 修繕積立金の蓄積状況: 大規模修繕に備えて十分な額が積み立てられているか
- 管理費の妥当性: 同規模のマンションと比較して高すぎないか
- 管理会社の実績: 大規模修繕の実績、トラブル対応力
- 管理組合の運営状況: 総会の開催頻度、修繕計画の策定状況
修繕積立金は築年数とともに増額される傾向があります。2025年以降は資材・人件費高騰で大規模修繕費が増加する可能性があるため、将来的なコスト増を見込んでおくことが重要です。
(3) 立地・交通利便性・生活環境
立地は中古マンションの資産価値を大きく左右します。
確認ポイント:
- 駅徒歩距離: 駅徒歩10分以内が理想、15分以内であれば許容範囲
- 生活利便性: スーパー、病院、学校、公園などの近さ
- 周辺環境: 騒音、日当たり、風通し、治安
- 将来的な開発計画: 再開発や大型施設の建設予定
特に鎌倉のように地形が複雑なエリアでは、同じ沿岸部でもわずかな標高差や風の流れで住みやすさが大きく異なるため、実際に現地を訪れて確認することが重要です。
中古マンション売却時の注意点
中古マンション売却時に押さえておくべきポイントを解説します。
(1) 査定と相場の確認
売却を検討する際は、まず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定のポイント:
- 3社以上の査定を比較: 1社だけでは適正価格が分からない
- 査定額の根拠を確認: 周辺相場、築年数、立地、設備等を基に算出
- 売却時期の相談: 市場動向により適切な売却時期が異なる
不動産ポータルサイト(HOME'S、SUUMO、athome等)で周辺の類似物件の売却価格を確認し、相場感を掴んでおくことも重要です。
(2) 内覧対応とリフォーム
内覧対応は売却成功の鍵です。
内覧対応のポイント:
- 清潔感: 水回り(キッチン、バス、トイレ)を重点的に清掃
- 明るさ: カーテンを開けて採光を確保、照明を点灯
- ニオイ対策: 換気、消臭剤、芳香剤の適切な使用
- 整理整頓: 不要な物を片付けて広く見せる
リフォームの必要性:
大規模なリフォームは不要です。水回りのクリーニング、壁紙の部分補修など、最小限の投資で印象を良くすることが重要です。
(3) 諸費用と不動産会社選び
中古マンション売却時には、以下の諸費用が発生します。
| 項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格×3%+6万円+消費税(上限) |
| 抵当権抹消費用 | 1~3万円 |
| 譲渡所得税 | 売却益がある場合(所有期間により異なる) |
| 印紙税 | 1~3万円 |
諸費用の合計は物件価格の5~10%程度を見込んでください。
不動産会社選びのポイント:
- 地域の実績: 売却予定エリアでの実績が豊富な会社を選ぶ
- 対応の丁寧さ: 査定時の説明、質問への回答が丁寧か
- 販売戦略: どのような方法で買い手を探すか(広告、ポータルサイト掲載等)
大手不動産会社(住友・三井・東急・野村)の特徴比較
大手不動産会社の物件特徴を比較します。
(1) 住友不動産と三井不動産
住友不動産:
- 物件特徴: 都心部の高級マンションに強み、品質重視
- ブランド: シティタワー、シティハウスなど
- 価格帯: 高価格帯(1LDK約3,000万円~)
- アフターサービス: 24時間サポート、定期点検
三井不動産:
- 物件特徴: 全国展開、幅広い価格帯に対応
- ブランド: パークホームズ、パークシティなど
- 価格帯: 中~高価格帯(1LDK約2,500万円~)
- アフターサービス: 長期修繕計画、管理組合サポート
(2) 東急不動産と野村不動産
東急不動産:
- 物件特徴: 沿線開発に強み、生活利便性重視
- ブランド: ブランズ、アルス など
- 価格帯: 中価格帯(1LDK約2,000万円~)
- アフターサービス: 東急グループの生活サービス連携
野村不動産:
- 物件特徴: 高品質、都心立地に強み
- ブランド: プラウド など
- 価格帯: 高価格帯(1LDK約3,000万円~)
- アフターサービス: 24時間サポート、定期点検
(3) デベロッパー別の物件特徴
大手デベロッパーの物件は、以下の共通点があります。
- 品質の安定性: 建築基準を満たし、長期修繕計画が整備されている
- 管理体制: 大手管理会社による24時間サポート
- ブランド価値: 売却時に一定の評価を得やすい
ただし、大手だから必ずしも良いとは限りません。立地、築年数、管理状況を総合的に判断することが重要です。
まとめ:中古マンション取引で失敗しないために
2024年の首都圏中古マンション㎡単価は76.88万円で、12年連続の上昇を記録しています。東京23区の築11~20年の物件は新築時価格の2倍超に達しており、資産価値が大きく上昇しています。
購入時は築年数(旧耐震基準は1981年6月以前)、管理状況(修繕積立金の蓄積)、立地(駅徒歩距離・生活利便性)を必ず確認してください。売却時は複数社の査定を比較し、諸費用(物件価格の5~10%)を見込んで計画を立てましょう。
最新の価格相場や物件情報については、不動産ポータルサイト(HOME'S、SUUMO、athome等)で確認し、信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。詳細は宅地建物取引士にご相談ください。
