公共不動産活用に興味があるあなたへ
「公共R不動産というサービスを聞いたことがあるけれど、どんな物件があるのか」「廃校や遊休公共施設を活用したいが、どこから始めればいいか分からない」と疑問に感じている方は少なくありません。
この記事では、公共R不動産とは何か、どのような物件が掲載されているか、活用事例や利用方法を、2024年の最新情報を元に解説します。
公共R不動産公式サイトや国土交通省・文部科学省の公式情報を参照し、公共不動産活用の判断材料となる情報を提供します。
この記事のポイント
- 公共R不動産は未活用の公共不動産(廃校、公園、文化施設等)と利用希望者をマッチングするプラットフォーム
- 年間約450件の廃校が発生し、2018年時点で74.5%が活用済み、残り25.5%が活用機会として残されている
- 2021年リリースの公共不動産データベースで全国1,700自治体の情報を一元検索できる
- NEXT PUBLIC AWARD 2024では「小さな公共」の視点が評価され、日常レベルの取り組みも対象に
- 公民連携の形態は多様化(PFI、指定管理者制度、包括的民間委託等)
公共不動産活用が注目される理由
公共不動産の活用は、近年注目されるテーマの一つです。少子化や公共施設の老朽化により、全国各地で未活用の公共不動産が増加しています。これらを有効活用することで、地域活性化や財政負担の軽減につながる可能性があります。
(1) 年間約450件発生する廃校の活用機会
少子化の影響により、年間約450件の廃校が発生しています。文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」によると、2018年時点で74.5%が活用済みですが、残り25.5%が活用機会として残されています。
廃校は製造施設、観光施設、文化施設、オフィス、住宅など、多様な用途で活用されています。広い敷地と建物を持つため、大規模プロジェクトに適している点が特徴です。
(2) 公民連携の潮流変化
公民連携(PPP: Public Private Partnership)の潮流は、2024年で大きな転換期を迎えています。従来は大規模プロジェクトが中心でしたが、近年は「小さな公共」の視点が注目されています。
「小さな公共」とは、誰もが始められる日常レベルの公共空間活用のことで、NEXT PUBLIC AWARD 2024でも評価されました。公民連携は、大規模プロジェクトだけでなく、地域に根差した小さな取り組みも対象となりつつあります。
公共R不動産とは何か
公共R不動産について、基本的な情報を確認していきましょう。
(1) プラットフォームの概要と目的
公共R不動産は、未活用の公共不動産と利用希望者をマッチングするプラットフォームとして2015年に開設されました。廃校、公園、文化施設、公営住宅など、多様な公共不動産の情報を掲載し、民間事業者や個人が検索・相談できる仕組みを提供しています。
プラットフォームとしての機能だけでなく、国内外の事例紹介や公民連携の仕組み研究を行うメディアとしての役割も持っています。
(2) 公共R不動産の運営体制
公共R不動産は、全国の自治体から物件掲載や相談依頼を受けるだけでなく、NEXT PUBLIC AWARDという未来のパブリックを示すプロジェクトを発掘・応援するアワードも主催しています。
2024年で開設10周年を迎え、公民連携の潮目が変わる転換期にあたります。
(3) 公的不動産(PRE)との関係
公的不動産(PRE: Public Real Estate)とは、国や自治体が保有する不動産(庁舎、学校、公園、公営住宅等)のことです。公共R不動産は、これらのPREを有効活用するためのプラットフォームとして機能しています。
国土交通省の公的不動産(PRE)ポータルサイトとも連携しており、未利用地の売却・貸付情報を一元管理できます。
掲載物件の種類と探し方
公共R不動産で探せる物件の種類と、探し方を確認しましょう。
(1) 廃校・文化施設・公園など多様な物件
公共R不動産では、以下のような多様な物件が掲載されています。
- 廃校: 製造施設、観光施設、文化施設、オフィス、住宅等への転用事例あり
- 文化施設: 図書館、公民館、博物館等の遊休施設
- 公園: 公園内の施設(カフェ、売店等)の民間運営
- 温泉付き物件: 公営温泉施設等
- 公営住宅: 空き公営住宅の活用
物件の種類は多岐にわたり、用途に応じて検索できます。
(2) 公共不動産データベースの活用
2021年に正式リリースされた公共不動産データベースでは、全国1,700自治体の公共不動産情報を一元検索できます。地域、物件種別、用途などで絞り込み、希望に合った物件を探すことが可能です。
(3) 国土交通省のPREポータルサイトとの連携
国土交通省の公的不動産(PRE)ポータルサイトでは、未利用地の売却・貸付情報、民間提案窓口が一元管理されています。公共R不動産と連携しており、複数のプラットフォームで情報を確認できます。
公共不動産の活用事例
公共不動産の具体的な活用事例を見ていきましょう。
(1) NEXT PUBLIC AWARD 2024受賞プロジェクト
2024年のNEXT PUBLIC AWARDでは、「タルキプロジェクト」(農業と日常をつなぐ取り組み)がグランプリを受賞しました。大規模プロジェクトではなく、日常レベルの小さな取り組みが評価された点が特徴です。
2024年は8プロジェクトが応募し、5プロジェクトが最終プレゼンに進みました。前年の部門別から統合形式に変更され、「小さな公共」の視点が強調されました。
(2) 廃校活用の成功事例
廃校活用の成功には、地域住民の理解が重要です。成功事例では、最後の生徒の作品展示スペースを設けたり、見学スペースを開放したりして、地域との繋がりを維持しています。
製造施設、観光施設、文化施設、オフィス、住宅など、多様な用途での活用が報告されています。
(3) 「小さな公共」の視点
「小さな公共」とは、誰もが始められる日常レベルの公共空間活用を指します。大規模な予算や専門知識がなくても、地域の課題に対して小さな取り組みから始められる点が評価されています。
この視点は、公民連携の裾野を広げ、より多くの人が公共空間活用に関わる機会を提供しています。
公共R不動産の利用方法と手続き
公共R不動産を利用する方法と手続きについて確認しましょう。
(1) 自治体として物件を掲載する方法
自治体が未活用の公共不動産を掲載する場合は、公共R不動産の公式サイトから物件掲載・相談依頼が可能です。国土交通省のPREポータルサイトとも連携しており、未利用地の売却・貸付情報を一元管理できます。
(2) 民間事業者として物件を探す方法
民間事業者や個人が物件を探す場合は、公共不動産データベースで希望の地域・物件種別・用途で絞り込み検索ができます。気になる物件があれば、公共R不動産を通じて自治体に相談できます。
(3) 公民連携のスキーム(PFI、指定管理者制度等)
公民連携の形態は多様化しています。主なスキームには以下があります。
- PFI(Private Finance Initiative): 公共施設の設計・建設・維持管理・運営を民間が一括して行う手法
- 指定管理者制度: 公の施設の管理・運営を民間事業者・団体に委託する制度
- 包括的民間委託: 複数の業務を一括して民間に委託する手法
用途に応じて、適切なスキームを選択することが重要です。
(4) 補助金・税制優遇の活用
公共不動産活用には、文部科学省の廃校活用補助制度など、用途に応じた補助金制度があります。最新の制度情報は、文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」や国土交通省のPREポータルサイトで確認できます。
ただし、制度は変更される可能性があるため、執筆時点(2025年)の情報として、最新情報の確認をお勧めします。
まとめ:公共不動産活用の可能性
公共不動産の活用について、重要なポイントをまとめます。
- 公共R不動産: 未活用の公共不動産と利用希望者をマッチングするプラットフォーム(2015年開設)
- 廃校活用: 年間約450件発生、74.5%が活用済み、多様な用途で活用可能
- 公共不動産データベース: 全国1,700自治体の情報を一元検索
- 公民連携スキーム: PFI、指定管理者制度、包括的民間委託等、用途に応じた選択が可能
- 小さな公共: 日常レベルの取り組みも評価される傾向
公共不動産の活用には、地方自治法、会計法、各種規制の確認が必要です。専門家(行政書士、不動産コンサルタント等)への相談をお勧めします。
地域住民との合意形成も不可欠で、活用方針が地域ニーズと乖離すると反対運動のリスクがあります。公民連携プロジェクトを成功させるためには、地域との対話を大切にすることが重要です。
公共R不動産の公式サイト、国土交通省のPREポータルサイト、文部科学省「みんなの廃校プロジェクト」などが相談窓口となるため、興味がある方はまずこれらのサイトを確認することから始めましょう。
