固定資産税が上がる理由を理解する重要性
固定資産税が急に上がって驚いたことはありませんか?「評価額は下がっているのになぜ税額が上がるのか」「新築から数年で税額が2倍近くになった」という疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、固定資産税が上がる主な5つの理由(3年ごとの評価替え、新築住宅の減額措置期限切れ、住宅用地の特例適用外れ、負担調整措置、その他の要因)を、総務省や東京都小平市などの公式情報を元に解説します。
40-60代で自宅や投資用不動産を所有している方でも、固定資産税が上がる仕組みと対策を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は評価額×1.4%が標準税率で、3年ごとの評価替えで変動する
- 新築住宅の減額措置(戸建て3年、マンション5年)終了で税額が約2倍になる可能性
- 負担調整措置により、評価額据え置きでも税額が段階的に上昇する仕組み
- 住宅を解体すると住宅用地の特例が適用外れになり、土地の税額が最大6倍に増加
- 2024年度は評価替え年度で建築費高騰により家屋評価額が上昇傾向
(1) 固定資産税とは(評価額×1.4%が標準税率)
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人に課される地方税です。税額は以下の式で計算されます。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
課税標準額は原則として固定資産税評価額と同じですが、住宅用地の特例や負担調整措置により評価額より低くなる場合があります。
市町村(東京23区は都)が税額を決定し、毎年4月〜6月頃に納税通知書が届きます。納期は年4回(4月、7月、12月、2月など)に分けて納付します。
(2) なぜ評価額が変わらないのに税額が上がるのか
「評価額は前年と同じなのに税額が上がった」というケースは、負担調整措置が原因です。
負担調整措置とは、税負担の急激な変動を抑制するため、評価額に変更がなくても段階的に税額を引き上げる制度です。具体的には、前年度課税標準額が評価額の7割未満の場合、毎年5%ずつ引き上げられます。
この仕組みにより、評価額が据え置きでも税額だけが上昇するという現象が起きます。詳しくは後述の「住宅用地の特例適用外れと負担調整措置」で解説します。
(3) 通知書で評価額と税額の内訳を確認する
固定資産税が上がった原因を特定するには、納税通知書の内訳を確認することが重要です。
納税通知書には以下の情報が記載されています。
- 固定資産税評価額(土地・建物それぞれ)
- 課税標準額(特例適用後の金額)
- 税額(課税標準額×1.4%)
- 前年度との比較(評価額・税額の増減)
特に「評価額が下がっているのに税額が上がっている」場合は、負担調整措置が適用されている可能性があります。また、「建物の評価額が急に上がった」場合は、評価替え年度(2024年、2027年など)による再評価が原因です。
通知書の見方が分からない場合は、市町村の固定資産税担当窓口に問い合わせることができます。
理由①:3年ごとの評価替えと地価・建築費の動向
(1) 評価替えとは(2024年、2027年など)
評価替えとは、固定資産税評価額を3年ごとに見直す制度です。次回の評価替えは2027年度です。
評価替えは、地価や建築費の変動を税額に反映させるために実施されます。地価が上昇している地域では土地の評価額が上がり、建築費が高騰している時期には建物の評価額が上がる傾向があります。
評価替え年度以外でも、地価が大幅に下落した場合は価格修正が実施されることがあります。
(2) 土地の評価方法(公示地価の7割を目途)
土地の固定資産税評価額は、公示地価の7割を目途に決定されます。
公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点で発表する標準地の価格です。固定資産税評価額は、公示地価の約70%が目安とされています。
例:
- 公示地価が1㎡あたり30万円の場合
- 固定資産税評価額 = 30万円 × 0.7 = 21万円/㎡
地価が上昇している地域では、評価替えのたびに土地の評価額が上がり、固定資産税も増加します。逆に地価が下落している地域では評価額が下がる可能性があります。
(3) 建物の評価方法(2024年度は建築費高騰で上昇)
建物の固定資産税評価額は、再建築価格方式で計算されます。これは、同じ建物を再建築した場合の費用を基準にする方法です。
評価額 = 再建築費評点 × 経年減点補正率 × 評点1点あたりの価額
- 再建築費評点:建物の規模・構造・設備などから算出
- 経年減点補正率:築年数に応じて減価(下限は評価額の20%)
- 評点1点あたりの価額:木造1.1円、非木造1.0円(自治体により異なる)
築年数が経過すると経年減点補正率により評価額は下がりますが、**下限は評価額の20%**で、それ以上は下がりません。このため、築古物件でも一定の評価額が維持されます。
(4) 木造家屋1.11倍、非木造家屋1.07倍の補正率
2024年度の評価替えでは、建築費高騰を反映して再建築費評点補正率が引き上げられました。
MONEYIZMによると、2024年度の補正率は以下の通りです。
| 構造 | 補正率 |
|---|---|
| 木造家屋 | 1.11倍 |
| 非木造家屋 | 1.07倍 |
これは、新型コロナウイルス感染症以降の建築資材高騰や人件費上昇を反映したものです。この補正率により、前回評価替え(2021年度)と比較して家屋の評価額が上昇し、固定資産税が増加する可能性があります。
ただし、経年減点補正率(築年数による減価)も同時に適用されるため、全ての建物で税額が上がるわけではありません。築年数が浅い建物ほど影響を受けやすい傾向があります。
理由②:新築住宅の減額措置期限切れ(戸建て3年、マンション5年)
(1) 新築住宅の減額措置とは(固定資産税が半額)
新築住宅の減額措置とは、新築住宅の固定資産税を一定期間半額にする特例です。
対象となるのは、床面積が50㎡以上280㎡以下の新築住宅(居住部分)です。減額期間は以下の通りです。
| 住宅種別 | 減額期間 |
|---|---|
| 一般の戸建て住宅 | 3年間 |
| 3階建て以上の耐火・準耐火建築物(マンション等) | 5年間 |
| 長期優良住宅(戸建て) | 5年間 |
| 長期優良住宅(マンション等) | 7年間 |
減額措置が適用されている間は、建物の固定資産税額(120㎡までの部分)が半額になります。土地の固定資産税は減額の対象外です。
(2) 期限切れ後の税額変化(約2倍になる可能性)
減額措置の期限が切れると、建物の固定資産税が約2倍になります。
例(新築戸建ての場合):
- 建物評価額:1,000万円
- 土地評価額:2,000万円(住宅用地の特例適用で課税標準額は333万円)
減額措置適用中(1〜3年目):
- 建物の税額:1,000万円 × 1.4% × 50% = 7万円
- 土地の税額:333万円 × 1.4% = 4.7万円
- 合計:11.7万円
減額措置終了後(4年目以降):
- 建物の税額:1,000万円 × 1.4% = 14万円
- 土地の税額:333万円 × 1.4% = 4.7万円
- 合計:18.7万円
増加額:7万円(約1.6倍)
この増加は建物部分のみに適用されるため、全体で見ると約1.5〜2倍の増加になります。新築住宅を購入する際は、減額措置終了後の税額増加を資金計画に組み込むことが重要です。
(3) 長期優良住宅の優遇(減額期間が2年延長、2026年3月末まで)
長期優良住宅の認定を取得すると、減額措置期間が2年延長されます。
| 住宅種別 | 通常の減額期間 | 長期優良住宅の減額期間 |
|---|---|---|
| 戸建て住宅 | 3年間 | 5年間 |
| マンション等 | 5年間 | 7年間 |
この優遇措置は2026年3月末までの特例措置です(長谷工の住まい)。
長期優良住宅の認定を受けるには、耐久性、省エネ性、維持管理のしやすさなどの基準を満たす必要があります。新築時に認定を取得することで、固定資産税の減額期間が延長され、長期的な税負担を軽減できます。
理由③:住宅用地の特例適用外れと負担調整措置
(1) 住宅用地の特例(小規模住宅用地は評価額の1/6)
住宅用地の特例とは、住宅の敷地に対して固定資産税を軽減する制度です。
| 区分 | 対象面積 | 課税標準額 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額 × 1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額 × 1/3 |
例(土地200㎡、評価額2,000万円の場合):
- 課税標準額 = 2,000万円 × 1/6 = 333万円
- 税額 = 333万円 × 1.4% = 4.7万円
この特例により、住宅の敷地は大幅に税額が軽減されています。
(2) 更地にすると税額が最大6倍に増加
住宅を解体して更地にすると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大6倍に増加します。
例(前述の土地を更地にした場合):
- 課税標準額 = 2,000万円(特例なし)
- 税額 = 2,000万円 × 1.4% = 28万円
増加額:23.3万円(約6倍)
空き家を解体する際は、この税額増加を考慮する必要があります。特に、売却予定がない場合は、解体のタイミングを慎重に検討することが重要です。
(3) 負担調整措置(評価額据え置きでも税額が段階的に上昇)
負担調整措置とは、税負担の急激な変動を抑制するため、評価額に変更がなくても段階的に税額を引き上げる制度です。
東京都小平市によると、負担調整措置は以下のように適用されます。
商業地等(住宅用地以外)の場合:
- 前年度課税標準額が評価額の60%未満 → 評価額の5%を加算
- 前年度課税標準額が評価額の60%以上70%未満 → 評価額の2.5%を加算
- 前年度課税標準額が評価額の70%以上 → 据え置き
住宅用地の場合:
- 前年度課税標準額が評価額の100%未満 → 評価額の5%を加算(ただし、評価額の20%を下限とする)
この仕組みにより、評価額が変わらなくても税額が毎年少しずつ上昇するケースがあります。
(4) 前年度課税標準額が評価額の7割未満の場合の引き上げ
例(商業地等、評価額1,000万円の場合):
1年目:
- 前年度課税標準額:500万円(評価額の50%)
- 加算額:1,000万円 × 5% = 50万円
- 今年度課税標準額:550万円
- 税額:550万円 × 1.4% = 7.7万円
2年目:
- 前年度課税標準額:550万円(評価額の55%)
- 加算額:1,000万円 × 5% = 50万円
- 今年度課税標準額:600万円
- 税額:600万円 × 1.4% = 8.4万円
このように、評価額が据え置きでも税額が段階的に上昇します。この措置は、評価額と課税標準額の乖離を徐々に解消し、税負担の公平性を確保するためのものです。
理由④⑤⑥:改修・増築、課税ミス、特定空き家指定
(1) 大規模リフォーム・増築による評価額上昇
建物に大規模なリフォームや増築を行うと、固定資産税評価額が上昇する場合があります。
評価額が上がる主なケースは以下の通りです。
- 増築(床面積が増加)
- 建物の用途変更(倉庫を住宅に改修など)
- 大規模な設備更新(空調設備、給排水設備の全面交換など)
増築の場合、建築確認申請を提出するため、市町村が把握し評価額に反映されます。一方、リフォームの場合は、評価額に反映されないケースもありますが、大規模な改修は評価額上昇の対象になることがあります。
事前に市町村の固定資産税担当窓口に確認することをおすすめします。
(2) 課税ミスの可能性(納税通知書の確認)
固定資産税の課税ミスは意外と多く発生しています。総務省の調査では、全国で数万件の課税ミスが報告されています。
主な課税ミスのケースは以下の通りです。
- 建物を解体したのに評価額が残っている
- 住宅用地の特例が適用されていない
- 評価額の計算ミス
- 地目(宅地、田、畑等)の誤り
納税通知書に不明な点や疑問がある場合は、市町村の固定資産税担当窓口に問い合わせることができます。課税ミスが判明した場合、過去5年分まで遡って還付を受けられることがあります。
(3) 特定空き家指定(2025年問題で急増リスク)
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大6倍に増加します。
特定空き家とは、以下の状態にある空き家です。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
2025年問題(団塊世代が75歳以上になる)により、空き家が急増することが予想されています。長谷工の住まいによると、特定空き家指定リスクが高まっているとされています。
空き家を所有している場合は、定期的な管理(草刈り、換気、清掃等)を行い、特定空き家指定を避けることが重要です。売却や賃貸も検討しましょう。
まとめ:固定資産税増額への対策と確認ポイント
固定資産税が上がる主な理由は以下の5つです。
- 3年ごとの評価替えと地価・建築費の動向(2024年度は建築費高騰で家屋評価額上昇)
- 新築住宅の減額措置期限切れ(戸建て3年、マンション5年で税額約2倍)
- 住宅用地の特例適用外れ(更地化で税額最大6倍)
- 負担調整措置(評価額据え置きでも税額が段階的に上昇)
- その他の理由(改修・増築、課税ミス、特定空き家指定)
固定資産税が上がった場合の確認ポイントは以下の通りです。
- 納税通知書の内訳を確認(評価額・課税標準額・税額の変化)
- 評価替え年度かどうかを確認(次回は2027年度)
- 新築住宅の減額措置終了時期を確認(4年目または6年目)
- 住宅用地の特例が適用されているかを確認
- 課税ミスの可能性を検討(不明な点は市町村に問い合わせ)
固定資産税を抑える対策としては、以下の方法があります。
- 長期優良住宅の認定取得(減額期間2年延長)
- 住宅用地の特例を維持(空き家も住宅として管理)
- 特定空き家指定を避ける(定期的な管理、売却・賃貸の検討)
- 課税ミスがないか確認(過去5年分まで還付可能)
固定資産税の計算は個別事情により大きく異なるため、詳細は税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをおすすめします。また、税制は改正される可能性があるため、最新情報を確認してください。


