沖縄で中古一戸建てが注目される理由
沖縄県で中古一戸建ての購入を検討されている方は、「価格相場はどれくらいか」「沖縄特有の注意点は何か」と情報収集されていることでしょう。
沖縄は移住・セカンドハウス・投資目的での中古一戸建て需要が増加しており、観光需要と賃貸市場の活況も手伝って、不動産市場が活況を呈しています。この記事では、沖縄の中古一戸建て価格相場、エリア別の特性、購入の流れ、塩害・台風・シロアリなど沖縄特有の注意点を、国土交通省の取引価格データや沖縄県の公式情報を元に解説します。
初めて沖縄で不動産を購入する方でも、エリアの選び方や購入手続き、沖縄特有のリスクへの対策を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 沖縄の中古戸建て価格帯は2,400万円〜4,800万円が目安で、2024年平均取引価格は3,507万円(前年比+4.1%)
- 2025年公示地価は全用途平均+7.2%(全国2位の上昇率)で、12年連続上昇中
- 流通が多いのは本島中南部エリア(那覇市・豊見城市・沖縄市・うるま市など)
- 塩害対策(金属部分の錆・腐食確認)、台風対策(耐風性能確認)、シロアリ対策(防蟻処理履歴確認)が重要
- 沖縄ではRC造(鉄筋コンクリート造)が主流で、台風・塩害への耐久性が高い
(1) 移住・セカンドハウス・投資目的での需要増加
沖縄は温暖な気候と豊かな自然環境から、移住先として人気が高まっています。リモートワークの普及により、都心から沖縄へ移住する方が増加しており、中古一戸建てへの需要も高まっています。
また、セカンドハウスや投資用物件としての購入も増えています。観光需要が高く、民泊や賃貸として活用できるため、資産運用の選択肢として注目されています。
(2) 観光需要と賃貸市場の活況
沖縄は観光客数が年々増加しており、宿泊施設や民泊の需要が高いエリアです。中古一戸建てを購入し、観光客向けの民泊や賃貸物件として活用する事例も増えています。
観光需要の高さは、不動産の資産価値を支える要因の一つです。ただし、民泊として活用する場合は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の規制を確認し、自治体への届出が必要です。
(3) 持ち家比率が全国最低で需要が強い背景
沖縄県は持ち家比率が全国で最も低く、賃貸住宅に住む世帯が多いエリアです。このため、住宅購入の潜在需要が高く、中古市場も活況です。
持ち家志向が強まる中、新築よりも価格が割安な中古一戸建てへの関心が高まっており、市場の流動性も比較的高い状況です。
沖縄の中古一戸建て価格相場と地価動向
(1) 価格帯の目安(2,400万円〜4,800万円)
沖縄県の中古一戸建て価格帯は、2,400万円〜4,800万円が目安です(建物面積100㎡程度)。本島中南部エリア(那覇市・豊見城市・沖縄市・うるま市など)を中心に、物件が流通しています。
国土交通省の不動産取引価格情報によると、沖縄県の中古戸建て取引価格は、立地・築年数・建物の状態により大きく変動します。
(2) 間取り別の価格事例(1LDK〜3LDK以上)
間取りにより価格は大きく異なります。
| 間取り | 価格帯の目安 |
|---|---|
| 1LDK | 約2,435万円 |
| 2LDK | 約3,000万円〜3,500万円 |
| 3LDK以上 | 約4,690万円 |
2024年の平均取引価格は3,507万円(前年比+4.1%)で、価格は緩やかに上昇しています。
(3) 2025年公示地価の推移(全国2位の上昇率+7.2%)
2025年の沖縄県の公示地価は、全用途平均で前年比+7.2%(全国2位の上昇率)と高い伸びを記録しています。住宅地+7.3%、商業地+7.0%と、いずれも高い上昇率です。
| 用途 | 2025年公示地価 | 前年比 |
|---|---|---|
| 全用途平均 | 16万538円/㎡ | +7.2% |
| 住宅地 | — | +7.3% |
| 商業地 | — | +7.0% |
12年連続で地価が上昇しており、観光客増加と県内住宅需要の高まりが要因です。
(4) 市町村別の地価動向(那覇・石垣・宮古島等)
市町村別では、以下のような動向が見られます。
- 那覇市: 県庁所在地として商業施設・医療施設が充実、住宅需要が安定
- 豊見城市: 那覇空港に近く利便性が高い、ファミリー層に人気
- 石垣市・宮古島市: 離島エリアで観光需要が高く、地価上昇が顕著
- 恩納村: 住宅地で全国1位の上昇率+29.0%(2024年データ)
離島エリア(石垣市・宮古島市)は物件数が限られますが、観光需要により価格上昇が続いています。
エリア別の特性と物件選びのポイント
(1) 本島中南部エリア(那覇市・豊見城市・沖縄市・うるま市)
本島中南部エリアは、沖縄県で最も人口が集中し、物件の流通が多いエリアです。
- 那覇市: 県庁所在地、商業施設・医療施設・交通機関が充実、利便性が高い
- 豊見城市: 那覇空港に近く、新興住宅地が多い、ファミリー層に人気
- 沖縄市: 中部エリアの中心地、比較的価格が割安
- うるま市: 東海岸に位置、海が近く自然環境が豊か
中南部エリアは利便性と価格のバランスが良く、初めて沖縄で不動産を購入する方に適しています。
(2) 本島北部エリアと開発動向(ジャングリア沖縄等)
本島北部エリアは、自然環境が豊かで静かな住環境が魅力です。2025年7月には「ジャングリア沖縄」がグランドオープン予定で、北部エリアの地価上昇要因となっています。
北部エリアは物件数が中南部より少なく、車での移動が必須ですが、自然を重視する方には魅力的なエリアです。
(3) 離島エリア(石垣市・宮古島市)の物件数と市場特性
石垣市・宮古島市などの離島エリアは、観光需要が高く地価上昇が顕著です。ただし、物件数が限られ、本島とは市場動向が異なります。
離島エリアは観光客向けの民泊や賃貸需要が高く、投資目的での購入も多く見られます。ただし、生活利便性は本島より低く、医療施設・商業施設が限られる点に注意が必要です。
(4) 海岸からの距離と塩害リスクの関係
沖縄は塩害が激しく、海岸から近い物件は金属部分の錆・腐食が進みやすい特性があります。
塩害のリスク:
- 外壁の金属部分(サッシ、手すり等)の錆
- 給湯器・エアコン室外機などの設備の腐食
- 車の錆(ガレージがあっても塩分の影響を受ける)
海岸から500m以内の物件は特に塩害リスクが高く、外壁・設備の状態を入念に確認する必要があります。
中古一戸建て購入の流れと手続き
(1) 物件探しから契約までのステップ
中古一戸建て購入の流れは以下の通りです。
- 予算と希望条件の整理: 物件価格+諸費用+リフォーム費用を含めた総額を試算
- エリアの絞り込み: 利便性、塩害リスク、台風リスク、観光需要を確認
- 物件情報の収集: 不動産ポータルサイト、地元不動産会社への相談
- 内覧・現地調査: 建物状態、塩害・シロアリの確認、周辺環境を確認
- 購入申し込み: 買付証明書の提出(法的拘束力なし)
- 重要事項説明: 宅地建物取引士による説明、塩害・台風リスクを確認
- 売買契約: 手付金(物件価格の10%程度)を支払い
- 住宅ローン審査: 金融機関への申し込み、本審査
- 決済・引き渡し: 残代金の支払い、所有権移転登記
(2) 木造とRC造(鉄筋コンクリート造)の選択
沖縄では、RC造(鉄筋コンクリート造)が主流です。台風・塩害への耐久性が高く、長期的なメンテナンス費用を抑えられます。
RC造のメリット:
- 台風・塩害への耐久性が高い
- 耐震性・耐火性に優れる
- 遮音性が高い
RC造のデメリット:
- 初期費用が木造より高め
- 湿気がこもりやすい(高温多湿の沖縄では換気が重要)
木造のメリット:
- 初期費用が安い
- 通気性が良く、湿気対策がしやすい
木造のデメリット:
- 塩害による錆・腐食が進みやすい
- シロアリ被害リスクが高い(防蟻処理が必須)
近年は木造住宅も増加していますが、塩害・シロアリ対策が十分に施されているか確認が重要です。
(3) 建物診断と耐震性・耐風性能の確認
中古一戸建て購入前に、専門家による建物診断を受けることを強く推奨します。
確認事項:
- 外壁・屋根の状態(ひび割れ、錆、塗装の劣化)
- 給湯器・エアコン室外機などの設備の腐食状況
- シロアリ被害の有無(特に木造住宅)
- 耐風性能(窓ガラスの強度、雨戸の有無)
- 過去の台風被害履歴
台風は沖縄の通り道であり、屋根・窓・外壁の耐風性能が低いと、修繕費用が高額になる可能性があります。
(4) 中古購入+リフォームの場合の注意点
中古一戸建てをリフォームして住む場合、以下の点に注意が必要です。
住宅ローンと家賃の二重負担:
- 引渡し後にリフォーム工事を開始する場合、工事期間中は現在の家賃と住宅ローンの二重負担が発生
- 工事期間(通常1〜3ヶ月)を考慮した資金計画が必要
リフォーム費用を住宅ローンに含める方法:
- 一部金融機関では、中古住宅購入費用+リフォーム費用を一体で借り入れ可能
- 事前に金融機関に相談し、リフォーム見積もりを取得することを推奨
沖縄特有の注意点と対策(塩害・台風・シロアリ)
(1) 塩害対策:金属部分の錆・腐食確認と外壁・設備の状態
沖縄は海に囲まれており、塩害が激しいエリアです。特に海岸から近い物件は、以下の点を入念に確認しましょう。
確認事項:
- 外壁の金属部分(サッシ、手すり、雨どい等)の錆
- 給湯器・エアコン室外機などの設備の腐食
- 車のガレージ内の錆(塩分の影響を受ける)
対策:
- 定期的な水洗い(塩分を洗い流す)
- 防錆処理が施された設備の選択
- 海岸から500m以上離れた物件を選ぶ
(2) 台風対策:屋根・窓・外壁の耐風性能と過去の被害履歴
沖縄は台風の通り道であり、年間数回の台風が襲来します。
確認事項:
- 屋根の状態(瓦のずれ、破損、防水シートの劣化)
- 窓ガラスの強度(強化ガラス、雨戸の有無)
- 外壁のひび割れ(雨漏りの原因)
- 過去の台風被害履歴(修繕記録の確認)
対策:
- RC造の物件を選ぶ(耐風性能が高い)
- 雨戸・シャッターが設置されているか確認
- 屋根・外壁の定期的なメンテナンス
(3) シロアリ対策:防蟻処理の履歴と現状確認(特に木造住宅)
沖縄は高温多湿のため、シロアリ被害リスクが高いエリアです。特に木造住宅は、防蟻処理の履歴と現状確認が必須です。
確認事項:
- 防蟻処理の実施履歴(通常5年ごとに実施)
- 床下・柱・梁のシロアリ被害の有無
- 木材の腐朽・変色
対策:
- 購入前に専門業者によるシロアリ診断を受ける
- 定期的な防蟻処理(5年ごと)
- RC造の物件を選ぶ(シロアリ被害リスクが低い)
(4) 諸費用・税金と住宅ローンの選び方
中古一戸建て購入時には、物件価格以外に以下の諸費用がかかります。
| 項目 | 内容 | 目安額 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税 | 物件価格3,000万円の場合:約105万円 |
| 登記費用 | 所有権移転登記、抵当権設定登記、登録免許税 | 20万円〜40万円 |
| 印紙税 | 売買契約書・住宅ローン契約書に貼付 | 1万円〜3万円 |
| 不動産取得税 | 土地・建物の固定資産税評価額×3%(軽減措置あり) | 30万円〜100万円 |
| 火災保険・地震保険 | 10年一括払い | 20万円〜50万円 |
| 建物診断費用 | 専門家による建物診断 | 5万円〜15万円 |
| その他 | 引越し費用、家具購入費 | 30万円〜80万円 |
諸費用は、基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意する必要があります。
まとめ:沖縄で理想の中古一戸建てを見つけるために
沖縄の中古一戸建て価格相場は、2,400万円〜4,800万円が目安で、2024年の平均取引価格は3,507万円(前年比+4.1%)です。2025年公示地価は全用途平均+7.2%(全国2位の上昇率)で、12年連続上昇中です。
流通が多いのは本島中南部エリア(那覇市・豊見城市・沖縄市・うるま市など)で、利便性と価格のバランスが良好です。離島エリア(石垣市・宮古島市)は観光需要が高く地価上昇が顕著ですが、物件数が限られます。
沖縄特有の塩害・台風・シロアリ対策が重要で、購入前に専門家による建物診断を受けることを強く推奨します。RC造(鉄筋コンクリート造)の物件は台風・塩害への耐久性が高く、長期的なメンテナンス費用を抑えられます。
購入前に国土交通省の不動産取引価格情報で相場を確認し、宅地建物取引士の重要事項説明を受け、不明点は専門家に相談することで、後悔のない中古一戸建て購入ができます。
