名古屋市のマンション市場の現状
名古屋市でマンション購入や売却を検討する際、「どのエリアを選べば良いのか」「価格相場はどれくらいなのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、名古屋市のマンション市場の現状、エリア別の特徴と価格相場、購入・売却時のポイントを、複数の不動産市場データを元に解説します。
東海地方の中心都市として発展する名古屋市で、ご自身のライフスタイルに合ったマンション選びができるようになります。
この記事のポイント
- 名古屋市の中古マンション価格は約2,770万円(70㎡、2024年)で、2015年から10年間で約46%上昇
- 人気エリアは中村区(名古屋駅周辺)、中区(栄・錦)、千種区(覚王山・本山・星ヶ丘)の3つ
- リニア中央新幹線開通(2027年予定)を見越した名駅エリアと再開発が進む栄エリアが特に注目
- 契約前に売買契約書と重要事項説明書を自宅で確認し、新耐震基準を満たすか確認することが重要
- 東京・大阪と比べて価格優位性があり、都心機能を持ちながら比較的購入しやすい
名古屋市マンション市場の概要と価格動向
(1) 10年間の価格推移:2015年から2024年で約46%上昇
名古屋市の中古マンション価格は、2015年の約1,903万円から2024年の約2,770万円へと、10年間で約46%上昇しました。特に2013年の金融緩和以降は92%の上昇を記録しています。
2024年1-3月に価格がピークを迎え、その後は微減から安定傾向に転じています。成約件数は2024年に減少しましたが、2025年には増加傾向に転じており、市場は活発な状態が続いています。
(2) 新築と中古の価格差
2025年6月時点、名古屋市中区の新築マンション価格は70㎡クラスで㎡単価78.03万円と大きく上昇しており、70㎡換算で約5,462万円となります。一方、中古マンションは約2,770万円(70㎡、2024年)のため、新築と中古で約2倍の価格差があります。
(3) 東京・大阪との比較:価格優位性
名古屋市のマンション価格は、東京・大阪の主要都市と比べて一般的に低く抑えられていると言われており、価格優位性があります。都心機能を持ちながら、比較的購入しやすい価格帯であることが、名古屋市の大きな魅力です。
エリア別の特徴と価格相場
(1) 中村区(名古屋駅周辺):リニア開通で注目
中村区は名古屋駅を中心とするエリアで、リニア中央新幹線開通(2027年予定)を見越した開発が進んでいます。東京~名古屋間を約40分で結ぶリニア開通により、ビジネス・観光の拠点としてさらなる発展が期待されています。
ただし、リニア開通による価格上昇は既に一部織り込まれている可能性があるため、開通時期の変更による影響には注意が必要です。
(2) 中区(栄・錦):再開発で活性化
中区は栄・錦エリアを中心に、複数の再開発プロジェクトが進行中です。商業・ビジネスの中心地として活気があり、都心生活を希望する方に人気のエリアです。
新築マンション価格は70㎡で約5,462万円(2025年6月)と高額ですが、中古マンションであれば比較的手頃な価格で購入できる物件もあります。
(3) 千種区(覚王山・本山・星ヶ丘):文教地区で人気
千種区の覚王山・本山エリアは、文教地区として知られ、学校が多く教育環境が整っています。高級住宅街で治安が良く、おしゃれなカフェや雑貨店も多いため、ファミリー層に人気があります。
星ヶ丘駅周辺も人気エリアで、駅から少し離れると静かな住宅地が広がります。坪単価は平均170万円台から260万円台と、エリアにより幅があります。
(4) 東区・名東区:交通利便性と住環境のバランス
東区・名東区は、交通利便性と住環境のバランスが良いエリアです。名古屋駅や栄へのアクセスが良く、静かな住宅地も多いため、通勤と子育て環境を両立したい方に適しています。
マンション購入時のポイントと注意点
(1) 契約書と重要事項説明書の確認方法
マンション購入時には、売買契約書と重要事項説明書のコピーを事前にもらい、自宅でじっくり確認することが重要です。重要事項説明書は、宅地建物取引士が買主に対して物件の重要事項を説明する際に用いる書類で、価格・引渡時期・特約等が記載されます。
契約当日に初めて内容を確認すると、疑問点を十分に解消できないまま契約してしまうリスクがあります。事前に確認し、不明点は不動産会社に質問しましょう。
(2) 新耐震基準の確認
新耐震基準は、1981年6月以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準で、震度6強~7の地震でも倒壊しない構造が求められます。中古マンション購入時には、新耐震基準を満たしているかを必ず確認してください。
新築マンションの場合は、モデルルームで耐震対策・環境対策・防犯対策を確認することをおすすめします。
(3) 管理状態とコミュニティの確認
中古マンションでは、管理状態とコミュニティの雰囲気も重要なチェックポイントです。共用部分の清掃状況、修繕履歴、管理費・修繕積立金の滞納状況などを確認し、長期的に安心して住めるかを判断しましょう。
マンション売却時のポイントと戦略
(1) 売却タイミングの見極め方
名古屋市のマンション価格は2024年1-3月にピークを迎え、その後微減から安定傾向にあります。金利上昇や人口減少により、将来的に価格下落のリスクもあるため、売却を検討している方は市場動向を注視することが重要です。
2025年は成約件数が増加傾向にあり、買い手の関心が高まっています。売却タイミングの判断に迷う場合は、不動産コンサルタントやファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
(2) 査定前の準備とポイント
売却査定を受ける前に、室内の清掃・整理整頓を行い、できるだけ良い印象を与えることが大切です。また、購入時の書類(売買契約書、重要事項説明書、管理規約等)を準備しておくと、スムーズに査定が進みます。
(3) 複数の不動産会社への相談
マンション売却時には、複数の不動産会社に査定を依頼し、価格や販売戦略を比較することが重要です。1社だけに依頼すると、適正価格や市場動向を正確に把握できない可能性があります。
大手不動産会社は広範囲のネットワークを持ち、地域密着型の不動産会社は地元の詳細な市場情報を持っているため、それぞれの特徴を理解した上で選びましょう。
まとめ:名古屋市でのマンション選びのポイント
名古屋市のマンション市場は、2015年から2024年にかけて約46%価格が上昇し、2024年1-3月にピークを迎えた後、微減から安定傾向にあります。人気エリアは中村区(名古屋駅周辺)、中区(栄・錦)、千種区(覚王山・本山・星ヶ丘)の3つで、リニア中央新幹線開通や再開発により今後も注目が集まります。
購入時には契約書と重要事項説明書を事前に確認し、新耐震基準を満たすか、管理状態は良好かをチェックすることが重要です。売却時には市場動向を見極め、複数の不動産会社に相談しながら適切なタイミングを判断しましょう。
東京・大阪と比べて価格優位性のある名古屋市で、信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら、ご自身に合ったマンション選びを進めてください。
