なぜ鎌倉の戸建てが注目されるのか
鎌倉で戸建て購入を検討する際、「価格相場はどのくらいか」「海側と駅近ではどう違うのか」と疑問に思う方は多いでしょう。
この記事では、鎌倉の戸建て市場の最新動向、エリア別の価格相場、鎌倉での暮らしのメリット・デメリット、購入前に知っておくべきリスクを、公的データや現地スタッフの実体験をもとに解説します。
初めて鎌倉での物件購入を検討する方でも、必要な知識を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 鎌倉の土地価格は2025年平均で約94万円/坪、前年比+5.33%と上昇傾向
- 中古戸建て価格は2,500〜4,500万円が一般的、高級物件は2億円超
- 人気エリアは海側(七里ヶ浜、由比ヶ浜)と駅近(鎌倉駅、北鎌倉駅、大船駅)に二分
- 年間約2,000万人の観光客が訪れ、観光シーズンは道路混雑が激しい
- 南海トラフ巨大地震時、由比ヶ浜には11〜13mの津波が想定されており、海側エリアでは事前にハザードマップ確認が必須
鎌倉の戸建て市場の基礎知識
(1) 物件価格の相場(新築・中古別)
鎌倉市の戸建て物件は、新築・中古を合わせて682件以上が市場に出ており(2025年時点)、価格帯は非常に幅広いのが特徴です。
中古戸建て(343件):
- 3階建て: 2,500〜3,500万円が一般的
- 2階建て: 3,000〜4,500万円が一般的
- 高級物件: 2億円超
新築戸建て(339件):
- 一般的な物件: 5,000〜7,000万円
- 高級物件: 2億円超
(出典: SUUMO「鎌倉市の中古住宅・中古一戸建て購入情報」)
価格を決定する主な要素は以下の通りです。
| 要素 | 影響 |
|---|---|
| エリア | 海側>駅近>その他の順で高価格帯 |
| 築年数 | 新築は中古より高いが、リノベーション済み物件も人気 |
| 駅からの距離 | 徒歩10分以内の物件は高額 |
| 眺望 | 海が見える物件は特に高価格帯 |
(2) 土地価格の推移と2025年の動向
鎌倉市の土地価格は上昇傾向にあり、2025年の公示地価平均は**284,500円/㎡(約94万円/坪)で、前年比+5.33%**の上昇を記録しています。
| 年度 | 公示地価平均(円/㎡) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2024年 | 約270,000円/㎡ | - |
| 2025年 | 284,500円/㎡ | +5.33% |
住宅地の上昇率は**+4.85%、商業地は+8.21%**と、特に商業地の伸びが顕著です。
(出典: 国土交通省「鎌倉市の土地価格相場・公示地価・基準地価マップ」2025年版)
この上昇傾向の背景には、リモートワーク普及による移住需要の増加、東京から約1時間というアクセスの良さ、歴史的景観と自然環境のブランド力があります。
(3) 物件タイプ別の特徴
鎌倉の戸建て物件は、立地と利用目的によって以下のタイプに分類されます。
海側エリア(七里ヶ浜、由比ヶ浜、材木座):
- 海の眺望を重視する方向け
- 別荘利用または定住の両方に人気
- 津波リスク・塩害のリスクあり
駅近エリア(鎌倉駅、北鎌倉駅、大船駅):
- 通勤利便性を重視する方向け
- 定住・子育て世帯に人気
- 観光客の影響を受けやすい
その他のエリア(西鎌倉、今泉台等):
- 静寂性と自然環境を重視する方向け
- 比較的リーズナブルな価格帯
- 車での移動が前提
購入前に利用目的を明確にしておくことで、最適なエリアを選択できます。
エリア別の特徴と価格相場
(1) 海側エリア(七里ヶ浜、由比ヶ浜、材木座)の魅力と価格
**七里ヶ浜(しちりがはま)**は、鎌倉市西部の海岸線沿いエリアで、海の見える高級住宅地として人気です。
特徴:
- 海の眺望が楽しめる
- 江ノ島電鉄「七里ヶ浜駅」から徒歩圏内
- おしゃれなカフェやレストランが点在
価格相場:
- 土地: 約120〜200万円/坪
- 戸建て: 5,000万円〜2億円超
**由比ヶ浜(ゆいがはま)**は、鎌倉駅から徒歩圏内の海岸エリアで、夏は海水浴場として賑わいます。
特徴:
- 鎌倉駅まで徒歩15分程度
- 海と駅の両方にアクセス良好
- 観光客が多く、夏季は特に混雑
価格相場:
- 土地: 約100〜180万円/坪
- 戸建て: 4,500万円〜1億5,000万円
**材木座(ざいもくざ)**は、由比ヶ浜の東側に位置し、落ち着いた雰囲気のエリアです。
特徴:
- 由比ヶ浜よりも観光客が少ない
- 海に近く、サーフィンやマリンスポーツが楽しめる
- 鎌倉駅まで徒歩20分程度
価格相場:
- 土地: 約80〜150万円/坪
- 戸建て: 3,500万円〜1億円
(2) 駅周辺エリア(鎌倉駅、北鎌倉駅、大船駅)の利便性
鎌倉駅周辺は、鎌倉市の中心部で、歴史的な寺社や観光スポットが集中しています。
特徴:
- JR横須賀線・江ノ島電鉄が利用可能
- 東京まで約1時間
- 商業施設、飲食店が充実
- 観光客が多く、特に休日は混雑
価格相場:
- 土地: 約161.3万円/坪(鎌倉駅周辺)
- 戸建て: 5,000万円〜2億円超
北鎌倉駅周辺は、静寂性と利便性を両立できるエリアです。
特徴:
- JR横須賀線が利用可能
- 鎌倉駅よりも落ち着いた雰囲気
- 円覚寺、建長寺等の寺社に囲まれた自然環境
価格相場:
- 土地: 約100〜160万円/坪
- 戸建て: 4,000万円〜1億5,000万円
大船駅周辺は、JR東海道線・横須賀線・湘南モノレールが利用できる交通の要所です。
特徴:
- 東京まで約50分と最も通勤利便性が高い
- 商業施設、スーパー、病院等の生活インフラが充実
- 鎌倉駅よりも観光客が少なく、生活しやすい
価格相場:
- 土地: 約60〜100万円/坪
- 戸建て: 3,000万円〜8,000万円
(3) その他のエリア(西鎌倉、今泉台等)の特色
西鎌倉は、鎌倉駅と大船駅の中間に位置し、静かな住宅地として人気です。
特徴:
- 湘南モノレール「西鎌倉駅」が最寄り
- 鎌倉駅、大船駅の両方にアクセス可能
- 観光客が少なく、落ち着いた環境
価格相場:
- 土地: 約70〜120万円/坪
- 戸建て: 3,500万円〜1億円
今泉台は、鎌倉市北部の高台に位置し、自然豊かな住宅地です。
特徴:
- 大船駅までバスで約10分
- 坂道が多く、車が必須
- 緑豊かで静かな環境
価格相場:
- 土地: 約50〜90万円/坪
- 戸建て: 2,500万円〜6,000万円
鎌倉での暮らし:メリットとデメリット
(1) 自然・歴史環境と文化的魅力
鎌倉の最大の魅力は、自然環境と歴史的景観が調和した住環境です。
自然環境:
- 海(由比ヶ浜、材木座、七里ヶ浜等)と山(鎌倉アルプス等)の両方が楽しめる
- ハイキングコースが充実
- 四季折々の自然を身近に感じられる
歴史的景観:
- 鶴岡八幡宮、建長寺、円覚寺等の歴史的寺社
- 古都保存法により、歴史的景観が保護されている
- 高さ制限(15m以下)により、低層建築が中心
文化的魅力:
- おしゃれなカフェ、レストラン、ギャラリーが多い
- 映画やドラマのロケ地として人気
- 文化人・芸術家が多く居住
(2) 東京へのアクセスと通勤利便性
鎌倉から東京へのアクセスは良好で、リモートワーク普及により、通勤と自然環境の両立が可能です。
主要駅へのアクセス:
- 鎌倉駅 → 東京駅: 約1時間(JR横須賀線)
- 大船駅 → 東京駅: 約50分(JR東海道線)
- 鎌倉駅 → 新宿駅: 約1時間10分(JR湘南新宿ライン)
リモートワーク需要:
- 週2〜3日の出社であれば、十分に通勤可能
- 自然環境と利便性を両立できる点が評価されている
(3) 観光客の影響と交通規制(年間約2,000万人)
鎌倉の最大のデメリットは、観光客の多さです。年間約2,000万人が訪れ、観光シーズンは日常生活に影響が出る場合があります。
混雑する時期:
- ゴールデンウィーク(4月末〜5月初旬)
- 夏季(7〜8月)
- 年末年始(12月末〜1月初旬)
- 桜・紫陽花シーズン(3〜4月、6月)
交通規制:
- 年末年始は交通規制があり、外部からの車での訪問や地元から出るのも困難になる
- 鎌倉駅周辺は一方通行が多く、狭い路地が多い
(出典: 湘南波乗り不動産「【鎌倉市移住ガイド】住みやすさから魅力まで現地スタッフが徹底解説」)
定住を検討する場合、観光客の影響が少ないエリア(大船、西鎌倉、今泉台等)を選ぶことも一つの方法です。
購入前に知っておくべきリスクと注意点
(1) 津波リスクと災害への備え(由比ヶ浜11〜13m)
海に近いエリアでは、南海トラフ巨大地震時の津波リスクがあります。
想定される津波高:
- 由比ヶ浜: 11〜13m
- 腰越海岸: 9〜12m
海側エリアで物件を購入する場合、以下の対策を推奨します。
- ハザードマップの確認: 鎌倉市の公式サイトで津波浸水想定区域を確認
- 避難経路の確認: 高台への避難経路を事前に確認
- 災害保険の加入: 地震保険、火災保険の加入を検討
(2) 塩害による建物・車への影響
海に近いエリアでは、塩害により建物や車が傷む可能性があります。
塩害の影響:
- 洗濯物が潮臭くなる
- 建物の外壁・金属部分が錆びやすい
- 車の錆びが進行しやすい
塩害対策として、以下の方法があります。
- 耐塩仕様の建材: 外壁や窓枠に耐塩仕様の建材を使用
- 定期的なメンテナンス: 外壁の洗浄、金属部分の防錆処理
- 車庫の確保: 車を屋内に保管することで塩害を軽減
(3) 物価・生活費と待機児童問題
鎌倉は物価・生活費が高く、東京並みの水準です。
物価・生活費:
- スーパー: 東急ストア、紀伊国屋等の高級スーパーが多い
- チェーン店: 牛丼チェーン等は大船や江ノ島まで行く必要がある
- カフェ・レストラン: 高価格帯が中心で、早い時間で閉店
待機児童問題:
- 鎌倉市は近隣自治体(茅ヶ崎市、平塚市、藤沢市)より待機児童率・保留児童率が高い傾向
- 子育て世帯は、事前に保育所の状況を確認することを推奨
(出典: Romy「鎌倉暮らしの現実。移住して感じる最大のデメリットはやはり観光客の多さ!」)
まとめ:鎌倉戸建て購入の判断ポイント
鎌倉の戸建て市場は、土地価格が2025年平均で約94万円/坪(前年比+5.33%)と上昇傾向にあり、中古戸建て価格は2,500〜4,500万円が一般的です。
人気エリアは、海側(七里ヶ浜、由比ヶ浜、材木座)と駅近(鎌倉駅、北鎌倉駅、大船駅)に二分され、利用目的(海の眺望か通勤利便性か)により選択が異なります。
購入前には、以下のポイントを確認しましょう。
- エリア選び: 海側(眺望重視)、駅近(通勤重視)、その他(静寂性重視)等、目的に合ったエリアを選ぶ
- 観光客の影響: 年間約2,000万人が訪れ、観光シーズンは混雑が激しい。観光客の影響が少ないエリアも検討
- 津波リスクの確認: 海側エリアでは、ハザードマップで津波浸水想定区域を確認
- 塩害対策: 海に近いエリアでは、耐塩仕様の建材や定期的なメンテナンスが必要
- 物価・生活費: 東京並みの物価水準、子育て世帯は待機児童の状況も確認
信頼できる不動産会社や専門家(ファイナンシャルプランナー等)に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
