無料で土地をもらう方法は本当?埼玉・大阪等の実態とリスクを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

「土地あげます」は本当?無償譲渡の実態

「土地 あげます」という情報を見聞きして、「本当に無料で土地がもらえるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、埼玉・大阪・神奈川等の無償譲渡の実態、仕組み、メリット・デメリット、詐欺リスクと安全な取得方法を、法務省国土交通省の公式情報を元に解説します。

初めて無償譲渡を検討する方でも、正しい判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 埼玉・大阪・神奈川等で実際に「土地あげます」のリスティングがあり、無料で土地を取得できる可能性はある
  • 無償譲渡でも税金(贈与税、登録免許税、固定資産税)は発生する
  • 利用価値が低い土地の可能性、詐欺リスク(地面師、高額請求)に注意が必要
  • 空き家バンクや相続土地国庫帰属制度を活用し、専門家に相談することで安全に取得できる

(1) なぜ無料で土地を譲るのか

土地を無料で譲渡する所有者は、以下のような維持管理の負担から解放されたいと考えています。

  • 固定資産税の負担:毎年1月1日時点の所有者に課税される
  • 草刈り・清掃等の管理費用:放置すると近隣トラブルの原因になる
  • 相続後の活用予定がない:親から相続したが遠方で管理できない
  • 空き家率の増加:総務省統計によると、全国の空き家率は2023年時点で13.8%と過去最高を記録

特に山林・農地・市街化調整区域の土地は活用が難しく、「負動産」として所有者の負担になるケースが増えています。

(2) 埼玉・大阪・神奈川等の実例

実際に、埼玉・大阪・神奈川等で「土地あげます」の情報が増えています。

埼玉県の例訳あり物件買取ナビ by AlbaLinkより):

  • 飯能市、比企郡、鳩山町などの山林・農地
  • 空き家バンクや不動産掲示板で無償譲渡の情報が増加

無償譲渡専門サイトみんなの0円物件):

  • 川越市の農地、飯能市の山林、ときがわ町の住宅用地等の0円物件リスティング
  • 全国の無償譲渡物件を検索可能

(3) 無償譲渡が増えている背景

無償譲渡が増えている主な背景は以下の通りです。

背景 内容
空き家率の上昇 総務省統計:全国空き家率13.8%(2023年)
相続後の活用難 遠方の土地を相続しても管理できない
自治体の消極的対応 固定資産税収入減・管理費用増のため土地受け入れに消極的
相続土地国庫帰属制度の施行 2023年4月施行。国への返還が可能になったが要件が厳しい

(出典: 総務省統計局法務省

無償譲渡の仕組みと法的な位置づけ

(1) 無償譲渡は「贈与」として扱われる

無償譲渡は、法的には「贈与」として解釈されます(民法第549条)。

贈与とは
当事者の一方が無償で財産を相手方に与える契約のこと。土地の無償譲渡も贈与契約に該当します。

贈与税の課税
個人から土地をもらった場合、受贈者に贈与税が課されます。基礎控除は年110万円で、土地の評価額がこれを超える場合は贈与税の申告・納税が必要です。

(2) 個人間・個人法人間での違い

無償譲渡の税金は、譲渡者と受贈者の関係によって異なります。

パターン 譲渡者の税金 受贈者の税金
個人 → 個人 なし 贈与税(基礎控除110万円超の場合)
個人 → 法人 譲渡所得税・住民税 法人税
法人 → 個人 なし 所得税(一時所得)

(出典: 生和コーポレーション

(3) 必要な手続きと専門家の役割

無償譲渡では、不動産業者が介在しないため、以下の手続きを自分で行う必要があります。

  • 測量・境界確定:隣接する土地との境界を明確にする(土地家屋調査士に依頼)
  • 契約書作成:贈与契約書を作成し、当事者が署名・押印
  • 所有権移転登記:法務局で登記手続き(司法書士に依頼)
  • 税務申告:贈与税の申告・納税(税理士に相談)

専門家への相談費用は発生しますが、手続きの正確性とトラブル回避のため推奨されます。

無料で土地を取得する方法

(1) 空き家バンクを活用する

空き家バンクは、自治体が運営する、空き家・空き地の売主と買主(または貸主と借主)をつなぐマッチングシステムです。

主な空き家バンクサービス

空き家バンクでは、無償譲渡物件のほか、格安物件も掲載されています。自治体の担当者が仲介することで、安全性が高まります。

(2) 無償譲渡専門サイトで探す

無償譲渡専門のマッチングサイトを利用することで、全国の0円物件を検索できます。

主な専門サイト

これらのサイトでは、空き家、住宅、土地、店舗等が掲載されており、エリア・物件種別で絞り込み検索が可能です。

(3) 相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度は、相続・遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たす場合に国庫に帰属できる制度です。

制度の概要法務省より):

  • 施行日:2023年4月27日
  • 審査手数料:14,000円/筆
  • 負担金:土地の種目・面積に応じて算定
  • 承認率:93%(2025年2月28日時点で1,426件が承認)

対象外の土地

  • 建物付き土地
  • 抵当権・用益権付き土地
  • 境界不明土地
  • 土壌汚染・埋設物がある土地

相続した土地を手放したい場合は、この制度を検討する価値があります。詳細は法務局にご相談ください。

無償譲渡のメリットとデメリット

(1) メリット:取得費用ゼロ

無償譲渡の最大のメリットは、土地の取得費用がゼロであることです。

  • 通常の不動産購入では、物件価格に加えて仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)、登記費用等が必要
  • 無償譲渡では、物件価格がゼロのため、登録免許税・測量費用等の実費のみで済む

活用できる土地であれば、大きなメリットになります。

(2) デメリット:税金と維持費用の負担

無償譲渡でも、以下の税金と維持費用は発生します。

項目 内容 目安額
贈与税 基礎控除110万円超の場合 土地評価額による
登録免許税 所有権移転登記時 固定資産税評価額の2%
固定資産税 毎年1月1日時点の所有者に課税 固定資産税評価額の1.4%
都市計画税 市街化区域の場合 固定資産税評価額の0.3%

(出典: 国税庁

特に固定資産税は毎年発生するため、活用予定がない土地の場合は負担になります。

(3) デメリット:利用価値が低い可能性

無償譲渡される土地は、以下のような理由で利用価値が低い可能性があります。

  • アクセスが悪い:駅・幹線道路から遠い
  • 建築制限がある:市街化調整区域、農地法の制限等
  • 土地の形状・地盤:傾斜地、軟弱地盤、不整形地
  • 周辺環境:墓地・工場の隣接、騒音・臭気等

取得前に、土地の用途地域、建築制限、周辺環境を必ず確認しましょう。

(4) デメリット:手続きの複雑さ

無償譲渡では、不動産業者が介在しないため、以下の手続きを自分で行う必要があります。

  • 測量・境界確定(土地家屋調査士に依頼、費用30-60万円程度)
  • 契約書作成(自分で作成または行政書士に依頼)
  • 所有権移転登記(司法書士に依頼、費用5-10万円程度)
  • 贈与税の申告(税理士に相談)

手続きが複雑なため、専門家への相談を推奨します。

詐欺リスクと安全な土地取得のポイント

(1) 地面師詐欺の手口

地面師詐欺とは、本物の土地所有者になりすまして不動産を売却し、購入代金を騙し取る詐欺です。

実際の事例武蔵コーポレーションより):

  • 2017年、積水ハウスが五反田駅近くの元旅館跡地で63億円被害
  • 偽造身分証、登記済証等を用いた手口

防衛策

  • 所有者の本人確認を徹底(運転免許証等の原本確認)
  • 登記簿謄本で所有者情報を確認
  • 司法書士に本人確認を依頼

(2) 高額請求や国の調査を装った詐欺

無償譲渡に関連して、以下のような詐欺に注意が必要です。

  • 高額な測量費用を請求する悪質業者:相場の数倍を請求するケースがある
  • 国の調査を装った詐欺国土交通省が注意喚起。空き家所有者を狙った詐欺や犯罪につながる可能性

不審な電話・訪問があった場合は、自治体や消費生活センターに相談してください。

(3) 境界・事故歴・土壌汚染等の事前調査

無償譲渡される土地には、以下のような隠れた問題がある可能性があります。

  • 境界不明:隣接地との境界が確定していない
  • 過去の事故歴:自殺・事件等の心理的瑕疵
  • 土壌汚染:有害物質の埋設、工場跡地等
  • 埋設物:地中にコンクリート殻・廃棄物等が埋まっている

土地家屋調査士に測量・境界確定を依頼し、契約書に明記することで、後のトラブルを防げます。

(4) 自治体・専門家への相談

無償譲渡を検討する際は、以下の窓口に相談することを推奨します。

  • 自治体の空き家・空き地対策担当課:空き家バンクの利用、補助金等の情報提供
  • 土地家屋調査士:測量・境界確定
  • 司法書士:所有権移転登記
  • 税理士:贈与税・固定資産税の試算
  • 弁護士:契約書のリーガルチェック、詐欺トラブル対応

専門家への相談費用はかかりますが、安全な取得のために必要な投資です。

まとめ:無償譲渡を検討する際の判断基準

埼玉・大阪・神奈川等で「土地あげます」の情報は実際に存在し、無料で土地を取得できる可能性はあります。ただし、無償譲渡でも税金(贈与税、登録免許税、固定資産税)は発生し、利用価値が低い土地の可能性、詐欺リスクに注意が必要です。

空き家バンクや相続土地国庫帰属制度を活用し、自治体・専門家に相談しながら、境界・事故歴・土壌汚染等を事前に調査することで、安全に土地を取得できます。

無償譲渡を検討する際は、「本当に活用できる土地か」「税金・維持費用を負担できるか」を冷静に判断しましょう。

よくある質問

Q1本当に無料で土地がもらえるのですか?

A1はい。埼玉・大阪・神奈川等で実際に「土地あげます」のリスティングがあり、無料で土地を取得できる可能性はあります。ただし贈与税(基礎控除110万円超の場合)、登録免許税、固定資産税等の税金は発生します。また、利用価値が低い土地(アクセス悪い、建築制限あり)の可能性が高いため、事前に用途地域、建築制限、周辺環境を必ず確認してください。

Q2なぜ無料で土地をあげるのですか?

A2維持管理の負担(固定資産税、草刈り・清掃費用、近隣トラブル)から解放されたいためです。特に相続した土地で活用予定がない場合、遠方で管理できない場合に無償譲渡を選ぶケースが多いです。総務省統計によると、全国の空き家率は2023年時点で13.8%と過去最高を記録しており、「負動産」として所有者の負担になる土地が増えています。

Q3無償譲渡にどんなリスクがありますか?

A3主なリスクは、(1)利用価値が低い土地(アクセス悪い、建築制限あり、市街化調整区域等)の可能性、(2)税負担(贈与税、登録免許税、固定資産税)、(3)手続きの複雑さ(測量・境界確定・登記手続きを自分で行う必要)、(4)隠れた問題(境界不明、過去の事故歴、土壌汚染等)があります。取得前に土地家屋調査士・司法書士等の専門家に相談し、事前調査を行うことが重要です。

Q4詐欺のリスクはありますか?

A4地面師詐欺(本物の所有者になりすます)、高額な測量費用を請求する悪質業者、国土交通省の調査を装った詐欺に注意が必要です。実際に2017年には積水ハウスが63億円の被害を受けた事例もあります。防衛策として、所有者の本人確認を徹底(運転免許証等の原本確認)、登記簿謄本で所有者情報を確認、司法書士に本人確認を依頼することを推奨します。不審な電話・訪問があった場合は自治体や消費生活センターに相談してください。

Q5安全に土地を取得するにはどうすればいいですか?

A5安全な取得のため、(1)自治体の空き家バンクを利用する、(2)土地家屋調査士に測量・境界確定を依頼し契約書に明記する、(3)司法書士に所有権移転登記を依頼する、(4)税理士に贈与税・固定資産税の試算を依頼する、(5)弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼する、(6)境界・過去の事故歴・土壌汚染等を事前に調査する、ことが重要です。専門家への相談費用はかかりますが、後のトラブル回避のために必要な投資です。

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Room Match編集部

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